立川に伝説のラーメン店『がんこ』の新店が誕生! ラーメン官僚も感激するしょっぱ旨い「塩(バラ)」の魅力とは?


2021.12.08

食楽web

食楽web 今から約40年近く前となる1983年に豊島区高田(西早稲田)の地に操業した『がんこラーメン(数度の移転を経て、現在は『一条流がんこラーメン総本家』として四谷三丁目で営業中)』。 同店の創業者は、「家元」と呼ばれる一条安雪氏。同氏の下で修業し、のれん分けを受けた者たちが開業した店舗は、最盛期には十数軒に及び、2000年代初頭には、直系店舗(主に『がんこ◯◯代目』を屋号として掲げる店舗)、直系からの独立店や関連店を含め、いわゆる『がんこ系』と総称される一大グループを構築していました。 00年代当時における『がんこ系』店舗(特に直系店舗)は、店によって程度の差こそあれ、塩分濃度が極めて高いラーメンと、『がんこ』の存在を知らない者にとっては飲食店であることすら分からない窓のない漆黒の店構えが共通の特徴。ひと言で申し上げれば、個性の塊のようなグループであり、店舗外観や味の様相がある程度人口に膾炙した後もなお、根強い人気を保ち続けてきたところです。店は『立川らーめんたま館』の施設内にある。2017年5月に大型ショッピングモール『コピオ相模原インター』へ移転した修業元(総本家相模原分店)と同様、中・大規模施設での出店。正確には2013年10月まで相模原市で路面店として存在していた『がんこ総本家分店』が、2017年5月に復活・移転を果たしたのが『がんこ総本家相模原分店』 さて、今回ご紹介する『元祖一条流がんこラーメンたま館分店』は、2021年10月2日にオープンした『がんこラーメン』の最新店舗。店は『立川らーめんたま館』の施設内です。同店の店長として厨房に立つ横田裕文氏は、家元・一条安雪氏の弟・一条修氏が店主を務める『元祖一条流がんこ総本家相模原分店』のご出身です。「20数年前、一条修師匠のラーメンを初めて口にしたときに、雷に打たれたかのような衝撃が走りました。お世辞抜きに、これは世界一美味しいラーメンなのではないかと。この思いは今でも全く変わっていません」と横田氏。 当時、横田氏は和食の調理師を務めていましたが、一条修氏の1杯に魅せられ、ラーメンの世界へと飛び込むことに。『がんこ』が手掛けるラーメンの味の要諦をしっかりと会得し、今般オープンした『たま館分店』の厨房を任せられるまでに至ったスゴ腕です。席はカウンターのみの8席『らーめんたま館』では、駅からほど近く敷居が低い開放的な空間で、あの『がんこ』の1杯が気軽に堪能できます。昔の『がんこラーメン』を知る者からすれば隔世の感がありますが、こういう変化に立ち会えるのも、長年ラーメンマニアを続けてきて良かったなと実感できる瞬間。 このあたりの事情が、どちらかと言えばマニアックな場所を選んでひっそりと営業していたひと昔前の『がんこ系』店舗と様変わりしていて、個人的には興味深いところです。 横田氏によれば、「たま館の館長を務める『鏡花』の町田氏から、『ここに店を出してみないか』と、声を掛けていただきました」とのこと。『鏡花』と言えば、立川が多摩屈指のラーメン激戦区として名を馳せる礎を築いた名店中の名店。作り手にとっては、最高級の栄誉と言えるでしょう。 さて、私も「久しぶりに、都内に『がんこ』の新店が誕生した」ということで、オープンからまだ日が浅いタイミングで訪問。しかも、同店で提供される1杯は、修業元に倣い、往年の『がんこ系』で作られていた「しょっぱうまい」ものだとのウワサ。立川駅からたま館へと向かう間、際限なく膨らむ期待による胸の高まりを抑えきることができませんでした。 たま館の入口をくぐれば、向かって手前の左側に『がんこたま館分店』が鎮座。柱には、同系の店舗が営業中であることを示す符丁である「牛のゲンコツ」が掲げられ、同店が紛れもない『がんこラーメン』であることを声高に主張しています。食べ進める度にクセになる!悪魔の一杯「塩(バラ)」の魅力とは? 券売機には、「塩」「正油」といった『がんこ』の定番メニューのボタンがズラリ。チャーシューは、モモ・バラ・鶏肉の3種類を用意。その他、「辛痛麺(辛系メニュー)」、「つけ麺」なども提供する充実のラインナップ。 いずれの品もハイレベルで目移りしてしまうかも知れませんが、『がんこ』初体験であれば、オススメしたいのが「塩(バラ)」です。「塩(バラ)」の食券を購入しカウンター席に腰を掛けると、「味(しょっぱさ)の濃さが選べます」と書かれた案内紙が視界へと飛び込んできました。LEVEL1からLEVEL8(しょっぱさ最大値)までの8段階から選択することが可能。LEVEL2が「マイルド味」、LEVEL4が「基本のがんこ味」となっています。味(しょっぱさ)の濃さがひと目で分かる案内紙。基本はLEVEL 4「マイルド味は、手間ひまを掛けて創り上げたスープの味がよく分かる端整な仕上がり。一方、がんこ味は、スープと塩ダレの双方のうま味をバランス良く感じ取ることができる、『がんこ』が往年出していたラーメンの味わい。