世界3大恐竜博物館「福井恐竜博物館」や、苔の緑が美しく神秘的な雰囲気の「白山平泉寺」を有する、福井県勝山市。
澄んだ清流の九頭竜川(くずりゅうがわ)が流れ、春夏は緑豊かな山々と、冬は白一面の雪に覆われる美しく自然が豊かなエリアです。勝山駅から少し歩けばかつての城下町の風情を感じることができ、散歩をして巡るにも丁度よい大きさ。
恐竜博物館だけで通り過ぎてしまうのは勿体ない。勝山のレトロ散歩に出かけてみましょう。
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「えち鉄カフェ勝山駅」から旅をスタート
福井駅から勝山へ移動する時に利用するのが「えちぜん鉄道 勝山永平寺線」です。勝山駅舎は大正時代の建物で、日本と西洋の建築技術を合わせた国の有形文化財にも登録されている風情ある建築です。
えちぜん鉄道 勝山駅
駅の中には、電車を待つ時間にもゆっくりできる「えち鉄カフェ勝山」があります。レトロな雰囲気のカフェでは、サイフォンで入れたコーヒーをいただくことができます。木のぬくもりの暖かな雰囲気と、ゆらゆらとオレンジ色に輝くサイフォンのコンビネーションは抜群。一瞬で昔にタイムスリップしたような感覚に陥ります。
えち鉄カフェ勝山
窓の外には、これまたレトロな機関車が。「テキ6」という日本最古の電気機関車で、かつては勝山の産業の代表であった織物製品等を輸送していました。
100年も前の大正時代に製造された電気機関車は、動態保存されていて今も動かすことが可能というから、鉄道ファンでなくても古き良き車体に見入ってしまいます。窓の外に見える「テキ6」
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「旬菜食祭 花月楼」で勝山の郷土料理を
勝山の人気のランチスポット、明治30年築の有形文化財「旧料亭花月楼」をリノベーションした「旬菜食祭 花月楼」へ。優雅な佇まいの外観と、2階の32畳の大広間の「傘天井」の技と美しさは圧巻です。
かつて繊維業で栄えた勝山の中の最もにぎやかな通りだった河原町通りにあり、多くの宴会が開かれていたという当時の繁栄を象徴する建物です。花月楼 大広間
美味しいお米の産地である福井県。「釜炊き 勝山ぼっかけ御膳」は、釜炊きの地元「奥越産のこしひかり」と、旬の様々な郷土料理で彩られた勝山の祝い膳です。「ぼっかけ」とはごはんに刻まれたかまぼこと三つ葉、温かい出汁をかけた宴会の〆に食べるお茶漬け。
お膳のひとつひとつの郷土料理にも勝山ならではのエピソードが隠れているので、お店の方に聞きながら頂くと、一層美味しく感じられます。釜炊き 勝山ぼっかけ御膳
春には玄関前に100年以上の樹齢の立派なしだれ桜、冬は障子越しに見える真っ白な雪景色と情緒ある風景を楽しみながらゆったりとしたひと時を味わえます。
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勝山の織物産業の歴史を伝える「はたや記念館ゆめおーれ」でコースターづくりを体験
「はたや記念館ゆめおーれ」は、明治38年から平成10年(1998年)まで操業していた布を織る工場「機屋(はたや)」の建物を保存・活用した織物産業の歴史を伝える記念館です。建物は国の近代化産業遺産と勝山市指定文化財に指定されています。
絹織物ができるまでの一連の工程が説明されていたり、力織機の実演コーナーがあったりと、充実の展示をなんと無料で楽しむことができます。「最盛期には集団就職で千人以上の織子さんがここで働き、休日にはオシャレをして勝山の映画館に出かけていたんですよ。」と、かつての織子さんが昔の勝山の様子を臨場感いっぱいに説明してくれるのも素敵なポイントです。
明治の後期に導入されたという大きなモーターひとつで一斉に大量の糸繰機がキーキー音を立てながら動く様子から、動力を得たことによる産業の変革を感じることができます。見学だけではなく、小さな機織り機を使ってコースター作りが体験できるコーナーもあります。(有料1枚500円) 好きな色の糸を選んで、機織りをしてみれば当時の織子さん気分を味わえます。
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勝山の新しい見どころ大師山清大寺「越前大仏」へ
時間があれば、足をのばして訪れたいのが越前大仏です。今までの明治・大正の勝山ではなく、昭和62年に開山した新しいお寺で勝山の新しい名所となりました。
本尊は中国河南省洛陽市郊外の龍門石窟にある龍門奉先寺坐像をモデルに造られ、高さは17m、奈良の大仏を上回る日本一の大きさです。その大仏が鎮座する大仏殿も間口58m、高さはパリの凱旋門と同じ52mと圧倒的なスケールなのです。大仏殿の壁一面には〇体(1,281体)の白い大仏がびっしりと並び、その数のスケールにも圧倒されます。日本のお寺とは趣の異なる雰囲気と、壮大な世界観にしばし没頭してしまいます。
大仏殿の北側には、こちらも高さ75mと日本一の高さの五重塔があり、最上階には阿弥陀如来・釈迦如来・薬師如来が安置されています。この全てが規格外の大きさの「大師山清大寺」ですが、相互タクシーを創業し大成功をおさめた“多田清”さんが成功の恩返しにと私財を投げうって故郷の勝山の地につくったもの。
こちらは徒歩で行くには少し遠いためコミュニティバスや、タクシーを利用して訪れましょう。歴史ある風景と新しい名所がコンパクトにまとまっている勝山。福井県立恐竜博物館や、平泉寺と一緒にまち歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか。