国内最大のLCC「ジェットスター・ジャパン」と、ピンクのバスでおなじみで全国にグループ会社の高速バス路線を展開する「WILLER TRAVEL」。 お互いの長所を活用して、今までの交通業界になかった、新しい取り組み。その記念として「AIR & BUS 成田発伊勢行きツアー」が開催されたので参加してきました。
-
01
輸送手段を超えた提携により「シームレス」な移動を実現
近年の旅行は、団体から個人中心へ、そして観光地やスタイルの多角化、価格の低廉化などが進んでいます。一方、交通各社は、それぞれの輸送手段が担う区間以外への訴求が難しく、例えば航空各社だけでは付近に空港のない日光のPRをしても、目的地までの手段との連携がありません。日光に行きたい、と思っているユーザーも、それぞれの手段で事前調査や予約が必要など、計画の時点から「シームレス」にならない面もあります。
WILLER & JETSTARのハブ&スポーク構想
その中で、今回ジェットスター・ジャパンとウィラートラベルが業務提携したことにより、長距離移動の空路、目的地まできめ細かに路線設定が可能な高速バスが予約込みでシームレスに。まさに「いいとこどり」することが可能になります。
例えば、関西から北海道の観光に向かう場合、関西各地から関西空港まで、新千歳空港から北海道各地までの高速バスの路線が整備されれば、関西空港~新千歳空港間はLCCのジェットスターの便で安く移動。しかも、目的地までスムーズな移動が実現できます。行きは「バス」、帰りは「飛行機」という新しいスタイルも可能
往復の移動であっても、お互いの特長が合えば今までになかったルートでの観光も可能に。往復の移動でもそのメリットが発揮されます。往路は高速バスで夜行バスで仕事帰りに出発、目的地に直行して朝から楽しめます。復路は成田空港から空路を利用すれば当日中に帰れます。しかも高速バスとLCCの安い価格同士だから、鉄道の往復よりも遊ぶ時間が長いのにリーズナブルという、夢のようなプランが可能になります。
-
02
提携記念のツアーは「成田→伊勢」。まずは中部国際空港へ。
成田空港から中部国際空港を経由して、伊勢に行くルートが今回のプラン。成田空港→中部空港はジェットスターの直行便はないので、6月1日だけの特別便による運航です。
ジェットスターの特別便の搭乗口。GK881便の運航は今日だけ。
成田空港は第3ターミナルからの出発。LCC各社専用のターミナルで2015年に開業したばかり。質素なつくりですが、必要なものは揃っており、飲食店は早朝から深夜まで営業中。
成田空港第3ターミナルのサテライト(国内線出発ゲートラウンジ)
搭乗口と飛行機は直結していました。バスで移動した先に飛行機がいると思い込んでいたのでラッキー。やっぱり搭乗口からすぐ機内に入れるのは嬉しいですね。
搭乗口の先、機内まではテントの通路で繋がっています。
ジェットスターは、私にとって初搭乗。座席が革張りなことに驚きました。格安というイメージがあったもので、座席はもっとシンプルなものかと想像していました。どうやら、革張りシートのほうが清掃などのメンテナンスがやりやすい、のだとか。
機内サービスは飲み物も有料というところがLCCであることを実感。オーディオサービスもなし。でも、国内線なら長いフライトではないのだから、問題ないですね。旅慣れた人で、余計なサービスは不要という人にはぴったりだと思いました。座席の様子。革張りの座席がスタイリッシュ。
今回は特別フライトということで、記念品の配布も。搭乗証明の絵馬も入ってました。
さらに、参宮あわび姿煮などがセットになった「伊勢せきや」の夏旬鮮が当たる抽選会も実施。記念品の一部。今日だけの特別便の記念品も。
-
03
中部国際空港からはバスで伊勢へ。
成田空港→中部国際空港は1時間15分。離陸から着陸までは約40分ほどでした。首都圏から中部まではあっという間です。
ここから伊勢まではバス。伊勢湾をぐるっと回るルートです。成田空港→中部国際空港→伊勢の大まかな行程©ゼンリン
