かつて平安貴族のリゾート地だった嵐山。そんな嵐山の奥座敷に建つ「星のや京都」では、開業10年を機に、新屋形舟「翡翠（ヒスイ）」を作りました。この舟は、京都の名工たちの技術をぎゅっと集めた、世界に１台だけの舟。１日１組限定で「星のや京都」のゲストだけが貸し切り利用できます。
今回は、そんな贅を尽くした屋形舟にリアルに乗船！おだやかに流れる大堰川を、ゆったり、優美に、涼やかに……。大自然のいとなみや歴史ロマンに触れられる「翡翠」の雅な体験をレポートしていきます。
１．1日1組限定。「星のや京都」限定の希少なアクティビティ
屋形舟というと、ちょっと密になるイメージ……。でも、大丈夫！今回の「翡翠」は、「星のや京都」に泊まった人だけが利用できるアクティビティ。しかも１日１組限定で、定員は最大４名まで。密にならず、ゆったりとした広い屋形船を貸切できます。
乗船場所は、「星のや京都」から歩いてすぐの船着場。時間になると船頭さんがお出迎えしてくれます。
２．京職人の粋な技を集めた屋形舟
「翡翠」は、その内装も魅力の一つ。優しい色合いのクッションは、江戸時代創業の染屋「染司よしおか」（そめのつかさよしおか）が、100％天然染料の草木染で染めたもの。また、日差しや風をやわらかく通す御簾は、神社仏閣でよく見かける御翠簾を手作りする「久保田美簾堂(くぼたびれんどう)」が手掛けています。
ほかにも、京都の町家で見る竹製の「犬矢来（いぬやらい）」を背もたれの部分に使うなど、まさに名工たちの技術を集結した内容！侘び寂びに通じる「日本の美意識」を至るところに散りばめています。
３．竿1本！船頭さんの操縦テクニックを楽しんで
いよいよ、大堰川をめぐる約40分の舟旅がスタート！……と言っても、動力はエンジンではなく、船頭さんが操る竿1本のみ。細くしなる竹の竿を使って、大きな舟を自由自在に進めていきます。
大堰川は流れがおだやかですが、1cm増水するだけでも、竿をつくポイントが変わってしまうのだとか。体験する前日に雨が降っていたこともあり、大堰川の水位は増していましたが、船頭さんは、全身を使ったダイナミックな動きで竿を下ろし、ぐいぐい進んでいきます。
こんな風に船頭さんの卓越した竿さばきを間近で見られるのも、このアクティビティのすごい点！
今回は、川幅が狭い上流から、川幅の広い下流へ進み、折り帰して戻って来るルート。行きと帰りでは、また違った景色が楽しめるのも魅力です。「翡翠」は、水面との距離が近いので、美しさ&迫力をダブルで味わえます！
４．「翡翠」でいただく、美しく繊細な和菓子
ほどなくすると、屋形船の中で、季節の生菓子とお干菓子が振る舞われます。
今回は６月に乗船したため、雨の季節に似合う紫陽花や鮎、川の流れをイメージした和菓子をいただきました。多彩な食感や味わいの変化を楽しみながら、舟の上で優雅にぱくっ……。雅な甘い幸せに満たされます。
和菓子と一緒に楽しむ飲み物は、宇治にある「利招園茶舗」のおいしいお抹茶。特に作法は気にせず、自分のペースでお抹茶を点てられます。
屋外のアクティビティ（しかも水上）といえば、女性にとって気になるのは、紫外線。日光を全身に浴びることに抵抗を感じますよね。「翡翠」の天窓ガラスは、UV加工で紫外線を99％カットするため、紫外線対策もばっちり。日焼けが気になる女性でも安心して乗船できます。
５．スイッチひとつで切り替え！ダイナミックな景色を楽しむ仕掛け
スイッチひとつで、屋根のガラスを切り替えられるのも「翡翠」のユニークな点。
川幅の広い下流では、翡翠色に輝く美しい水面を堪能するため、あえて「乳白色」に（雪見障子と同じ考え方ですね！）。一方、川幅が狭くなる上流では、ガラスを「透明」に切り替えて、空や山々を見上げながら縦方向の景色を楽しみます。
このスイッチを使うことで、「翡翠」の楽しさが倍増。みんなでワイワイ屋根を切り替えながら、景色を楽しむのも良いかも……！
大堰川の舟遊びが始まったのは、平安時代のこと。その当時の貴族たちが大堰川の船上で管楽器を弾いたり、お花見や紅葉狩りを楽しんでいたことが古い文献にも記されています。
京都の街中と違って、奥嵐山の美しい渓谷は、1300年前と大きく変わっていません。まさに、平安時代の風景が今、ここにある！と言っても過言ではないんです。雅な流れの大堰川を眺めつつ、いにしえに思いはせれば、平安時代にタイムスリップした気分になれますよ。
＜雨の日もOK！「星のや京都」とともに楽しみたい「翡翠」＞
屋外のアクティビティは、雨が降ると中止になるものがほとんど。しかし、今回ご紹介した「翡翠」は、屋根が付いているので、多少の雨なら問題なく参加できます。霧がかった大堰川は、幻想的でステキ！晴れの日とはまた違った、情緒たっぷりな時間を過ごせますよ。
雨の日も晴れの日も。翡翠色に包まれる非日常のひとときは、心の洗濯に最高です！
