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小海線の知られざる駅巡り~松原湖駅&佐久広瀬駅

 JRの鉄道最高地点を通る小海線は高原列車として人気ある路線で、観光列車「HIGH RAIL 1375」も走っている。車内で軽食やスイーツセットも味わうことができおススメの列車ではあるが、快速列車なので小さな駅には停車しない。今回は、小海線の秘境駅など知られざる駅を訪問するため、注目の観光列車ではなく、敢えて各駅停車の列車で旅をすることにした。

小淵沢駅で発車を待つ小海線のディーゼルカー

目次

  • 八ヶ岳を見ながら高原列車の旅が始まる

  • 清里からJR最高地点を通り野辺山へ

  • 千曲川沿いの2つの駅を目指す

  • 湖からは遠い松原湖駅

  • 日本一標高の高い秘境駅へ

  • ハイブリッド車両で小諸へ

  • 八ヶ岳を見ながら高原列車の旅が始まる

     新宿駅から中央本線の特急「あずさ」に乗ることおよそ2時間で小海線の始発駅小淵沢に到着する。小海線はローカル線とはいっても、観光シーズンには混雑し、2両編成のディーゼルカーのキャパシティはそれほど大きくない。10分程度の乗り継ぎでは座れるかどうか確かではないので、余裕をもって小淵沢に到着した方がよい。時間があれば、小淵沢名物の「高原野菜とカツの弁当」や「元気甲斐」といった駅弁を買う時間もあるし、早めにホームで待っていれば、進行方向窓側といった希望の席にも座れるだろう。
     予定通り、2両編成のディーゼルカーの窓側席を確保し発車を待つ。定時に小淵沢駅を出ると、列車は大きく右へ右へとカーブし、左手には雄大な八ヶ岳が見えてくる。駅前に平山郁夫シルクロード美術館のある甲斐小泉あたりからは、林の中を走る。白樺の木が高原であることを実感できる。甲斐大泉あたりはペンションなど洒落た宿泊施設が目につく。カーブしながら山間部へと入って行き、トンネルを抜けると、左手に「吐竜の滝」がちらりと見える。緑におおわれた岩間から絹糸のように流れ落ちる不思議な滝である。ここに駅でもあればと思う。

    吐竜の滝

    吐竜の滝

  • 清里からJR最高地点を通り野辺山へ

     人気のリゾート地の玄関である清里駅を出ると、ディーゼルエンジンを唸らせながらぐんぐん急勾配を上っていく。山梨県から長野県に入り、坂を駆け上がったところがJRの鉄道最高地点で、標高1375mの記念碑や鉄道神社、レストランや土産物屋がある。あっけなく通過すると平坦な野菜畑の中を気持ち良いスピードで進む。右手には電波天文台が見える。空気が澄んでいて、天体観測にはふさわしい場所なのだ。やがて、減速すると野辺山駅に到着する。

    JR鉄道最高地点1375mを通過

    JR鉄道最高地点1375mを通過

    野辺山駅の駅名標と最高地点駅の標柱

    野辺山駅の駅名標と最高地点駅の標柱

    八ヶ岳(野辺山付近の車窓)

    八ヶ岳(野辺山付近の車窓)

     野辺山駅はJRで一番標高の高い駅として知られる。「標高1345米67」と記された標柱があるので、列車と絡めたりして記念写真を撮る人が多い。ただし、普通列車の停車時間は短いので、途中下車するなら、停車時間に余裕のある観光列車HIGH RAIL 1375を利用するのがよい。

  • 千曲川沿いの2つの駅を目指す

     野辺山駅の次の信濃川上駅あたりからは、千曲川に沿って走り、何回も川を渡って渓谷美が楽しめる。大自然の中にたたずむ秘境感たっぷりの駅で途中下車しようと思い、佐久広瀬駅と松原湖駅を選んでみた。但し、昼間の小海線は2時間に1本程しか列車が走らず、何もなさそうな駅で2時間も待つのはつらい。そうした場合、時刻表を克明に調べ、上下列車をうまく使うと効率的に回れることがある。
     今回は、ひとまず、佐久広瀬駅を通り過ぎ、先の松原湖駅で降りる。45分滞在した後、上り列車で佐久広瀬駅に戻りると、次の下り列車がやってくるまでの34分間、何もない秘境駅に滞在するのである。30~45分くらいなら、初心者でも耐えられるのではないだろうか?

