ガレをトリコにした多彩な色ガラス!サントリー美術館で「ガレも愛した―清朝皇帝のガラス」展


2018.03.17

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◆ガレをトリコにした多彩な色ガラス!サントリー美術館で「ガレも愛した―清朝皇帝のガラス」展
ガラス工芸といえば透明感や儚さが魅力だけれど、中国・清朝の時代に「皇帝のためのガラス工房」で作られた名品は、多色使いの不透明ガラスに力強いフォルムが印象的。フランスのアール・ヌーヴォー期を代表する芸術家エミール・ガレは、この清朝ガラスに大きな影響を受けたそう。清朝の皇帝やガレが愛したそのままの美しさを、時を超えて楽しんでみて。
藍色鉢 清時代・おそらく雍正年間(1722-35) 中国 サントリー美術館
紀元前のガラス作品や清朝初期の貴重な品もあり、見ごたえたっぷり
2018年4月25日(水)から7月1日(日)まで、六本木のサントリー美術館では「ガレも愛した―清朝皇帝のガラス」展を開催。同美術館をはじめ、英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館などから有数のコレクションが集まるので、見ごたえも十分。
展示のプロローグとして、紀元前の時代に作られたガラス作品を並べるコーナーもあり、ここでは中国ガラスの起源を知ることができる。当時はおもに儀式の道具や装飾品として貴石や玉の代わりに使われていたので、紀元前のものだけど精緻な細工も美しい。
第1章は「皇帝のガラスの萌芽(ほうが・芽ばえ)」として、清王朝初期に初めて紫禁城内に玻璃廠(はりしょう・ガラス工房)が造られた時代の作品を展示。シンプルながら力強いフォルムが特徴で、写真の藍色鉢も、この時代の作品とされている。ただ、成分バランスの問題で劣化が進んだため、現代まで残っている作品が少なく、今回は貴重な展示に。
左:青色文字入双耳瓶 乾隆年製銘 清時代・乾隆年間(1736-95) 中国 永青文庫  右:白地紅被騎馬人物文瓶 乾隆年製銘 清時代・乾隆年間(1736-95) 中国 サントリー美術館
新しい素材や技法で開花!皇帝のガラスが栄華を極めた時代の名品も
第2章「清王朝の栄華」では、清王朝のなかでもとくに学術や芸術が花開いた第6代乾隆帝(1736-95)の時代の作品にスポットをあてて紹介。ヨーロッパの知識を積極的に取り入れる皇帝の情熱は、中国の職人たちにも大きな刺激となり、清朝皇帝のガラスは最盛期を迎える。
この頃は透明素材に加えて、多彩な色の不透明ガラスや、何層にも色ガラスを重ねる色被(いろき)せガラスなども登場し、いろいろな絵柄が浮き彫りにされた作品も多い。また、貴石や大理石のようなマーブル・グラスやエナメル色彩なども、この時代に発展したもの。
当時の作品を見ると、巧みな加工や独特の色彩感覚に彩られた皇帝のガラスが、ほかに類を見ない独自の美しさを極めていったことが実感できる。
左:花器「カトレア」 1900年頃 エミール・ガレ フランス サントリー美術館 右:白地二色被花鳥文瓶 清時代(18世紀) 中国 サントリー美術館
ガレの作品と、彼が見た可能性のある清朝ガラス器や工芸品も展示
中国や日本の美術品がヨーロッパのアートシーンに大きな影響を与えた、19世紀後半。当時のフランスで芸術家として活躍したエミール・ガレ(1846-1904)も影響を受けた1人で、とくに1889年のパリ万博以降の作品を見ると、中国の工芸品との関連がよく分かる。
パリ万博の前にも、1885年にベルリンの工芸美術館で300点以上の清朝のガラスを調査したり、1871年に東洋コレクションで名高いロンドンのサウスケンジントン博物館(現ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)で研究したりと、ガレが行った数々の調査・研究記録が残っている。
その作品を並べてみると、モチーフの選び方や描き方、色彩感覚など、共通するものが見えてくるはず。
左:雪片ガラス地五彩仙果文鼻煙壺 清時代 18世紀 中国 町田市立博物館  右:青地茶被バッタ文鼻煙壺 清時代 18世紀 中国 町田市立博物館
清朝ガラスの技と粋を集めた“小宇宙”も楽しめる
展示の最後には、エピローグ「清朝ガラスの小宇宙(ミクロコスモス)」として、嗅ぎたばこを入れる器「鼻煙壺(びえんこ)」を紹介するコーナーも。
アメリカ原産のたばこは17世紀頃に中国に伝来し、清朝の宮廷で大流行した後、中国全土にも普及。嗅ぎたばこは粉末状になっていて、好みの香料や薬草を混ぜ、吸い込んだり鼻孔にこすりつけて嗅いだという。
鼻煙壺には、磁器やガラス、玉や貴石などのさまざまな素材が使われ、贅を尽くしたものも多く作られた。清朝宮廷内のガラス工房でも、清朝工芸の技術の粋を集めた名品を製作。手のひらにすっぽり入るほどの大きさながら、清朝ガラスの華麗な小宇宙を楽しんで。
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