きかんしゃトーマスとそのなかまたちを実際のSLで再現させた大井川鐵道。今年も6月11日から10月10日の期間で運行します。 SLとともに雄大な景観と温泉にあふれる沿線の魅力も紹介。さぁ、SLとトロッコとバスに乗って出発進行!
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所有するSLの車両数は国内最大級
大井川鐵道といえば「SL」は欠かせません。営業運転が可能な車両は2016年現在で4両。これはJR東日本と並ぶ、国内の鉄道会社では最多の数を誇ります。
年間走行日数は日本一!平日の多くの日でも現役の列車さながらの活躍を見せています。C11形227号機。
最も古い車両は「C10 8」で、昭和5年製。今年で86歳になります。
C10形8号機。まだまだ現役で走ります!
SLの活躍を添える客車も昭和初期に作られた旧式。現役当時のままの雰囲気を残しています。網棚はその言葉の由来どおりに「網」。冷房はもちろんありません。
そして、乗降用のドアは手動。いまやごく限られた列車でしか体験できない貴重なものです。SL急行の客車内部。レトロな雰囲気は国鉄時代そのまま。
SLの運行には「転車台」という施設も欠かせません。SLの特徴は前後で形状が異なること。向きを変えなくてもどちらの方向にも動けますが、やっぱり「顔」が見えていたほうが走行する姿を見る人にとっては嬉しいですよね。そんな希望を叶えるのが転車台なのです。
機関車を載せて線路を回す装置。千頭駅では人力で回転させます。千頭駅の転車台。これも見所の一つ。(c)2016 Gullane (Thomas) Limited.
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きかんしゃトーマスで見たあの世界が現実に!
きかんしゃトーマス号は2014年から夏~秋の期間で運行しています。今年は6月11日から10月10日まで、主に週末や月曜を中心に運行を予定しています。
新緑の中を走るトーマス号。(c)2016 Gullane (Thomas) Limited.
昨年からはジェームス号も運行していて、7月から8月にかけて、トーマス号とジェームス号どちらも運行する日もありますよ。
ジェームス号は2015年から運転。(c)2016 Gullane (Thomas) Limited.
機関車の顔はトーマス号そのもの。目が動きます!客車もオレンジ色で、すべてがテレビで見た「きかんしゃトーマス」の世界。
沿線で運転する姿を見送ってくれる人もいっぱいいます。トーマス号と見送る人たち。(c)2016 Gullane (Thomas) Limited.
車内のイベントも盛りだくさん。車内はいたるところにトーマスのイラストがあって、特別感を演出。出発時と到着時にはトーマス号が車内放送で挨拶してくれます。
車内販売もあります。乗車記念のおみやげとしてグッズを買うのもいいですね。トーマス号の客車内の様子。(c)2016 Gullane (Thomas) Limited.
千頭駅では、新金谷に折り返すまでの間、トーマスフェアを実施しています。仲間のヒロとパーシーが待っていてトーマスと3両が並びます。いつも記念撮影で大いに盛り上がります。
乗っても、見ても、降りても楽しいトーマス号。きっと思い出に残る一日になるでしょう。千頭駅に勢ぞろいした仲間たち。あたかも会話をしているかのよう。(c)2016 Gullane (Thomas) Limited.
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すれ違う普通列車も「レジェンド」
普通列車も実は侮れない車両ばかり。昭和生まれで、大手私鉄で運行していたことのある車両が走っています。
下の写真は16000系。昭和40年から近鉄南大阪線の特急として活躍した車両です。もともとは特急料金が必要だった車両に、乗車券のみで乗れると思うと、ちょっと得した気分になれます。16000系。元・近鉄の特急。
この他にも、南海で運行されていた21000系と、東急で運行したのち、青森県にあった十和田観光電鉄に移籍、さらに大井川鐵道にやってきた7200系が稼働中です。過去には京阪や名鉄の車両や、小田急のロマンスカーが走っていたことも。
金谷駅~千頭駅の本線はまさに「動く鉄道の博物館」。往年の名車たちが行き交うのです。21000系。元・南海の急行。通称「丸ズーム」。photo By Tak0317 CC BY-SA 3.0 from Wikimedia Commons
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千頭駅から先は「トロッコ列車」の井川線。国内唯一の激レア区間も。
SLを降りてもまだまだ見所がいっぱいの大井川鐵道。千頭駅からは井川線が続きます。元々はダム建設のために作られた路線で、途中のトンネルなどは小ぶり。車両も井川線専用です。ちなみに、線路幅は大井川本線やJRの在来線などと同じ1067mm。
ダムが完成した現在、観光路線として概ね日中に運行しています。井川線の車両。とても小ぢんまり。
アプトいちしろ駅~長島ダム駅間は日本一の勾配があり、通常の鉄道では運行ができません。そのため、歯車を装備した特殊な機関車の力を借ります。
アプトとは特殊な区間の運転方式名称の一つ「アプト式」に由来しています。アプト式区間を走行する井川線。線路の間のギザギザが特徴。
機関車というと「引っ張る」イメージが強いですが、この区間は勾配の昇り降りともに「下流側」に連結。昇るときは押し上げ、降りるときは暴走しないように背負ってゆっくりと進みます。
機関車連結のシーンを見たいときは、下流側の車両にご乗車ください。アプト式区間だけ走る機関車。歯車を使って登ります。
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井川線の絶景ポイント!「長島ダム」と「奥大井湖上駅」。走行シーンを見られる裏ワザもあり!
