岐阜市にある複合施設、通称“メディアコスモス”。メイン施設は公共の図書館ですが、その館内が「おしゃれすぎる!」と各所で話題を集めています。県内外から訪れる人があとを絶たず、オープンから2年で来館者数は240万人超え。老若男女を惹きつけてやまないメディアコスモスの見ドコロを探るべく潜入取材をしてきました!
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「みんなの森 ぎふメディアコスモス」とは?
施設はJR岐阜駅からバスで10分ほど。「メディアコスモス前」で降りるとすぐに茶色い2階建ての建物が見えます。
天気がいいと建物右奥に金華山、岐阜城も見えます!
「みんなの森 ぎふメディアコスモスは市立中央図書館、市民活動交流センター、展示ギャラリー等からなる複合施設。市民の人が集う「知の拠点」「絆の拠点」「文化の拠点」の場として、2015年7月に開館しました。
利用する人が主人公という意味をこめて「みんなの森」、さまざまな情報が宇宙まで広がっていくという期待をこめて「メディアコスモス」と名付けらたそう。
メディアコスモスの誕生は、新しい「まちづくり」プロジェクトの大きなひとつでした。市民の意見を反映しながら、構想から計画、そして具体的な施設のイメージができあがっていったそうです。
今回はメディコス(子どもたちはこう呼んでいるそう)の事業課で勤務されている片岡さんに館内を案内して頂きました。メディコスが愛される秘密を探っていきたいと思います!ひろびろ~~なロビー
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メディコスの見ドコロ① ユニークな“建築美”
まずは施設の2階、市立中央図書館へ。エスカレーターを上がっていくと、頭の上にふりそそぐおだやかで気持ちのよい光。見上げると、まるで宇宙空間に吸い込まれていくような感覚!わくわく!
フロアに降り立つと同時に、どこからともなく香る木のいいにおい~。これは天井部に使用されている岐阜県東濃地方を中心に産出される“東濃ひのき”の香りだそう。
図書館で森林浴。まさに「みんなの森」。
メディコスの設計は建築界のノーベル賞とも言われる「プリツカー建築賞」を受賞した世界的建築家・伊東豊雄氏が担当。フロアを見上げるとメディコスの象徴ともいえるゆるやかな波を描く「木造格子屋根」、そしてそこから吊り下がる電気傘の「グローブ」が目に飛び込んできます。どちらも日本初の建築手法だそうで、ヨーロッパの建築家も視察に来るほどの技術なんだとか。
まさに日本が誇るべき建築!
木造格子屋根は、メディコスの背後にある山並みに呼応するようにデザインされました。このうねり、なんと現場で層を積み重ねながらつくり出されたんだそう。木でできているとは思えないようなやわらかなウェーブは、職人さんたちの神業としか思えません・・・!
作業には、大勢の地元の大工さんや製木所も参加したそう。
不思議な形の「グローブ」の下はそれぞれスペースが設けられていて、子どもたちが裸足で遊べたり、ソファでくつろいで読書を楽しめる空間になっています。このグローブ、本当に光がやわらかく降り注いできもちいいんです。
グローブにはたくさんの機能がつまっています。1つは換気。上部にある開閉式の窓を開けることでグローブ自体が風の流れを生み、2階全体の換気をすることができるのです。2つ目は照明。天窓からの自然光を拡散、読書に適したおだやかな光を届けます。
最後はその表面に施されたさまざまな形のデザイン。これは、各グローブ下のスペースを指し示すサインの役割ももっており、訪れた人が一目瞭然で行きたい場所へ向かうことができるのです。
館内に設置された案内図にグローブの絵柄が。
1階の天井は板を等間隔に配置し、配管などの構造をむき出しにしたスタイリシュなつくり。これは部材が減ることで重さもコストも半分な上、この構造によって内部にある吸音材の効果が高められたり、地震の際などに天井部からの落下物を最大限減らせるという利点があるんだそう。
ひとつひとつの設計に機能とやさしさがつまっています。感動・・・。
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メディコスの見ドコロ②子ども”のびのび”空間
一般的な図書館のイメージというと、少しのおしゃべりもはばかられるような静寂の空間。でもここ、メディコスには子どもたちが声に出して本を読んだり、思いのままに過ごせる空間が用意されているんです。
絵本エリアのそばにある「親子のグローブ」の下は裸足でもOK!子どもたちがリラックスして絵本を読んだり、寝転がったりできるようになっています。
岐阜では公園デビューならぬ“メディコスデビュー”でしょうか。
注目は絵本の棚についた動物やお花などのかわいいサイン。これはどこの本棚から取ってきたかわかるように、子どもたちの自主性を育ててくれる仕掛けもになってるそうですよ!
デザインはすべて伊東豊雄建築設計事務所が監修。
子どもサイズのテーブルとチェアーも置かれていてこれがまたカワイイこと♡メディコスだけのオーダーメードだそうです。
オトナ顔負けの本格家具です!
児童書の棚の合間には、司書さんが選んだ推薦本を展示したコーナーが。まるで映画館のように本を映画に見立てて紹介する一風変わったスポットを発見!子ども達の本選びの選択を広げてくれるのがメディコス流。
工作のクオリティが高い!
