2月19日(金)に東京急行電鉄が運営する「電車とバスの博物館」がリニューアルオープンします。
運転シミュレーターが増設され、バリエーションが豊富に。子どもからプロに匹敵する腕を持つ人までどなたでも楽しめるようになりました。
さらに、Nゲージのジオラマコーナーも新設。鉄道模型好きな方にもおススメです。
場所は田園都市線宮崎台駅降りてすぐ。
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宮崎台駅を降りたらすぐ目の前!入口は迷うことはありません
田園都市線の宮崎台駅の改札口は1ヶ所。改札を出て、すぐ右手に入口に向かう通路があります。
シンプルだけど目立つ入口
建物の入口に向かう通路もリニューアル。休館前に開催されたイベントで子どもたちが描いた塗り絵が展示されています。
壁面がカラフルになりました
入口では東急線のキャラクター「のるるん」がお出迎え。ドアが電車の扉のような模様になりました。
ちなみに、右に「2016」、左に「2」とあるのは、車両番号と号車番号をイメージしていますが、リニューアルオープン(2016年2月)を記念した語呂なのだそうです。博物館というより、電車に乗るイメージ
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入口の「改札」も新しくなりました
館内は東急線の各駅でよく目にするサインデザインが各所にあります。
券売機はICカードリーダーがあって、PASMOやSuicaなどでも購入できます。モバイル系ICカードでも購入できるよ
入場口も改札風。ここもリニューアルされ、従来の磁気券方式から二次元コード方式に変更しています。
ちなみに、この改札方式は空港の搭乗口や沖縄モノレールなどで見かけることができます。入館券は「投入する」から「かざす」に変更
館内は4つのゾーンがあります。
入口のすぐ先には3階の「パノラマワールド」。鉄道模型がいたるところで走っています。お帰りのお土産もこちらでどうぞ。
2階には動く仕組みを間近に見られる「ゾーン3450」。
1階は運転シミュレーターとバスの世界が広がる「シミュレーターワールド」になっています。
別館となるB棟は「キッズワールド」。子ども向けのシミュレーターやプラレールなど、親子で楽しめるコーナーになりました。背景はうっすらと「ダイヤ」が書かれています
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鉄道模型好きの人にはたまらない「3F パノラマワールド」
リニューアルの目玉の一つが、新設されたNゲージパーク。東急線沿線のイメージしたジオラマに仕上がっています。10分ごとに100円の別料金となりますが、自分で鉄道模型を動かすことができます。お手持ちの自慢の車両を走らせることができます(概ね5両程度の長さがちょうどよい)し、車両のレンタル(無料)もあります。
ご自宅にあるNゲージの車両をここで走らせてみませんか?
パノラマシアターは演出がリニューアル。オリジナルBGMとともにHOゲージ(ちょっと大きめの鉄道模型)が目の前を走っていきます。このBGMは、東横線渋谷駅の発車メロディなどを手掛け、鉄道好きで知られる、向谷実さんが作成しています。
時間帯によって、東横線で人気の「Hikarie号」や、往年の名車「青ガエル」などが運行します。様々な趣向を凝らしているので、何度でも見たくなりますよ。東急って、こんなに車両のバリエーションがあるのか!と唸りたくなるラインナップ
鉄道模型の運転、信号などの電車の運行の仕組み、運転台の体験を融合させた「ジオラマシミュレーター」もあります。車両に小型カメラが搭載されているので、運転台からの映像と、車両の走行シーンを同時に楽しめます。
従来の「ダイヤル式」のコントローラーではつまらない方はこちらもどうぞ
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親子で電車の運転を楽しめる!「B棟 キッズワールド」
一旦館内を出て、道路を渡った先にB棟があります。リニューアル前は主にイベントスペースとして利用していた場所。
B棟入口。モハ510形がお出迎え(ちょっと暗いけど写真の右)。
新設された「キッズ・シミュレーター」は子どもでも簡単に電車の運転ができるシミュレーターになっています。ハンドルの操作方法も随時モニターに表示されるので親切。
運転台は3人掛けの椅子になっていて、子どもの運転を隣で親が見て一緒に楽しめます。こういったシミュレーターは他にはないユニークなものだそう。
電車の車体のデザインも自由に設定が可能。当日、館内で作ることもできますが、自宅から専用のホームページにアクセスして、事前にデザインを設定することもできます。博物館に行く前から楽しめるんです。本日は「大きい子ども(36歳)」が体験してきました。
子どもに人気のおもちゃ「プラレール」も遊べます。展示コーナーのほか、実際にレールを敷いて車両を走らせられるコーナーもあります。
将来の「鉄道員」「鉄ちゃん」の育成に、ぜひ。
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シミュレーターのバリエーションが大幅に増えました「1F シミュレーターワールド」
新設とリニューアルで、合計3台のシミュレーターが1階にあります。
新しくできたのは「東横線CGシミュレーター」。とても鮮明な映像で、現実とも思えるクオリティ。東急の運転士養成にも使用されているシステムをベースにしているそうです。
細かいこだわりは、「画像の視点」。実写版のシミュレーターだと、映像収録時のカメラ位置の関係で、運転台からと異なります。このシミュレーターは運転台の位置からの映像なので、より正確に運転の感覚がつかめるそうです。
確かに、よーく見比べると、CGのほうが「やや左寄り」に見えます。ガイダンスがついているので、大人の初心者でも大丈夫。
リニューアルされたのは「8090系運転シミュレーター」。従来は各停のみ、かつ、運転する区間は自分では決められませんでした。
今回の更新で、急行・特急運転も可能に。さらに、難易度も選べるようなりました。エキスパートモードのうち最も難しいのは田園都市線の朝ラッシュ時の急行運転。制限速度がめまぐるしく変わり、正確に運転できるのは至難の技。運転手さんの苦労も味わえます。あの向谷実さんがエキスパートモードに挑戦中!