    松原湖駅ホーム

    松原湖駅ホーム

  • 湖からは遠い松原湖駅

     というわけで、最初に降り立ったのが松原湖駅である。駅名のようにホームから湖が見えるのかなと想像すると見事に期待は裏切られる。どうということはない田舎の駅で案内板によると、松原湖までは歩くと40分程で急な上り坂を進むとのこと。バスもあるけれど、駅前に乗り場はなく、坂を上って150mほど行かないとバス停はないという話だ。駅舎はなく、小さな東屋のような待合室がホームにあるだけだった。本気で松原湖に行くのなら、一つ先の小海駅からバスに乗った方が便利らしい。今回は駅でのんびり過ごすだけにした。少しは民家があるものの、コンビニ等お店はない。一本しかないホームの後ろも前も木立が生い茂り、よく見えないけれど千曲川が流れている。

    松原湖駅の待合室

    松原湖駅の待合室

  • 日本一標高の高い秘境駅へ

     45分後、きちんと定時に列車がやってきてホッとした。小淵沢へ3駅だけ乗って佐久広瀬駅で下車。松原湖駅よりもひっそりとしていて、秘境駅と言われるだけのロケーションだ。松原湖駅は駅前に踏切があったのでクルマでのアクセスは容易であるが、佐久広瀬駅周囲には舗装道路はなかった。かろうじてクルマが通れそうな小さな道があるだけ。まわりは段々畑に囲まれていて民家はほとんど見えない。ホームに立っていると正面には千曲川がちらりと見える。松原湖駅方面を望むと、右手前方に千曲川が流れているのが確認できた。駅近くには、まともな道路もないのでクルマの姿も見えず、静寂の中、川のせせらぎだけがBGMとなっていて心地よい。小海線のトンネルも見え、絵になる情景である。ちなみに佐久広瀬駅の標高は1082m、JRの駅の中では5番目に標高の高い駅であるとともに、一番標高の高いところにある秘境駅というのがセールスポイントになる。

    佐久広瀬駅ホーム_小海、松原湖方面

    佐久広瀬駅ホーム_小海、松原湖方面

    佐久広瀬駅遠景

    佐久広瀬駅遠景

  • ハイブリッド車両で小諸へ

     今度の小諸行き列車は、小海線「名物」のハイブリッド車両だった。時々ディーゼルエンジンの音がするだけで、停車時や発車時のエンジン音がなく、電車のように静かに動き出す。明るい車内は、かなり混んでいたけれど、ひとつだけボックス席が空いていた。千曲川の渓谷が右から左へ移り、また右へと移っていく。
     小海駅から先は、次第に人家も増え、川幅の広くなった千曲川とともに、佐久平へと入っていく。佐久平駅での北陸新幹線との交差は、小海線の方が高いところを走るのが面白い。普通とは逆であるが、そのため車窓から浅間山をじっくりと見ることができた。
     佐久平の平坦なところを快走し、やがてしなの鉄道と合流。乙女というロマンチックな名前の駅を通り、終点の小諸駅へとたどり着いた。せっかくなので、駅の裏手にある懐古園を散策し、展望台に上がると、ゆったりと流れる千曲川の川面が夕陽にきらめいていた。

    佐久広瀬駅に到着するハイブリッド車両

    佐久広瀬駅に到着するハイブリッド車両

    佐久平駅付近から見える浅間山

    佐久平駅付近から見える浅間山

    松原湖
    住所
    長野県南佐久郡小海町
    電話番号
    佐久広瀬
    住所
    長野県南佐久郡南牧村
    電話番号
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野田 隆 NODA Takashi
ライターのプロフィール画像
NAVITIME TRAVEL EDITOR
「乗り鉄」を中心に鉄道の面白さ、楽しさを、SL列車、観光列車やローカル線から\通勤電車、地下鉄に至るまで幅広く紹介する旅行作家。\著書は、2018年8月に21冊目となる「シニア鉄道旅のすすめ」(平凡社新書)が上梓された。\日本旅行作家協会理事

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