鳥取県にある倉吉。ここはかつて城下町として栄え、その風情ある街並みが今もなお変わらずに楽しめるとあって、人気観光地としてひそかに話題になっています。東京に住む48歳の主人公が昭和30年代の郷里の町にタイムスリップする谷口ジローさんの漫画 「遥かな町へ」の舞台となった倉吉を紹介します。
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あの「遥(はる)かな町へ」
せっかく旅行の予定を立ててたのに、山陰地方では雨なんてことあります。でも、そんな日ならではレトロで懐かしい風景にあいたくなる。街並みがそのまま漫画のシーンになって国際的に有名な賞を受賞した谷口ジロー「遥かな町へ」の舞台となった白壁土蔵群のある倉吉に行ってみましょう。
川沿いのノスタルジックな街並み
倉吉市の名所といえば、白壁土蔵群。まずは観光案内所で詳しい街マップを手に入れてのんびりと街歩き。江戸~明治期に建てられた建物が多く、歩いているだけでタイムトリップした気分。白壁土蔵群とは黒い焼杉板、白い漆喰壁、赤い石州瓦という手法で建てられた土蔵が連なった街並みのことです。景観に合わせてリノベーションされ『白壁土蔵群赤瓦(あかがわら)』としてショップやカフェ・工房などがあり、新たな観光スポットとなっています。
一軒一軒に趣がありますね。
ここは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。古い蔵の外観をそのまま活かしながら、内部を改装してお食事処やお土産ショップなどの店舗が立ち並びます。試飲や試食のできるお店もたくさんあります。今回は、嘉永年間(1848~1854)創業の歴史を持つ元帥(げんすい)酒造のお店に立ち寄ってみました。
赤瓦と白壁、格子窓の「赤瓦一号館」
元帥酒造本店は倉吉の白壁土蔵群にある老舗の酒店です。倉吉の地酒として自然の旨みを大切にして作られたお酒。創業当初の酒銘は「旭正宗」でしたが、明治時代に東郷平八郎が倉吉に訪れた際にここのお酒を飲んだことにちなんで「元帥」に改名したのだそうです。
冬の季節ならではのしぼりたての原酒もありました。
店内にはずらりと日本酒が並び、昔ながらのとっくりやぐいのみも並んで、お酒の博物館のようでもあります。朝ですが、少しだけ「大吟醸」を試飲をさせていただきました。試飲は無料でいつでもできます。優れた酒米「山田錦」を使用した大吟醸酒。口に含むとお酒本来の豊かな味わいがあり、香りがとても華やかな、飲みやすい大吟醸酒です。興味があれば、本店から車で5分ほど走ったところにある倉では酒蔵見学(AM8:00~PM4:30:要予約) もできます。ホームページからチェックしてみてくださいね。
常時、3-4種類の日本酒の試飲ができます。
お酒を飲んだせいではなく、なんだか倉吉にいると時空を越えて郷愁のタイムカプセルをあけた気分がします。初めて来るのに懐かしい、土蔵の角を曲がったら同級生の誰かに逢いそうな気がします。
ノスタルジックな気分♪
- 元帥酒造本店
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4.0
10件の口コミ -
- 鳥取県倉吉市東仲町2573
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- 0858225020
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- [蔵見学]8:00-16:30
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【本店】
電話: 0858‐22‐5020
FAX: 0858‐22‐5021
【酒蔵】
〒682-0816
鳥取県倉吉市駄経寺町2-31
JR倉吉駅からバスで10分 《JR倉吉駅⇒駄経寺東 下車》
【URL】http://www.gensui.jp/index.html
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02
昔ながらの和スイーツや名物料理もレトロ感がいっぱい
倉吉の隠れた名物スイーツ!昭和23年から続く倉吉では有名な人気の米澤たいやき店(よねざわたいやきてん) です。今でも金型で一匹一匹焼く昔ながらのたいやきは、熟練の技で丁寧に焼き上げます。たい焼きは山陰らしい色白美人!白い皮でもっちりとしていて、中のあんことの相性もバッチリです。
外観もザ・昭和!しぶいですね
地元や旅行客だけではなく、遠方からわざわざ買いに来るリピーターのファンや、持ち帰りのお客様も多いのです。頭の先から尻尾までほど良い甘さのあんこが人気の秘密ですね。
昔ながらの焼き方で丁寧に焼き上げてます。
お昼前だからと1匹にしておこうと思ったのですが、軽いサクッとの皮と中のあんこの口当たりが絶妙でぺろりと2匹食べちゃいました。おすすめの地元スイーツです。
新聞紙に包んでくれるレトロ感もたまりません。
雨で風情がある倉吉の白壁土蔵群の街歩きもちょっと肌寒くなってきたので、お昼はあたたかいお鍋がたべたくなりました。向かったのは、こちらの町屋清水庵(まちやせいすいあん)です。創業から百余年の伝統ある古風な町家の建物が素敵ですね。
歴史を感じる入り口。
店内には趣のある調度品や絵が飾られていて、古き良き時代の町屋の雰囲気。ゆったりとした店内でプチ贅沢な気分が味わえます。
ここの名物はなんといっても「餅しゃぶ」。十二単衣をイメージした色とりどりのお餅をしゃぶしゃぶとお鍋のカツオだしにくぐらせていただきます。 メニューをみていると、 基本的な餅しゃぶ以外にもいろいろな餅しゃぶがあって選ぶのが大変です。
お肉大好き派には東伯牛やマーブルポーク豚がおすすめですが、豪勢に餅しゃぶを堪能したい人には山陰ならではの蟹や海鮮も揃っています。
餅しゃぶ以外にも普通の定食なども揃っています。では、さっそく注文してみましょう。二階のお席もいいですね。吹き抜けで開放感があります。
しばらくすると一人用の鍋が運ばれてきました。
今回は蟹餅しゃぶを注文
小さなカセットコンロでおだしがぐつぐつ、いい香りが漂ってきます!