なお、リニューアルに伴い、1回の運転で300円の別料金が必要になります。
また、時間帯の予約も可能に。シミュレーターは以前から人気のあるコンテンツ。どうしても行列が絶えず、1時間待ちということもありましたが、そんな不便なところを解消してくれるはず。予約券発行機。某テーマパークのファストパスのようなもの。
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博物館の醍醐味、レジェンドたちの展示も見逃せない
1階には「玉電」こと、廃線となった東急玉川線の路面電車、デハ200形があります。
今の田園都市線では想像もつかないですが、渋谷~二子玉川間は昭和44年まで路面電車でした。そのときの主力がこの車両です。
ちなみに、世田谷線が路面電車なのはこの時代のなごり。デハ200形。当時は斬新なデザインでした。通称「ぺこちゃん」。
同じく1階にバスも2台展示されています。そのうちの東急コーチバスは、昭和50年代に斬新なサービスを提供していました。例えば、乗降客がいる場合に限って、通常のルートからそれて停留所を迂回する「デマンドサービス」など。内装も路線バスとしては豪華でした。
東急コーチバス。バスのシミュレーターもあります。
駅も保存されています。旧「高津駅」の窓口と改札口を3階に展示。普通運賃表も当時のままのものを掲示しています。
高津駅。当時は大井町線でした。渋谷まで40円。
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細かいところまでこだわってます
館内の柵の色、虹色のようにも見えますが、実はこれ、「東急各線のラインカラー」なんです。東横線は赤、田園都市線は緑など全部で8色。1本ずつ丁寧に塗り分けたそうです。
上から、こどもの国線、東横線、目黒線、田園都市線、大井町線、池上線、東急多摩川線、世田谷線
3階の奥には「電車のしごと」コーナーがあります。運転手や車掌、保線に関わる人たちの業務を子ども向けに紹介しています。
下のほうに書かれている内容ほど低年齢の子どもでもわかりやすく説明しているそう。何回か来るうちに仕事の内容を把握して、いつかは東急で働きたい!と思ってくれるのを願っているとか。自分が子どもの頃にこの博物館があれば、いずれは…。
宮崎台駅からの入口付近には踏切があります。駅を通過する電車にあわせて実際に作動します。田園都市線では唯一の踏み切りなのだそう。
電車が来るのを「待ちたくなる」踏切。
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マニア心をくすぐる展示も見逃せない
最後に、マニアな私が選んだ見逃せない展示品を紹介。
1つめは「バスの方向幕」。なんと、自分で操作して系統を表示できます。自動放送も流れます。いつかは操作してみたい、と思っていたんですよね~。方向幕を操作できる博物館は激レア。
2つめは「飛行機」。電車とバスの博物館ですが、キッズコーナーの奥にあります。理由を知っている方は相当な東急通。以前「日本エアシステム(JAS)」という航空会社がありました(現在は日本航空(JAL)に合併)。その大株主が東急電鉄だったのです。
展示されているのは国産旅客機のYS-11。現在は日本の航空各社は外国製の航空機しか保有していませんが、昭和には国産もあったんです。電車とバス以外の「レジェンド」。
最後は、東横線の渋谷~代官山間の地下化切り替え工事の映像。2013年3月、東横線の渋谷駅は地下に移転しました。しかし、地上駅から切り替える時間は深夜の電車が動かないたったの「3時間半」。そのときのドキュメンタリー映像が3階の電車のしごとコーナーで流れています。
時間通り、しかも正確に作業していく作業員たち。失敗の許されない一発勝負のドラマをぜひご覧ください。工事のワンシーン。個人的にはプロジェクトX級の大作と思います。