中高生向け(ヤングアダルトコーナー)も設置。思春期の学校生活や恋愛の悩みを赤裸々に投稿、図書館司書がそれに答えてくれる投書コーナーも人気!真剣な悩みや疑問に対して、大人が時に厳しく時にゆる~く回答。結構クスッと笑えます。
思春期の悩みをライトに相談できるっていい!
図書館は“子どもの声は未来の声”という考えで運営をしているそう。
「子どもの成長をあたたかく見守る場でありたいという願いから、子どもたちが多少騒ぐ声は優しく見守り、また利用者の方々にもそういう場所であるということをご理解いただいています。」と、片岡さん。
なんてオープンな図書館!全国的にもまだまだ珍しいようです。 -
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メディコスの見ドコロ③思わぬ本と出会える!
歩いていると気づくのですが、メディコスの本棚は各グローブに向かってうずをまくようにカーブしているんです。これは思わぬ本との出会いを楽しんでほしいという思いから、歩いていると背表紙が自然と目に入るように設計されているのだとか。
本棚の高さは一般的な大人の身長より少し低く揃えられていて、「顔の見える図書館」という開放感と安心感も備えています。一般的な図書館は本棚が壁のように感じて圧迫感があるけれど、メディコスは本選びも楽ちんだしなんだか楽しい!
本をたくさん持ち運びたいときにはカートが借りられます。通路も広いので動きもスムーズ。
カートにはバッグなども置ける棚付き。両手があいてらくちん♪
なんと座席数は全部で約900!席とり合戦になりがちな“図書館あるある”も心配無用。
持ち込みパソコン席も。
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メディコスの見ドコロ④一日いたくなる気分転換スポット
メディコスの中や外には勉強や読書の気分転換、またのんびり考えごとやおしゃべりを楽しむのにぴったりなスポットがたくさん!
施設の横にある「せせらぎの並木 テニテオ」。ここは、メディコスの床冷暖房に利用したあとの長良川の伏流水がせせらぎとなって流れていてるんです。風が抜けて気持ちい~川であめんぼも発見しました!
2階にはウッドデッキになったテラスも併設。風を感じながらの読書は最高です!
この時はおじいさんたちの憩いの場でした。
メディコスの1階にはスターバックスコーヒーとローソンが。おなかも満たせるから一日過ごせちゃいます。
近くに住んでたら入り浸るの確実。
1階にはフリースペースが多く、ちょっとした待ち合わせにも使えるカフェスペースや畳コーナーなどが用意されています。席数も多く、好きなところを自由に使えるのが心地いいですね。
畳スペースは、小さい赤ちゃん連れのお母さんにも人気のスポット。
まんまるチェア。季節ごとに模様替えするそう。
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メディコスの見ドコロ⑤暗くなるとロマンチックに♡
メディアコスモスは夜になると、昼間とはまた違った顔を見せくれます。外から見るとガラスの反射がなくなるため、やわらかな光を放つグローブがきれいに鑑賞できるんです。
なんともムーディー!
光るグローブはまるでクラゲみたい。
光に照らされている天井もまたステキ・・・
冬になると並木にはイルミネーションが施され、岐阜カップル御用達のデートスポットに変わるそうですよ♡
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観光客にもオープン!
メディコスは図書館を利用せずとも見学OK。1階総合受付で見学を申し出れば、撮影申込書に記入した後、簡単な説明を受けて自由に館内を見学・撮影することができます。公共の場なので撮影には十分注意しましょう。
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JR岐阜駅からバスが便利!
公共機関を使ってのアクセスならJR岐阜駅、または名鉄岐阜駅から出ている岐阜バスが便利です。いくつか路線があるのでご紹介します。
①<JR岐阜10番のりば or 名鉄岐阜バスターミナルCのりば>
三田洞団地線 K50 長良八代公園/K51 三田洞団地/K55 彦坂真生寺 行きに乗車して、「メディアコスモス前」で下車すぐ。
②<JR岐阜10番のりば or 名鉄岐阜5番のりば>
加納南線 K35 南柿ヶ瀬 行きに乗車して、「メディアコスモス前」で下車すぐ。
どちらも所要時間は10分ほどで、乗車運賃は大人210円、小人110円です。JR岐阜10番のりばへは駅出口すぐの案内板を見ていこう!
JR岐阜10番のりば
名鉄岐阜バスターミナルCのりば
名鉄岐阜5番のりば
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岐阜駅から10分、ちょっとひといきしていきませんか?
細部まで計算し尽くしているからこそ、誰にとっても心地よい空間を生み出しているメディアコスモス。こんな場所が近くにあったらもう少し勉強にも精が出たのかな~なんて思ったり(笑)。
世界遺産の白川郷もおいしい飛騨牛もある岐阜県。でもメディコスのような、その街やそこに住む人をリアルに肌で感じる場所を訪ねるのも新鮮、おもしろい!と実感しました。岐阜駅からも近い“みんなの森”。ヒノキの香りに包まれて、ちょっとひとやすみしていきませんか?