アプトいちしろ駅~長島ダム駅間は、ダムの下流側を回るように走り、井川線に乗ってダムの景観を楽しめます。
長島ダムは平成14年に完成。ダムを紹介する施設「ふれあい館」や公園があって、途中下車して散策するのにぴったり。
長島ダム駅から約5分ほどの場所には展望広場があって、アプト式区間を昇り降りする井川線の列車を眺めることができます。長島ダム。重厚な構えをしています。photo By Qurren CC BY-SA 3.0 from Wikimedia Commons
奥大井湖上駅は、その名の通り「湖の上」。両端は鉄橋という、駅自体が絶景スポットになっています。接阻峡温泉駅側(千頭駅から乗車した場合は、進行方向前寄り)の鉄橋は歩道がついていて、対岸まで渡ることが可能です。
対岸の道路から奥大井湖上駅を眺めると、その立地にあらためて驚くはず。ぜひ途中下車をおススメしたい駅です。鉄橋を走行する井川線。奥大井湖上駅は左手前。
これらのスポットを乗って楽しむ他に、走っている風景を楽しむ方法があります。それが路線バスの「閑蔵線」。トーマス号が千頭駅へ11:54に到着し、閑蔵線の路線バスは千頭駅前を12:20に出発します。すると、千頭を12:28に出発する井川線の列車より先回りして長島ダムや奥大井湖上駅に行くことができるのです(2016年6月現在のダイヤ)。
奥大井湖上駅のビュースポットは「湖上入口」バス停で降り、トンネル手前の道を右へ。数分歩いたところから奥大井湖上駅を見渡せます。その先の遊歩道を進むと鉄橋経由で駅まで行くことも(徒歩約20~30分ほど)。路線バス閑蔵線。井川線の列車より先回りできます。
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美人になれる温泉あります!それは「寸又峡温泉」。
千頭駅前からの路線バスは、閑蔵線の他に「寸又峡線」があります。行き先は寸又峡温泉。井川線の奥泉駅前を経由し、約40分で到着です。
路線バス寸又峡線。本線の列車から接続して運行しています。photo By Cassiopeia_sweet from Wikimedia Commons
ここは「美女づくりの湯」とも呼ばれています。湯上りの肌がつるつるすべすべになるのが特徴。切り傷や糖尿病などにもよいとされているので、湯治にも最適。
温泉街には8箇所の宿泊施設があり、もちろんすべて温泉付きです。のんびりゆったりした雰囲気なので、普段の生活でのストレスも、温泉に浸かればリフレッシュできますよ。寸又峡温泉の宿泊施設にある温泉と、「ゆらぎ手形」。写真提供:寸又峡美女づくりの湯観光事業協同組合
町営の露天風呂もあるので、日帰りでも寸又峡温泉の名湯を楽しむことができます。
温泉街にある9箇所の温泉のうち、3箇所の湯めぐりができる「ゆらぎ手形」を宿泊施設やお土産屋で販売しています(1,000円)。せっかくですから、他所のお風呂にも入っていきませんか?町営露天風呂 美女づくりの湯。男湯ももちろんあります。写真提供:川根本町まちづくり観光協会
温泉街の先「夢の吊り橋」も寸又峡の人気スポット。高さ約8m、長さ約90mで、渡るのには少し勇気がいりそう。でも、橋の真ん中で恋のお祈りをすると叶う、らしいです。お試しあれ。
夢の吊り橋。勇気を持ってチャレンジしよう!写真提供:川根本町まちづくり観光協会
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存分に満喫するには「せっそ・すまた周遊きっぷ」が断然オトク!
今まで紹介してきた鉄道、バスを乗り放題のチケットがあります。それが「せっそ・すまた周遊きっぷ」。有効期間は2日間(大人:3,900円、子ども(小学生):1,950円)と3日間(大人:4,900円、子ども(小学生):2,450円)の2種類(価格は2016年6月現在)。温泉に宿泊して奥大井エリアをたっぷり観光することができますし、日帰りも新金谷駅~長島ダム駅間の往復だけでもこちらがオトク。
SLに乗車の場合は別途急行券すれば乗車できます。せっそ・すまた周遊きっぷ。鉄道、バス乗り降り自由!