一度聞いたら忘れない、きわめてシンプルで潔い店名。表参道の喧騒から少し離れた裏通りに佇む「パンとエスプレッソと」は、2010年のオープン以来多くの人に愛されているブーランジェリーカフェ。ひたむきに“おいしいもの”をつくり出す職人魂のこもったメニュー、何度でも訪れたくなる小さな幸せが溢れるお店をご紹介します。
-
01
“街のパン屋さん”をめざして
今でこそ多くの店舗ができ賑わいを見せる表参道ですが、元々周辺は閑静な高級住宅街。2010年、地元の人に愛されるような“街のパン屋さん”を目指し、パンとコーヒーのお店「パンとエスプレッソと」はオープンしました。以来、地元客はもちろん、外国人客までが訪れるようになり、店前には順番を待つお客さんで溢れる光景もしばしば。今や表参道を代表するベーカリーとしての人気を誇っています。
シンプルかつインパクトある看板
コンセプトは「日々の中の幸せ」。パンとコーヒーという毎日身体に入れるものだからこそ素材やつくり方にこだわる、それが本当の贅沢であり幸せなのではないか。そんな想いが込められています。
店構えはシンプルでナチュラル。一見するとまるでデザインオフィスのエントランスのよう。店前にはカウンター席とテーブル席が配され、いつもお客さんが食事やコーヒータイムを楽しんでいる様子がうかがえます。通りから少し奥まった店は隠れ家のよう
-
02
いつでも“同じ、おいしいパン”をつくる
開店は朝8時。店内では常時30種類ほどのパン、10種類ほどのパニーニやサンドイッチを販売しています。これらは持ち帰りはもちろん、店内のカフェスペースでイートインもOK。パンによっては温めなおしをしてくれます。
小ぶりのかわいらしいパンが棚に並ぶ
イートインスペースは、それぞれのひとときを楽しむ穏やかな空気感が漂う
パンは毎日気軽に購入しやすい、100円~200円台のものがほとんど。「パンとエスプレッソと」のパン職人、櫻井正二さんがつくったレシピは開業以来変えず、同じ生地を提供し続けているそう。ファンがつく理由もわかりますよね。
スタッフが一押しという「エラーブル(170円)」は、ふかふかした生地の中にさらっとしたメープルシュガーのクリームがたっぷり。店長自ら「くるみとレーズンの量が尋常ではない」というその名も「クルミ&レーズン(280円)」など、小ぶりながらしっかり満足感も感じさせてくれるパンばかりです。
オリジナル角食「ムー」は、確実に購入するなら前日予約が必須の人気商品。10cm四方ほどのサイズと、バターをふんだんに使用したデニッシュのようにしっとりとした生地が特徴。耳特有のパサパサ感も一切ありません。一度食べるとあまりのおいしさにファンになってしまう人が続出です。
買ったその日にスライスしてそのまま食べてみて
提供する全てのパンは併設の工房でつくられており、仕込みは毎日朝6時から。「パンは生き物」。日によってその出来上がりは様々で、本当によいものしか店頭には出さない主義なのだそう。クオリティにはとことんこだわっています。
焼きたてのパンが次々と工房から運ばれる
カウンター席の窓からはパン職人の姿が見える
-
03
「ムー」トーストで朝をはじめよう
特に人気のあるメニューは平日8時からのトーストセット。お店の定番商品であるオリジナルの角食「ムー」を半分にスライスし表面をカリッ焼いたトーストとサイドディッシュ、ドリンクが550円で楽しめます。がぶっとかぶりつけば、思わず笑顔になってしまうおいしさ!
表参道でモーニングを500円台で食べられるお店は貴重な存在
店名にもなっているお店のもうひとつのこだわりがエスプレッソ。お店で提供するカフェメニューの全ては、パンに合うという理由から小川珈琲の「ベルデ」という豆1種類のみを厳選して淹れています。アプリコットのような酸味と、軽やかな後味が特徴。
美しいハート型を描く「カプチーノ」は、表面張力になるほどたっぷり淹れるのがこだわり。また、このアートは時間がたってもなかなか消えることがありません。決め細やかな泡をつくり出す職人だけがなせる技だとか。「見た目にもおいしい」ことが大事
-
04
ランチタイムはサラダやお酒も楽しめる!
平日の11:00~15:00まではランチセットも用意。色々な種類の野菜がしっかりとれる「サラダランチセット(950円)」や10種類から好きなパニーニが選べる「パニーニセット(900円)」が楽しめます。他にもビールやビアカクテルと一緒に楽しめるビアセットも。
週末限定には、パンとハムが盛り合わせになった「ウィークエンドブランチセット(1,800円)」も登場しリッチな気分も味わえます。晴れた日は開放感あるテラスがおすすめ
サラダランチについてくるもちもち玄米パンがおいしい!
種類豊富なパニーニは大きくて具もたっぷり
-
05
見逃せないオリジナルパンスイーツ
「ムー」を使用したパンスイーツメニューもあり、毎日15:00から数量限定で提供される「フレンチトースト(700円)」は特に人気。卵とミルクを極限まで染みこませて、時間をかけて焼き上げられたムーは、表面がカリッと中はふわふわ。オーガニックのはちみつをたっぷりかけて頂けば口の中にじゅわりと染み出すおいしさ。
アツアツのうちに召し上がれ
現店長と旧店長が共同で考案したという新作「パンとエスプレッソと(650円)」は、まさにパンとエスプレッソをかけ合わせた新感覚のスイーツ。ムーの上に濃厚なバニラアイスをのせエスプレッソソースをオン。キャラメリゼのピーカンナッツが食感にアクセントを加えています。
濃厚なアイスの甘さとバターの塩気が絶妙!
-
06
「味には自信しかない。」
店長の宮下さんは、「よく何がおいしいですか?と聞かれるんですけど・・・全部なんです。味には自信しかありません!」ととびきりの笑顔。潔いひとことに、“おいしいものづくり”への情熱を感じました。
パンとコーヒーは天気や気温によって味が変わってしまう繊細なもの。職人やバリスタは日々のそんな小さな変化に心を留めながら、今日もおいしいものを届けられるようパンを焼き、コーヒーを淹れています。あえて変わらずにいること。それが「パンとエスプレッソと」が愛され続ける理由なのかもしれません。周辺の予約制駐車場