店員さんの説明によると、餅しゃぶは本当に薄くてすぐに柔らかくなるので、ササッとお出汁にいれて、引き上げてくださいとのこと。さっそく挑戦!
しゃぶしゃぶ感覚でお出汁にくぐらせたと、口の中に運ぶと…とろけるお餅の食感が楽しい!
店内には、ご家庭で簡単にこの「餅しゃぶ」が楽しめるようにお土産用にセットしてあるので、購入してみるのもオススメです!グルメな友人に贈れば喜んでもらえそう。- 町屋 清水庵
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4.0
37件の口コミ -
- 鳥取県倉吉市堺町1-876
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- 0858224759
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- 11:00-14:00(L.O.)/17:00-20:0…
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座席数 90席
メニュー:基本の餅しゃぶ(茶碗蒸し・とち餅あんかけ付) 1,080円
餅しゃぶスペシャル1,620円
東伯牛餅しゃぶ・マーブルポーク餅しゃぶ 2,160円
かに餅しゃぶ2,376円 海鮮餅しゃぶ2,916円 その他餅しゃぶ以外の定食メニューあり
【URL】http://www.seisuian.jp/
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倉吉で工芸体験といえば?
心も身体もお鍋でほっこり温まったところで、再び街歩き。
倉吉ではさまざまな民芸品や工芸品を見て買って楽しむことができます。
それではなく、さらに実際に自分で体験することも!この日は、倉吉に昔から伝わる可愛らしいお人形「はーこさん」と地元では呼ばれて親しまれているお人形のある工房へ行ってみました!赤い着物が可愛らしいはーこさん
倉吉で「はーこさん」と呼ばれ親しまれているのは、はこた人形のことで、張り子人形です。その起源は江戸時代後期、備後の国から行商に来た備後屋治兵衛が可愛らしい倉吉の娘に惹かれ、これを人形にしたことが始まりといわれています。桐で作った木型に和紙を何重にも張り重ね、できた張り子を型から抜き取り、下地は胡粉で塗って、日本絵具や染料で彩色し、艶出しはニカワで作られている張り子の細工です。
職人さんのはこた人形作りも見学することができます。
このあたりでは子供に無事に病気しないで元気に育ってほしいというお守りでもあり、子どもの遊び相手のお人形なのです。豆はーこさんから大きなはーこさんだけでなく、お面や虎、だるまなどの張り子の種類もたくさんあって、みているだけでも温かな気持ちになります。
ひとつひとつ丁寧につくられて愛情を感じます
この工房では、このはこた人形などの顔描き体験をすることができます。一度に5人までベテランの職人さんが丁寧に指導して、世界にひとつだけのはこた人形のできあがりです。要予約ですが、予約がはいっていなければ当日でも体験することができます。是非、可愛いはーこさん作ってみませんか?
職人さんが優しく教えてくださいます。
- はこた人形工房
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- 鳥取県倉吉市魚町2529
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- 090-1185-9732
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所要時間 約30分
一度に5人まで可 ※要予約(予約が入っていなければ当日でも可)
【URL】https://ja-jp.facebook.com/hakota.hariko/
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レトロな倉吉でまち歩き
いかがでしたでしょうか。趣ある建築物からおいしいグルメ、工芸体験など、さまざまな楽しみが見つかる倉吉。ほかにも、倉吉の伝統的な倉吉絣を着て歩く人たちの姿も多く見られました。
ぜひ一度、歴史ある倉吉のまちに出かけてみてください。