ここからはピンクのウィラーのバスが出番…と思いきや、
バスの案内表示
今回は名鉄観光バスがスタンバイ。WILLER TRAVELが連携している観光バスでツアーを組むことで効率化を図っているそうです。伊勢までは2時間20分。
本日お世話になったのは名鉄観光バス
正直なところ、東京から伊勢に向かうには、新幹線とJRの快速「みえ」を乗り継いだほうが本数も多く、早く着きます。
このツアーの特徴は「安さ」。成田→伊勢が7,490円でした。仮に東京駅→伊勢市駅を鉄道で移動すると、同じ日(指定席利用時/閑散期料金適用)で12,800円。約4割程度安く済ませることができました。東京駅→成田空港の移動を含めても断然オトク。バスの乗り継ぎ時に迷わない工夫も。
周辺の予約制駐車場
-
04
ツアーのクライマックスは伊勢参り
空路とバスを乗り継いで伊勢に到着。普段ならこのようなルートで来られる方はいないでしょうから、本当に特別な気分になれます。個人的には高校の修学旅行以来で、約20年ぶり。
伊勢神宮に到着。
神宮では「お伊勢さん 観光案内人」の引率で巡りました。神宮に関わることなら何でも知っておられるので、「遷宮」が必要な理由から参拝の作法まで、案内していただく内容がすべてが勉強になります。20年前は漠然と参道を歩いていたから、この案内があれば、もっと実のある参拝だったかも…。
伊勢神宮は5月に開催されたばかりの伊勢志摩サミットで、各国の首脳が参拝したことは有名です。安倍総理とオバマ大統領が握手した場所など、時事ネタも織り交ぜつつ案内していただきました。案内人によるガイドはとても勉強になりました。
いよいよ正宮の「皇大神宮」へ。ここは天照大御神がお住まいになっているところ。願い事をするのではなく、日ごろの感謝を祈る場所です。
20年前に参拝した若造ですが、なんとか再びこちらに参ることができました。ありがとうございます…。
ちなみに、願い事は別宮の「荒祭宮」へ。案内人からは参拝するべきお宮についても教えてもらえるので、再び伊勢参りするときにも役立つ内容が盛りだくさんです。
なお、内宮の参拝は最低でも90分ほどは時間があったほうがよいとのこと。内宮の正宮前。サミットの各国の首脳が並んだ位置も教えていただきました。
外宮にも参拝しました。内宮からは路線バスで約15分。こちらは衣食住をはじめとして産業の守り神の豊受大御神が祀られています。
伊勢参りをするならば、内宮と外宮で順番は問いませんが、どちらもお参りするのが作法。正宮の「豊受大神宮」を参拝の後、別宮の「多賀宮」へ。
外宮も60分ほどの時間があればよいそう。そして、案内人のおススメの参拝時間は空いている早朝か夕方とのこと。外宮の多賀宮。おなかいっぱいごはんを食べられますように…。
周辺の予約制駐車場
参拝したら、食事やお土産もお忘れなく。内宮前の「おはらい町・おかげ横丁」には伊勢名物がいっぱい。赤福や伊勢うどんはもちろん、牛肉専門店で店名がユニークな「豚捨」や、きゅうりスティックがとにかく美味しい「つけもの傳兵衛」など、とにかく美味しいものばかり。伊勢参りは楽しんだ者勝ちなのです。
内宮前のおはらい町。風情ある建物が並びます。
おかげ横丁にある豚捨。コロッケは食べ歩きに最高。
おかげ横丁にあるつけもの傳兵衛。きゅうりスティックは夏には欠かせないアイテム。
-
05
伊勢→新宿はWILLERのバスも運行中。
十分に楽しんだ後、帰路は夜行バスで。ウィラーでは伊勢市駅前から新宿駅(※)、川崎駅まで夜行便を運行しています。
※新宿駅の降車場所は、2016年6月29日まで西口(コクーンタワー前)、30日からバスタ新宿です。ウィラーの新宿/川崎行「L426便」。
4列タイプの「リラックス」シートでの運行で、運賃は4,200円~5,200円。伊勢参りを夕食まで楽しみたい方はこのバスを利用するのが便利です。
リラックスの車内。隣の人の寝顔が気にならないフードが特徴。