東京・品川にある閑静な高級住宅街の中に建つ「原美術館」。丸みを帯びた建築、緑の芝生がまぶしい中庭、そしてアートなスイーツが魅力のカフェ。決して大きいとはいえないけれど、ノスタルジックで不思議な包容力をもつ原美術館の魅力をご紹介します。
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人の面影が残るやさしい空間
原美術館のはじまりは、開館から40年も前の1938年。実業家・原邦造という個人の邸宅として誕生したときに遡ります。東京国立博物館や銀座の和光本店なども手がけた当時の建築家、渡辺仁により設計されました。
緑が茂る庭に囲まれたアプローチ
かつては建物を取り壊すという計画もありましたが、1979年に美術館として開館。現代までその姿を残し、日本におけるモダニズム建築、あるいは昭和初期の洋風建築の貴重な例の一つと言われ今も多くの人を惹きつけて止みません。
真っ白な壁に囲まれた館内
木製の床張りの館内、アーチを描く窓や外壁など、直線的で無機質な美術館のイメージをくつがえす内装は訪れる人に新鮮な驚きを与えます。“誰かが住んでいた”面影の中に現代アートが点在している、この不思議な空間こそが原美術館の魅力でもあるのです。
緑と窓枠のコントラストが美しい
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珍しかった現代アート専門の美術館
開館当初は珍しかった現代アートを専門に扱う原美術館。当時から積極的に作家との交流を図りコレクションを形成していきました。現在でも現代美術の最新動向や有望な新人を意欲的に紹介。またその場として年間3~4回の展覧会、講演会やパフォーマンスなど各種イベント、教育プログラムを行っています。
奈良美智/「My Drawing Room」/2004年8月~/制作協力: graf/Photo by Keizo Kioku
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何を感じるかはあなた次第
原美術館には、建物のつくりを活かした複数のインスタレーション作品が常設展示されています。インスタレーションとは、作家の意向に沿って空間構成自体を変化させる事で、その空間全体を作品として表現する方法です。
「時の連鎖」は、自らドアを開けて真っ暗な小部屋に出入りできるユニークな作品。中では半円状の壁に、発光する数字のラインが浮かび時を刻み続け、作品と一体となる不思議な感覚を味わえます。宮島達男
中にはこんな不思議な作品も。元はトイレだった場所を鏡張りにして、作家自らポーズをとり石膏で型をとった「自画像」が設置されています。ちゃんと水も流れてトイレとして機能するというから驚き。自由な発想にわくわくしますよね。
森村泰昌/「輪舞」/1994年/Photo by Keizo Kioku
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ここでしか味わえない“アートな”ケーキ
中庭に併設されている「カフェ ダール」は、原美術館いち開放感抜群のスポット。中庭に面したガラス張りの空間にテーブルとチェアーが配され、美しい緑の芝とその上に抜ける空を眺めれば、都会にいるとは思えない癒しのひととき。
晴れた日は窓を開放し、風の抜ける空間へ
オリジナルの「イメージケーキ」は、開催される展覧会ごとにそのイメージに合わせたデザインのケーキでまさに“食べられるアート”。展覧会期間のみの提供なので、どれも二度と味わえない貴重なものです。鑑賞後の感動をさらに舌でも味わって♪
「ヘンリー ダーガー 少女たちの戦いの物語─夢の楽園」展時のイメージケーキ
「蜷川実花:Self-image」展時のイメージケーキ
また週末&数量限定で、ペアで楽しめる「ガーデンバスケット」も登場。骨付きフランクやプチオードブル、フルーツなどが盛りだくさんのバスケットに、なんとワインのフルボトルがついてくるんです!お天気のよい日にはテラス席で、青空のもと優雅なピクニック気分も味わえます。
リッチなピクニック!ワインは赤・白好きなほうを選べます。
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愛嬌あるグッズも満載
館内にあるミュージアムショップでは、展覧会のカタログのほかアーティストとのコラボレーションによるオリジナル商品が多数販売されています。アートという堅苦しいものではなく、生活を彩る楽しくて可愛らしいグッズがいっぱい!
収蔵作家でもある加藤泉とのコラボレーショングッズは、ちょっと変わったステーショナリー。ペンを傾けるとボディの中の絵が特殊なオイルによって動き出します。
また、かつての酒屋さんが業務用に使用した、染め抜きの前掛けをアレンジしたエプロンも人気。宮城の職人による伝統技法と、現代美術の先端を走る作家のモチーフとの新旧コラボが新鮮です。(右)束芋 「虫遊び」帆前掛け 3,020円(税込)(左)加藤泉 × HARA MUSEUM オリジナル フローティングペン 900円(税込)
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安らぎに満ちた美術館
歴史を刻む静かな建物と、見る時見る人によって自由な解釈をさせてくれる色褪せない現代アートたち。ゆったりと世界に浸るなら、平日の午前中がおすすめ。展示はもちろん、美術館そのものに包まれるようなやさしい時間をぜひ体感してみてください。