明治期に現在の沖縄県となるまで、琉球王国という「外国」だった沖縄。首里城を中心とした琉球王国は、交易を通して日本や中国、朝鮮やさらには東南アジアなど周囲の国々の影響を受け、日本とは異なる独自の文化を育んできました。このような歴史を持つ沖縄で長く信仰されてきたのは、概念としては日本のものに近いながらも、琉球神道とよばれるアニミズムと祖霊信仰を基本とした多神教宗教で、土地そのものや植物などに神々のエネルギーを感じてきました。現代の日本人から見れば、かすかな懐かしさとともにエキゾチシズムを感じられる、そんな沖縄のパワースポットを6選紹介します。
※情報は記事公開時点のものです。詳細は公式HP及び電話等で直接店舗へご確認ください。
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沖縄にはどんなパワースポットがある?
沖縄のパワースポットの大きな特徴が、寺社仏閣などに代表される建造物だけでなく、土地そのものにも存在するという点です。たとえば、沖縄の南西諸島に広く分布している「御嶽(うたき)」。住民の守護神といえる祖霊神が祀られており、本土の神社に近いかもしれませんが、神社のように建造物を建てることはなく、土地そのものや自然を崇める場所となっています。もちろん、建造物のパワースポットも後述するように、いくつか存在します。
ただし、御嶽をはじめとする土地そのものがパワースポットとなっている場所の中には、島民が古くからの歴史や伝統を守り立入禁止(行ってはいけない)区画としているところも多いので、訪問の際は観光客の訪問が可能かどうか、事前によく確認する必要があります。 -
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【南城市】久高島(くだかじま)|神々が降り立つと伝わる“神の島”
沖縄本島の東南端に位置し、琉球民族発祥の地とも伝えられているのが「久高島」です。
世界文化遺産にも指定されている聖地「斎場御嶽(せーふぁーうたき)」から見て、東の海には死後の世界「ニライカナイ」があると考えられています。その途中に位置する「久高島」は、ニライカナイへの「お通し(遥拝)」所として崇められ、琉球王朝時代より神事がとり行われてきた神聖な“神の島”として、島全体が聖域とされています。聖域ゆえ、島のものは小石ひとつたりとも持ち帰ってはならないという決まりがあり、観光客はその決まりを守りながら訪れなければなりません。島内には、いくつかパワースポットが点在しています。たとえば、五穀の種子が入った壺が漂着したという五穀発祥伝説の浜として重要な祭祀場所であり、多様な海岸植物が群生することで天然記念物にも指定されている「イシキ浜」や、琉球開闢(かいびゃく)の女神アマミキヨ(アマミチュー)がニライカナイより降り立ったとされる聖なる場所「カベール岬」などがあります。
なお、島内各所への移動はレンタサイクルか徒歩が主で、レンタカーはありません。
【アクセス】
・「那覇空港」より安座真港(久高島へのフェリー・高速船乗り場)まで車で約50分⇒安座真港よりフェリー(約25分)または高速船(約15分)で徳仁港下船
・沖縄都市モノレール(ゆいレール)「旭橋駅」より徒歩約3分⇒那覇バスターミナル38番より乗車し、「知念安座真サンサンビーチ入り口」バス停下車(約1時間)⇒安座真港まで徒歩約5分 ※バスは本数が限られているので、乗車の際はご注意ください -
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【南城市】ガンガラーの谷|古代より伝わる雄大な自然を感じられるスポット
数十万年前に鍾乳洞が崩落してできた谷間で、ガジュマルやクワズイモといった亜熱帯植物が眼前に広がるさまは、まさに秘境と呼ぶにふさわしい圧巻の光景です。また、約2万年前の旧石器時代に生き、日本人の祖先である可能性が指摘される港川人の居住地であったことが、近年の発掘調査で明らかになりつつあることでも知られています。
鍾乳洞を抜け、視界を覆い尽くさんばかりに生い茂る亜熱帯原生林へと歩き進むと見えてくるのが、「イナグ洞」に「イキガ洞」です。イナグとはうちなーぐち(沖縄の方言)で「女性」を、イキガは「男性」をそれぞれ意味し、良縁や子宝、命の成長を願う洞窟として祈りが捧げられてきました(ただし、洞窟内は安全面から立入禁止となっています)。
そして、さらに奥へ進むと現れるのが、「大主(ウフシュ)」と呼ばれる推定樹齢150年のガジュマルの大木です。ガジュマルは火の精霊「キジムナー」が宿るとされ、幸せを招く樹木と言い伝えられています。
なお、見学に際しては、専門ガイドと一緒に歩くツアー(所要時間約1時間20分)以外での入場はできず、ツアーガイドは前日17時までの事前予約が必要です(定員に空きがある場合のみ、当日の予約も可)。
【アクセス】
・那覇空港より車で約30分
沖縄自動車道 南風原南ICで下りて約10分、観光施設「おきなわワールド」入口向かい
・沖縄都市モノレール(ゆいレール)「旭橋駅」より徒歩約3分⇒那覇バスターミナル83番(約50分)または54番(約1時間~1時間半)より乗車し、「玉泉洞前」バス停下車 -
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【那覇市】波上宮(なみのうえぐう)|琉球王国における最高位の神社
その名の通り、なだらかな浜辺の一角に急に現れる切り立った崖の頂に鎮座し、諸外国との交易基地であった那覇港の航海の安全を祈っていた神社です。
