鎌倉でアジサイの前に味わいたい風景--新緑とバラと鎌倉最古の神社を巡る旅


2016.05.23

マイナビニュース

●鎌倉で鯛焼き片手に異国情緒な時間を
新緑が美しい5月の鎌倉。この季節に鎌倉を散歩するなら、ぜひ立ち寄りたいのが鎌倉文学館だ。庭園の一角を占めるバラ園には、およそ190種230株の色とりどりのバラが咲き、「バラまつり」が開催される。今回は、文学館でバラを鑑賞した後、由比ヶ浜・長谷周辺を歩く、5月の鎌倉オススメ散歩コースを案内しよう。
○洋館とバラで異国情緒を味わう
まずは、江ノ電を由比ヶ浜駅で降り、鎌倉文学館へ向かおう。由比ヶ浜駅は住宅地の中にある小さな駅で、改札を出て左へ行くと由比ヶ浜のビーチや海浜公園のある海側エリア、踏切を渡って右に行くと鎌倉文学館などがある山側エリアだ。駅から150mほどで「鎌倉文学館入口」という交差点があり、角には「なみへい」という鯛焼き屋があるので、鯛焼きを買って食べながら散歩するのもいいだろう。
交差点を渡り、そのまま歩を進めると、次第に正面の山の緑が迫ってくる。文学館の敷地に入って石畳のアプローチを歩いて行くと、両側に新緑の木々が陽光を浴びて光り輝いている。さらに歩いて行くと、「招鶴洞」と名付けられた石の洞門が来館者を待ち受けており、洞門をくぐればその先に、いよいよ文学館の本館である青屋根の洋館が見えてくる。
現在、鎌倉文学館として公開されている建物は、元は加賀百万石で知られる旧前田侯爵家の鎌倉別邸だったもの。明治20年代に和風建築の館が建てられたのが始まりで、その後、火災による焼失や関東大震災での倒壊を経て、昭和11年(1936)に今に残る洋館が完成した。
戦後はデンマーク公使や佐藤栄作元首相が別荘として使用した時期もあり、その後、鎌倉市が取得。昭和60年(1985)より鎌倉文学館として一般公開が開始され、現在、川端康成、大佛(おさらぎ)次郎、小林秀雄をはじめ、鎌倉ゆかりの文学者300人以上の、著書・原稿・愛用品などを展示している。
さて、この時期に楽しみなのが、本館前に広がる芝生の南側にある600平方メートルのバラ園に咲く、およそ190種230株のバラだ。「静の舞」「流鏑馬」「星月夜」など、鎌倉ゆかりの名前を付けられた花もあり、色も形も思い思いに花を咲かせている。
バラは春と秋の年2回見頃を迎えるが、春バラは一斉に咲くのでとても華やか。文学館では、春バラの開花にあわせ「バラまつり」を開催し、期間中は庭園でのクラシックやジャズのコンサート、バラの解説など、様々な催しも行っているので、あわせて楽しみたい。
●information
鎌倉文学館
神奈川県鎌倉市長谷1-5-3
アクセス: 江ノ島電鉄「由比ヶ浜駅」徒歩7分
開館時間: 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日: 2016年5月は9日、6月は20日
洋館もいいが、やっぱり鎌倉に来たならば神社も巡りたいところ。鎌倉文学館を訪れたその足で、今度は鎌倉最古の神社とされるところにも向かってみよう。
●鎌倉の始まりは源頼朝にあらず! 最古の神社は奈良時代にも
○鎌倉で最も古い歴史を持つ神社を詣でる
鎌倉文学館の見学を終えて敷地を出たら、すぐ右手の住宅地に入って行こう。路地を道なりに歩いて行けば、間もなく、小規模ながら特徴ある外観の洋館が見えてくる。「鎌倉市長谷子ども会館」として利用されているこの建物も、かつて富豪が別邸として使っていたもので、明治時代の住宅建築の貴重な遺構だ。明治から戦前にかけての鎌倉は、別荘地・保養地として発展したため、このような洋館が、市内各所に今なお残っている。その子ども会館の少し先にあるのが、鎌倉最古の神社とされる甘縄神明神社である。
鎌倉の歴史は、源頼朝(1147~1199年)が鎌倉幕府を開いた後に始まると思われる方が多いかもしれないが、その歴史は意外と古く、「鎌倉」という地名は和銅5年(712)成立の『古事記』に早くも登場している。市内には奈良時代・平安時代から続く歴史を持つ寺社もいくつかあり、最古の歴史を持つとされる寺は杉本寺(杉本観音)で、寺伝によれば奈良時代の天平6年(734)の創建。一方、最も古い神社が甘縄神明神社で、和銅3年(710)の創建とされる。
甘縄神明神社境内には、元寇(蒙古襲来)を戦い抜いた執権として名を残す北条時宗(1251~1284年)の「産湯の井」などが残り、石段上の社殿の前からは家々の屋根の向こうに海が広がっているのが見える。この場所はにぎやかな長谷寺の門前町から目と鼻の先なのに、いつ来ても本当に静かだ。耳をすますと小鳥のさえずりや森の木々の葉ずれの音が聞こえ、いつまでものんびりしていたい気分になる。
●information
甘縄神明神社
神奈川県鎌倉市長谷1-12-1
アクセス: 江ノ島電鉄「長谷駅」徒歩5分
甘縄神明神社に来たならば、やはり長谷寺(長谷観音)にも行っておきたいところ。長谷寺は鶴岡八幡宮や大仏と並ぶ鎌倉有数の人気観光名所であり、特に5月に訪れるならあのイベントを狙って訪れてみるといいだろう。続いては、そんな春の長谷寺の魅力を紹介したい。
●5月の長谷寺は「長谷の市」が魅力
○長谷寺の魅力は季節で変わる
甘縄神明神社から、そのまま真っ直ぐに歩いて行けば、ほどなくバス通りに出る。右を見ると山の中腹に建つ長谷寺の大きな建物が目に入る。長谷寺は、境内からの素晴らしい海の眺望や、初夏のアジサイ、晩秋の紅葉の美しさなどで知られている。
5月の長谷寺を訪れるなら、「長谷の市」というイベントもオススメだ。「長谷の市」は地元の3つの商店会が共催する、長谷寺境内などを会場とする市場イベントで、毎年春秋の年2回開催される。ミニ縁日コーナーや飲食コーナー、物品販売コーナーのほか、特設ステージでは、地元のミュージシャンやフラダンサーなどによる様々なパフォーマンスが行われ、一日いても飽きない内容だ。
●information
長谷寺(長谷観音)
神奈川県鎌倉市長谷3-11-2
アクセス:江ノ島電鉄「長谷駅」徒歩5分
拝観時間:8:00~17:30(入山受付終了17:00)
※2016年春の「長谷の市」は5月15日に開催
○フランス式庭園に咲くバラもまたいい
鎌倉文学館とセットで見学をオススメしたいのが、文学館からほど近い場所にある「鎌倉市吉屋信子記念館」だ。『徳川の夫人たち』『女人平家』などの作品で知られる小説家の故・吉屋信子の旧居で、書斎なども公開している(5~6月は土日公開)。
また、今回の散歩コースからは外れるが、旧華頂宮邸(かちょうのみやてい)の見学もオススメしたい。昭和4年(1929)に華頂博信侯爵邸として建てられた洋館で、フランス式庭園に咲くバラは、鎌倉文学館のバラとはひと味違う趣だ。通常は庭園のみの公開されており、特別公開日のみ建物内も公開となる。
5月のゴールデンウィークと6月のアジサイの時期という混雑期の合間に当たる5月中旬から6月上旬は季候も良く、鎌倉をゆっくり楽しむにはベストシーズン。春の陽光と新緑の薫りの中、ぶらり古都鎌倉散歩を楽しんでみてはいかがだろうか。
※記事中の情報は2016年5月時点のもの
○筆者プロフィール: 森川 孝郎(もりかわ たかお)
旅行コラムニスト。京都・奈良・鎌倉など歴史ある街を中心に撮影・取材を行い、「楽しいだけではなく上質な旅の情報」をメディアにて発信。観光庁が中心となって行っている外国人旅行者の訪日促進活動「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の公式サイトにも寄稿している。鎌倉の観光情報は、自身で運営する「鎌倉紀行」で更新。 

鎌倉文学館
rating

4.0

116件の口コミ
place
神奈川県鎌倉市長谷1-5-3
phone
0467233911
opening-hour
[3月-9月]9:00-17:00(入館は16…

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