ちなみに、LEVEL8は、スープの味というよりは、ダイレクトに塩を感じていただくという感じでしょうか」(横田氏) しょっぱすぎるために作り手である横田氏ですら完食できない(!)が、注文するお客さんも大勢いるというLEVEL8に激しく興味をそそられましたが、ここはグッと好奇心を抑制。「基本のがんこ味(LEVEL4)」よりも少しだけ塩味が強い「LEVEL5」をチョイスさせていただきました。 無駄がなく流れるような横田店長のラーメンづくりの所作を眺めながら、ラーメンが登場するのを待つ私。オーダーしてから品が提供されるまでの待ち時間は3分程度。気が付けば「塩(バラ)」の「LEVEL5」が卓上に供されていました。「塩(バラ)」850円 縁に大きく「がんこ立川」の文字が刻まれた、純白の丼が映える1杯。香味油の存在も相まって、キラキラと黄金色に輝くスープは、一本一本の麺の微細な形状さえ完全に視認できるほど透明度が高く、レンゲですくい取るのがためらわれるほど蠱惑的です。国産素材にこだわり、全国各地から厳選したものを使用して作るスープ。ぶ厚いうま味とコクがタレの塩味を下支えする「スープは国産素材にこだわり、全国各地から厳選したものを使用しています。また、スープに用いる水は、逆浸透膜を通すことによって精製された、不純物が極端に少ない超純水を採用しました」(横田氏) こうして作られたスープは、鶏と豚の分厚いうま味と豊潤なコクを確固たる土台としながら、エッジが効いたタレの塩味が、味蕾を通じて、味覚中枢に強烈に訴求。ふわりと宙を舞う生姜の清冽な香りや、魚介の芳香も、鼻腔を通じてはっきりと知覚することができます。上質な水(超純水)を用いていることもあり、スープの中に息づく各種素材のうま味が鮮やかに縁どられ、活き活きと躍動。飲めば飲むほど、舌上に残る風味の余韻が効果的に作用し、感じ取れるうま味と香りが、どんどん増幅していきます。 一般的には忌避されがちなしょっぱさでさえ、食べ手を魅せる武器へと転化させた、『がんこ』のお手本のような1杯。まさに、魔性・禁断のスープだと言うほかありません。通常の麺より黄色味がやや強い美しい麺 このスープに合わせる麺は、『がんこ系』の定番である『(株)サッポロめんフーズ』の中細。美しい黄色を呈した麺は、黄金色のスープに違和感なく溶け込み、絶大な視覚的安定感を醸し出しています。やや硬めで快適なすすり心地の麺 やや硬めに茹で上げられていることもあり、啜ると舌上でパツンと弾ける元気の良さ。適度にプリプリとした麺肌も、快適な啜り心地の演出にひと役買っています。各種ラーメンのチャーシュー。左から悪魔肉、豚もも肉、豚バラ肉、鶏肉 また、横田氏によればトッピングのチャーシューにも、スープや麺に負けないほど力を入れているとのこと。「バラは『がんこ』伝統のタレで柔らかく炊き上げ、モモは短時間で炊くことで素材本来のうま味を十分残しています。鶏チャーシューはしっとりと柔らかな銘柄鶏のムネ肉を使っています」 軽く箸を入れただけでハラリとほどけるバラロールチャーシューは、食べ手を惹き付けるのに十分過ぎるほどのインパクト。無我夢中で食べ進めているうちに、いつの間にか丼が空っぽになっていました。「これからも丁寧な仕込みを心掛け、お客さまに感動と喜びを与えることができる1杯を提供し続けていきたいと思います」と、抱負を語る横田店長。 ラーメン激戦区・立川に、またひとつ実力店が誕生。これまで『がんこ』のラーメンを食べたことがない方も、この機会に是非、一度召し上がってもらえればと思います。店長(横田 裕文氏)のプロフィール・和食の調理師を38年間、そのうち20年間を「しゃぶしゃぶの木曽路」の料理長として過ごした後、ラーメンの世界へ。・ラーメン職人となったキッカケは、師匠である『がんこ総本家相模原分店』の店主・一条修氏と20年以上の付き合いがあり、同氏が手掛ける1杯を初めて食べた時の感動が忘れられなかったため。・定番の「塩」「正油」に加えて、オープン後も「悪〇」などの新商品を開発・レギュラーメニュー化。今後、どのような展開を繰り広げていくのか、片時も目が離せない注目株だ。●SHOP INFO店名:元祖一条流がんこラーメンたま館分店住:東京都立川市錦町1-2-16 立川アーバンホテル 立川らーめんたま館TEL:042-512-8834営:11:00~20:00休:なし●著者プロフィール田中一明「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。 

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元祖一条流がんこラーメン (たま館分店)
place
東京都立川市錦町1-2-16 立川アーバンホテル 立川
phone
0425128834
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