NAVITIME Travel

【酒蔵】伝統の生酛造りを守り続ける。福島の有名蔵「大七酒造」

福島県中部にある安達太良山(あだたらやま)は、日本百名山に選ばれた景勝地。山頂までロープウェイがあるので、初心者でも登山が気軽に楽しめる。近くには、日本三大井戸のひとつ「日影の井戸」もあり、豊かな名水も湧き出る。豊かな自然と良い水のあるところには、もちろん銘酒を造る酒蔵がある。安達太良山のふもと近く、二本松には、小さい町ながらに、蔵が4つある。

【酒蔵】伝統の生酛造りを守り続ける。福島の有名蔵「大七酒造」
  • モダンなシャトー風の洋館

    ひときわ目立つシャトー風の洋館は大七酒造の蔵。創業、1752(宝暦2)年と長い歴史があり、この新蔵は、2005年に建てられた。大七が造る酒の特徴のひとつが、"生酛(きもと)造り"という江戸時代から長く受け継がれてきた伝統的な手法。"家付き酵母"と呼ばれる天然の微生物の力を最大限に利用する匠の技が必要だ。そのため、新蔵へ移築は慎重に行われ、蔵の引っ越しに、3年以上の月日がかかったそう。建物は変わっても、蔵に住む微生物は、200年以上の前から変わっていないと言える。

  • 生酛造りが、味わい深さを生み出す

    新蔵のロビーにある幅150cm、高さ188cmの大きなステンドグラスの中央の円形部分に、伝統的な酒造り"生酛づくり"の様子が、しっかりと描かれている。

    明治末頃、簡略化された"速醸酛づくり"という手法に、多くの蔵が移行したが、大七は生酛づくりにこだわり続けた。速醸酛を試してみても、大七が思い描くような「味わい深さ、力強さと洗練との両立」が実現できなかったのだ。

    "生酛づくり"には、微生物をコントロールする職人の技が必要だが、その分、調和した自然な香味や口当たりのなめらかさ、熟成に向くしっかりとした酒質が実現できる。半切桶で米をすり潰す"山卸し"の作業をして、長地時間をかけて空気中の自然にいる乳酸菌や酵母を酒母の中に取り込む。磨き抜かれた高度な技や職人の鋭い感覚なしには、成り立たない世界なのだ。

  • 米を磨く最先端の技「超扁平精米」

    また、超扁平精米と呼ばれる精米方法も大七の取り組んできたことのひとつ。普通に精米すると、細長い形の米の長い方が多く削られ、厚みのあるところは、あまり削られないため、米がだんだん丸くなっていく。できれば、米の内部の濁った部分、"心白"はなるべく残し、米の表面から同じ厚みで扁平に削っていきたい。
    その技術を可能にしたのが、「超扁平精米」。大七では、いち早くこの方式を取り入れた。油断すると米が割れてしまうため、通常の3倍の時間がかかり、精米する人の精緻な技工も必要とする。大七ではこの技術を獲得し実用化。当時の精米部長は、「現代の名工」として表彰を受けている。

    また、2018年4月にも、この超扁平精米技術を利用した生酛造りの高級酒の開発と海外での功績が評価され、「第七回ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞を受賞という快挙を成し遂げた。

    大七酒造(株)
    住所
    福島県二本松市竹田1丁目66
    電話番号
    0243230007
    備考
    【URL】https://www.daishichi.com/
  • 「大阪屋商店」大七伝統の生酛造りを

    大七の酒を買うなら、蔵のすぐそばにある「大阪屋商店(https://travel.navitime.com/ja/area/jp/spot/00011-010671740/
    )」がおすすめだ。二本松で造られた日本酒はもちろん、大七のラインアップが揃う。
    おすすめは、生酛造りの純米吟醸酒「純米吟醸 大七 皆伝」。伽羅のような奥ゆかしい香り、口当たりなめらかで、豊かなコクを楽しめる。バターなどを使ったクリーミーな料理にも好相性。
    雑誌「一個人」2015年3月号では、『燗に合う吟醸造り』第一位を獲得。生酛ならではの深みを味わってみてほしい。

    大阪屋商店
    住所
    福島県二本松市竹田1-70
    電話番号
    0243230052
  • 串焼きと大七の酒を堪能できる「嶋や」

    せっかくなので、料理とともに大七を楽しみたい。蔵近くにある串焼き屋「嶋や(https://travel.navitime.com/ja/area/jp/spot/01125-7005042/)」では、大七を飲みながら美味い焼き鳥が食べられる。たとえば、冷酒仕立ての生酛純米「大七純米生もと・爽快冷酒」などは、焼き鳥、棒々鶏などの鳥料理にぴったり。爽やかな清涼感がありながら、豊かで厚みのある味わいがくせになる。

    ※写真はイメージです。

    ※写真はイメージです。

    嶋や
    住所
    福島県二本松市竹田1-72
    電話番号
    0243226120
  • 安達太良山近くの温泉宿「陽日の郷 あづま館」

    活火山である安達太良山の火口付近では、温泉も湧いている。全国でも珍しい源泉かけ流しの酸性泉だ。おすすめは「陽日の郷 あづま館(http://www.azumakan.com/
    )」。
    総檜造りのお風呂や一枚岩をくりぬいた岩風呂があるなど、温泉好きは十分に楽しめるだろう。福島牛しゃぶしゃぶ鍋や松茸の土瓶蒸しなどのお膳料理とともに、大七を味わえば、旅の疲れもしっかりと癒やされるだろう。

    10月の安達太良山

    10月の安達太良山

    陽日の郷あづま館
    住所
    福島県二本松市岳温泉1丁目5番地
    電話番号
    0243242211
    備考
    【URL】http://www.azumakan.com/
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする
友田晶子
ライターのプロフィール画像
NAVITIME TRAVEL EDITOR
ソムリエ、トータル飲料コンサルタント。12000人のネットワークを持つ国内最大級の女性によるお酒の愛好家団体「一般社団法人 日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通所:SAKE女の会)代表理事。「ツゥになる!日本酒の教本」などお酒の著書も多数。

新着記事