
頭上からジャンボなコックさんが出迎えてくれる東京の「かっぱ橋道具街」。全国でも有名なこの食道具専門問屋街は、プロ・アマ問わず連日多くのお客さんで賑わいます。今回ご紹介するのは、そんな商店街で出会ったちょっとディープなスポット。奥深きかっぱ橋の世界へいざ!!
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そもそも「かっぱ橋」の“かっぱ”って?
かっぱ橋は、浅草と上野の中間にある南北800mにわたる食道具専門の卸問屋商店街。江戸時代につくられた新堀川という川の両岸に、大正はじめごろから古道具の商人たちがお店を出したことが発祥といわれています
「かっぱ橋」という名前の由来には有名な二つの説があるのをご存知ですか?
一つは江戸時代に、現在のかっぱ橋近辺に武家屋敷があり、小身の侍や足軽が内職で作った雨合羽を、天気の良い日に近くの橋に干していたという「雨合羽説」。
もう一つは、「合羽屋喜八説」。江戸時代に財をなした雨合羽職人・喜八が、水はけが悪く少しの雨ですぐに洪水になっていた現在のかっぱ橋一帯に、私財を投げ打って掘割工事を実行。それに感動した隅田川のカッパ達が、当時難航した工事を夜な夜な手伝ったというお話です。カッパというと一般的に架空の生き物とされてますが、「合羽屋喜八説」はなんとも人情味に溢れたほっこりエピソード。今でも、かっぱ橋通りの「曹源寺」には、喜八のお墓があり、商売繁盛・福の神として河童大明神が祀られています。
どちらの説を信じるかはあなた次第!工事中のカッパを見た人は商売繁盛したとかしないとか。。。
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02
ジャンボコックがお出迎え!
まず、かっぱ橋道具街といえばここを紹介しないわけにはいきません。かっぱ橋商店街の入口にある「ニイミ洋食器店」です。目印は、5階建ての建物の屋上にある超巨大なコック像。
どこから見ても目立つ!
このコック像、実は完成してから30年以上も経つのですが、遠目に見てもわかるほどにお美しい!それもそのはず、なんと4~5年に一度は多額の費用を投じて塗り替えられているそうなんです。お店の看板としてはもちろん、「かっぱ橋」のシンボルとしても大切にされていることがよくわかります。
コックのモデルは当時の会長、新實善一氏。眉毛とおひげが立派です。
ニイミ洋食器店の向かいにある系列店の建物からは、大きなティーカップが半分にょきっと出現!ニイミさんのユニークなアイデアが、かっぱ橋を訪れた人を楽しませてくれます。
かっぱ橋のメルヘンスポット!
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揃わないものはない!「ニイミ洋食器店」
ニイミ洋食器店の売りはなんといっても豊富な品揃え!1~3階には食器や調理器具、飲食にまつわる道具が約1万点以上が並び、店内に入るとその商品量の多さに圧倒されます。
壁にも商品がぎっしり!
調理器具は小さいものから超ビッグサイズまで、洋食器に和食器、どんぶりに船盛り、コースターやメニュー表などなどお店で目にするアレコレが豊富なラインナップで揃います。
卸価格なので、まとめ買いにももってこい。
巨大泡立て器を発見!
国旗コースター
クッキーの型も迷うほどあります。
棚に乗り切らない商品量!
階段の手すりには、ラーメン湯切り専用「パワーてぼ」がずらり。深型・浅型、麺の種類によっても形の違いがあったりと道具の奥深さを思い知らされます。
「パワーてぼ」という名前も初めて知りました。
天井からやかん。
斬新なディスプレイです!
白い食器が並んでる姿はなんだかフォトジェニック?!
オレンジのショッパーには、ニイミのシンボルマークのコックさん。商品ではありませんが、かわいかったので。
「セパレート型お子様ランチ皿」シリーズはニイミのオリジナル商品で、40年以上のロングセラー!日本の食文化のひとつでもある「お子様ランチ」。懐かしい記憶をたどれば、こんもり盛られたチキンライスにハンバーグ、赤ウィンナーがのったいつかのプレートはニイミさんのものだったかもしれませんね。
新幹線はレトロでかわいい赤いお鼻の旧型車両。
有田焼の「カップめんウエイト」なるものを発見!カップ麺のフタのデザインがそのまま有田焼に焼付けられています。
できあがりを待つ3分間がちょっとだけ楽しくなるかもしれません。
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04
「志村製作所」で古きよきアメリカへトリップ!