創始年は不詳ですが、はるか昔からニライカナイの神々へ日々の祈りを捧げる聖地・拝所として信仰を集めてきました。やがて琉球王朝が興ると、琉球王府からも篤い信仰を受けるようになり、毎年正月には王自ら参拝して国家の平安と繁栄を祈ってきました。琉球王府から特別の扱いを受ける「琉球八社(官社)の制」で、最も格上の「琉球国一之宮」に定められています。
海上安全や五穀豊穣をはじめ、恋愛成就や良縁祈願、安産祈願などさまざまなご利益があるとされ、今も沖縄県民から“なんみんさん”の愛称で親しまれている「波上宮」。那覇空港から車で約10分というアクセスのよさもうれしいところですね。
【アクセス】
・那覇空港より車で約10分
・沖縄都市モノレール(ゆいレール)「旭橋駅」より徒歩約15分
沖縄都市モノレール(ゆいレール)「県庁前駅」より徒歩約3分⇒「パレットくもじ前」バス停より2・5・15・45番バスに乗車し、「西武門」バス停下車(約10分)⇒徒歩約3分周辺の予約制駐車場
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【うるま市】浜比嘉島(はまひがじま)|30以上の拝所があるパワーに満ちた島
「浜比嘉島」は、沖縄本島から海中道路、そして見晴らし抜群の浜比嘉大橋を経て車で行ける、人口500人ほどの小さな島です。石垣や赤瓦の屋根といった昔ながらの沖縄の離島らしさをもちます。のんびりとした雰囲気のこの島には30以上の拝所があり、久高島と同様に、琉球の開闢神話が残る聖域とされています。
琉球開闢(かいびゃく)の女神アマミキヨ(アマミチュー)がニライカナイより久高島へ降り立ったのち、「こちらには立派な洞窟も水もある」という理由から移り住み、男神シネリキヨ(シルミチュー)とともに暮らしたという神話が伝えられており、その二神を祀ったのが「シルミチュー霊場」「アマミチューの墓」です。
「シルミチュー霊場」は、比嘉漁港南方の森の中にある108段の石段を上ると現れる巨大な洞窟です。ここで二神が子を授かったことから、この洞窟の中にある鍾乳石の陰石は、拝むと子宝に恵まれる霊石として言い伝えられてきました。
一方の「アマミチューの墓」は、「シルミチュー霊場」の北東部に位置し、「アマンジ」と呼ばれる小島の洞窟にある二神の墓所です。今も五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を願う多くの参拝者が訪れています。
【アクセス】
・那覇空港から車で約1時間30分
・沖縄都市モノレール(ゆいレール)「旭橋駅」より徒歩約3分⇒那覇バスターミナル27番より乗車し、「JA与那城前」バス停下車(約1時間50分)⇒うるま市コミュニティバスに乗り換え「浜漁港前」バス停下車(約10分) -
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【国頭郡】古宇利島(こうりじま)|恋の島として伝わる恋人たちに人気のパワースポット
国頭郡今帰仁村にある「古宇利島」は、浜比嘉島と同様、沖縄本島から車で行ける昔ながらの離島らしさを漂わせた小さな島です。「古宇利島」への道である古宇利大橋から見渡せるエメラルドグリーンの海は、うちなーんちゅ(沖縄人)も絶賛するほどの美しさと透明度を誇ります。
ある日、天から全裸の男女が降り立って、この島で暮らし始めたという伝説から、「古宇利島」は古くから「恋の島」や「神の島」と言い伝えられています。中でも“ハートロック”と呼ばれるハート形の岩が点在するティーヌ浜は、恋人たちに人気のスポットです。また「古宇利島」には、「七杜七嶽」と称される7つの御嶽(マハーグチ御嶽、トゥンガヌ御嶽、ソーヌ御嶽、プトゥキヌメーヌ御嶽、ビジュルヌメー御嶽(ハマンシヌ御嶽)、マチジヌ御嶽、ナカムイヌ御嶽)があり、いずれの御嶽も地元の人たちによって大切に守られています。特に、ビジュルヌメー御嶽は子宝祈願の聖地とされ、遠方からも参拝者が訪れるとのことです。
【アクセス】
・那覇空港から車で約1時間30分
・やんばる急行バス空港線「那覇空港国内線ターミナル」より約2時間⇒「本部博物館前」下車後やんばる急行バス四島線に乗り換え約50分⇒「トケイ浜・ハートロック」バス停下車(島内にほか2ヶ所のバス停あり) -
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【国頭郡】伊江島(いえじま)
「伊江島」は、本部半島の「美ら海水族館」近くの「本部港」から、フェリーで約30分のところにある離島です。直接車では行けませんが、事前予約をすれば車・バイク・自転車でフェリーに乗船可能です。
島のほぼ中央部にそびえ立ち、“タッチュー”の呼び名で島のシンボルとして親しまれている岩山「城山(ぐすくやま)」や、“ワジー”と呼ばれる良質な湧水の水源地を有する断崖絶壁の「湧出展望台」など、見ごたえのある観光スポットが点在しています。中でも、地元の人々から子宝祈願にご利益のある御嶽として信仰を集めているのが、車で10分ほどのところにある「ニャティヤ洞(がま)」です。
戦時中、島民の防空壕として利用され、多くの人々の命を守ったことでも知られるこの洞窟には「ビジル石(または力石)」があり、子宝を望む女性が持ち上げると子宝に恵まれるという言い伝えがあります。ちなみに、持ち上げた石が重ければ男の子、軽ければ女の子を授かるのだとか。
【アクセス】
・那覇空港から車で約1時間30分または沖縄エアポートシャトル[リゾートライナー]で約2時間⇒「本部港」よりフェリーで約30分
※フェリーは本数に限りがあり、天候によっては運航中止となる場合もあるのでご注意ください