みんなモネが大好きだった!日本初公開から後世の作品まで“モネづくし”横浜美術館「モネ それからの100年」


2018.06.14

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◆みんなモネが大好きだった!日本初公開から後世の作品まで“モネづくし”横浜美術館「モネ それからの100年」
クロード・モネ《睡蓮、水草の反映》1914-17年 ナーマッド・コレクション(モナコ)
19世紀後半の芸術運動「印象派」を代表する画家、クロード・モネ。代表作のひとつである《睡蓮》大装飾画の制作を始めてから約100年が経ち、これまで数多くの作家がモネの絵画に影響を受けてきた。そんな後世代の作家たちとモネの作品を一堂に集めた展覧会「モネ それからの100年」が、横浜美術館で開催される。モネの日本初公開作品もあり、後世代の作品からも今なお輝き続けるモネの新しい魅力を発見できそう。
クロード・モネ《霧の中の太陽》1904年 個人蔵
モネ作品の特性をキーワードに後世代の作品とあわせて展示
2018年7月14日(土)から9月24日(月・休)まで開催される、横浜美術館の展覧会「モネ それからの100年」。今回は、モネの初期から最晩年までの絵画25点と後世代の26作家による65点が一堂に集結。会場は、モネの芸術の特性によって4つの章立てとして、それぞれに特徴的なモネの絵画とその影響が見られる後世代の作品を並べて見せる。
例えばモネの《霧の中の太陽》はロンドン名物の霧に包まれたテムズ河の光景で、水分を多く含んだ大気にきらめく光が、淡い色彩の重なりで表現されている。
ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング(CR845-8)》1997年 金沢21世紀美術館 撮影:木奥惠三 画像提供:金沢21世紀美術館(C)Gerhard Richter 2018(0005)
ドイツ現代絵画の第一人者であるゲルハルト・リヒターの《アブストラクト・ペインティング(CR845-8)》では、奥行きを感じさせる層の重なりや光のイリュージョンが、モネの絵画にも通じるところ。また、「大気や光、水など形のないものの一瞬をキャンバスに写しとどめたい」というモネのテーマを共有しているようにも思える。
クロード・モネ《ヴィレの風景》1883年 個人蔵
(C)Christie’s Images / Bridgeman Images
日本初公開作品も!風景を色彩の単位で捉える先駆的な技法
日本初公開となる《ヴィレの風景》はモネがパリ郊外のジヴェルニーへ移住した年に描いた作品で、木立の間からセーヌ河と丘を望む風景画。目の前の風景を木や丘といった対象の細部ではなく、筆使いや色彩の単位にして画面の中で再構成するという独特の手法で描かれ、抽象的な傾向が強い作品となっている。
それまでは、色の明暗や遠近法を重視した絵画ばかりだった時代に、一歩踏み出して、色彩そのものの輝きに着目したモネ。こういった試みが、モネを「モダンアートの先駆者」と呼ばせるのかも。
丸山直文《puddle in the woods 5》2010年 作家蔵
(C)Naofumi Maruyama, Courtesy of ShugoArts
丸山直文《puddle in the woods 5》では、淡く鮮やかな色合いの色斑(しきはん:色むら)のハーモニーが、木々に囲まれた水辺(puddle:水たまり)の情景を現実にはないような絵画空間にしている。これも、モネのように色彩の輝きをそのまま写しとった表現といえる。
クロード・モネ《睡蓮》1906年 吉野石膏株式会社(山形美術館に寄託)
自邸の庭をモチーフにした創作活動の中で生まれた「睡蓮」
1900年代以降、ほとんどのモネ作品のモチーフはジヴェルニーの家の庭となる。ここでモネは、体の衰えと重い白内障に悩まされながら、創作活動に没頭していく。「睡蓮」の連作では、極端なクローズアップの手法で、画面いっぱいに水面を捉えた構図をとるように。
画面の中でリズミカルに反復する睡蓮のモチーフは、豊かな色彩と自由な筆使いによって、絵画のイメージが作品のフレームを越えて広がっていくような感覚さえ覚えるほど。
オランジュリー美術館の《睡蓮》大装飾画は縦が2メートル(横の長さは6メートル以上)の連作で、これらの制作を開始したのは74歳になってからだというから、その精力的な創作活動には驚かされる。
展示作品の中には、モネへのオマージュを込めて制作されたものもあり、ロイ・リキテンスタインなどの20世紀アートや、この展覧会のために制作された(福田美蘭らの)新作も披露される。
鈴木理策《水鏡 14, WM-77》(左)《水鏡 14, WM-79》(右)2014年 作家蔵(C)Risaku Suzuki, Courtesy of Taka Ishii Gallery
写真家の鈴木理策は、モネがこだわった水面のヴィジョンをテーマに、2014年から写真シリーズ《水鏡》を制作し続けている。モネが捉えた水面の色彩とイメージを、機械の眼によって捉えなおす試みとなっている。
7月15日(日)には鈴木氏を講師にしたトーク&ワークショップ「モネの眼、写真の眼」(参加費2500円、事前申込、抽選)もあるので、興味のある人は展覧会公式サイトから申し込み(申込締切・6月16日)を。
これまで知っていたモネの絵が、どんな独創性にあふれていたのか、後世代の作家たちがどんな芸術性に影響を受けたのか。そんな視点で改めて鑑賞すると、思いがけない発見がありそう。
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