お次は黄色のファサードが目印の「志村製作所」へ。ドアや窓らしきものはなく、開放感たっぷりなお店へ一歩足を踏み入れると、そこはまさにTHE・アメリカン!
外からはアメリカ感は感じませんが・・・
“コカ・コーラ”のロゴが入ったテーブルやチェアー、往年のハリウッドスターのフォトグラフにカラフルなネオンサイン。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で見たような古きよきアメリカを連想させる什器やインテリア雑貨がところ狭しと並んでいます。
濃密なアメリカン空間。
かっぱ橋にいながらにして、西海岸のカフェにいるような気分。これはもう、「かっぱ橋のハリウッド」といっても過言ではありません。
飾られている歌手やムービースターの写真は本場アメリカ・ミネソタ州から輸入、日本で額装しているのだそう。本格的な品揃えです。
ビンテージ感たっぷりのサインの中に、「BERR IS LIFE(ビールこそ命!)」という看板を発見。お酒好きとしてはグッときちゃいます。ネオンやライトは、お店だけでなくお部屋にも合わせやすい小型タイプもあったりします。新生活のお部屋にいかがでしょうか?
レトロな佇まいのコカ・コーラの販売機も絶賛稼働中!
最近ではなかなか見かけないジュークボックスも販売されていました。マニアの方にはたまらないのでは?
こちらの「American Light」は志村制作所のオリジナル商品。好きなボトルをのせるだけで自分だけのオリジナルライトができちゃいます。ボトルによっては渋くなったりポップになったり色んな雰囲気が楽しめるのがいいところ。
ジャックダニエルは間違いないかっこよさ!
志村製作所、とってもオープンなお店とは裏腹にかなりディープな空間だったのでした。
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05
コーヒーのメッカ「ユニオン」でコーヒー談義
時代はまさにコーヒー天下。“サードウェーブ”と呼ばれるコーヒー豆の産地や製法にこだわるカフェも今や定番化してきましたね。でもそんな今よりもっと前から、コーヒー好きさんやカフェマニアの間で聖地として知られているのが、こちら「ユニオン」。かっぱ橋で喫茶用品を専門に扱う唯一のお店です。
看板のレトロさに安心感を覚えます。
店内の棚やガラスケースには、コーヒー豆を挽くミルにはじまり、フレンチプレスや円錐形ドリッパー、喫茶店で見たことのあるサイフォンなどなど、圧倒的な数の商品たちが並んでおり、まさに「コーヒーの館」といった雰囲気。
博物館のようなラインナップです。
お気に入りのひとつを見つけ出すのが楽しい!
あまりに本格的すぎて「どこで使うの?」と思ってしまうような不思議な道具も。
素人には理科の実験室に見えてしまう
魔人が出てきそう・・・
まさかのSL型ミル
店頭に立って気さくに接客されていたユニオンで一番のベテラン、安藤さんにお話をうかがってみました。
――ケトルひとつとっても種類がたくさんありますね!なにかコーヒー器具選びのコツはあるんでしょうか?
安藤さん「ないない。うちに置いてあるやつはどれでもおいしく淹れられるんだから。」
――おぉ、器具自体に大差はないのですね。でも自宅でコーヒー作るんですが、なかなかお店のようにおいしくできません。なぜなんでしょう?
安藤さん「それは何度も繰り返しつくってないから。コーヒーは、豆、挽き方、お湯の温度、お湯の淹れ方、全部自分の好きなようにできる。だから何度もいろんなパターンを試すことが大事で、繰り返してると自分の好みが自然にわかってくるんだよ。」
――なるほど。何を使うかよりも、どんなコーヒーが飲みたいか、というイメージが大切なんですね~。
さすがはコーヒーのメッカ。道具以前の本質的なことに気づかせて頂きました。まだまだコーヒー修行が足りなかったようです。。。
師匠、出直してきます!コーヒー好きさんにはもちろん、入門者の方にも丁寧に熱く接客してくれるユニオン。お気に入りの道具を揃えて、おいしいコーヒーづくりを探求してみてください。
向かいの系列店ではコーヒー豆も販売中。
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「かっぱ橋道具街」は不思議な世界の入口
今回ご紹介したのはほんの一部。「かっぱ橋道具街」には問屋街ならではのディープな世界がそこかしこに広がっています。目的のお買い物はもちろん、浅草散策の際には少しだけ足を伸ばして、好奇心が刺激されるレトロな道具街の魅力にふれてみませんか?
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