特製ナポリタンは必食! 岐阜発「さかい珈琲」のこだわりと喫茶店の役割とは


2015.08.12

マイナビニュース

●サイフォン抽出の珈琲を目の前で注いでもらう楽しみ
喫茶店での食事。それはくつろぎながら食べる軽食と上質なコーヒーを味わうぜいたくな時間だ。最近では「コメダ珈琲店」「支留比亜珈琲」など、愛知や岐阜発祥の喫茶チェーンが関東に続々と進出し、その店舗数を伸ばしている。
今回はそのうちの一つである、J・ART産業が昨年町田に関東初出店した喫茶店チェーンの「さかい珈琲 多摩境店」におじゃました。岐阜の喫茶店激戦区で培ったという独自開発のコーヒーと喫茶食をいただいてみると、そこには同社の家族団らんへのこだわりがつまっていた。
○飲食事業のノウハウを30年分つぎ込んで作った「さかい珈琲」の歴史
「さかい珈琲」は2007年4月、岐阜県岐阜市に1号店がオープン。岐阜県は、喫茶代が全国で一、二を争うほど喫茶店文化が盛んで、中でも1号店があった場所は近隣にコーヒー店が100以上あるトップレベルの激戦区だという。そんな中、同チェーンは現在7店舗(岐阜・愛知・静岡)に広がり、昨年8月には関東におけるFC第1号店舗を出店した。
お話を聞かせてもらった同社執行役員の河合直樹氏によれば、もともと飲食事業をしていた同社が、30年間の飲食事業のノウハウをつぎ込んで作ったものが「さかい珈琲」なのだという。
同店の近隣には住宅街が多くあり、京王相模原線の「多摩境駅」からも歩いて数分の立地だが利用者の多くが車で来店していた。「他喫茶店チェーンとの差別化の一つとして、車で来るようなところに店舗を作っています。それというのも、さかい珈琲には家族・友人との『団らんの場』を提供しよう、というコンセプトがあるからです」と言うように、店内には子連れ家族の姿も多い。
○「どこにもないもの」を目指したドリンクメニュー
そんな「団らんの場所を提供するため」の店作りは、メニューや内装にも大きく表れている。まずはドリンクメニュー。時間をかけて作られたものを時間をかけて楽しむような特別なものから気軽に楽しめるようなものまで、種類は幅広い。
コーヒーメニューには独自にブレンドした「さかいブレンド珈琲」「アメリカン珈琲」(各430円)のほかに、豆から挽いてサイフォンを使って1杯ずつ入れる「スペシャルコーヒー」が用意されている。そのうちの一つ「マンデリン」(650円)は豆の香りが豊かで、苦味が少なく角のないまろやかな味わい。テーブル横でサイフォンから注いでくれるのも、特別感があってうれしいサービスだ。
スペシャルコーヒーは他にキリマンジャロ100%の「タンザナイト」(650円)や「有機ブレンド」「有機アメリカン」(各600円)を用意している。「水出しアイスコーヒー」(450円)は抽出に時間をかけているため渋みが少なく、コクのある味わい。ほかにも、ろうそくでポットを温めながら提供するホット紅茶やハーブティー・ソフトドリンクをそろえている。
●なぜ今喫茶店チェーンが関東で勢力を増しているいのか
また、フードメニューや店舗の内装も落ちついた時間の提供に一役買っている。女性客を意識したという「ストウブ」を使った鍋料理は、熱々のまま鍋ごとテーブルに提供されるため、見た目にも楽しい。
○独自性の高いフードメニューを開発
「若鶏のトマトクリーム仕立て」(1,290円)は、口の中でほろほろとほどけるほど柔らかく煮込まれた鶏肉と、歯ごたえを残した大ぶりのかぼちゃ・にんじん・まいたけなどの野菜が入っている。トマトクリームソースには具材のエキスが染み出しており、具と絡めながら食べると、その濃厚な味わいを堪能できる。ストウブ料理はほかに、「骨付き若鶏のコンフィ 欧風カレー仕立て」「デミグラス ハンバーグ シチュー仕立て」を用意している。
喫茶店の定番メニューとも言える「ナポリタン」のケチャップには、高原で育った完熟トマトを使い、無香料・無着色で作ったというオリジナルの「特製トマトケチャップ」を使用。
具にはソーセージ、玉ねぎ、マッシュルームが入っており、「名古屋スタイル」の玉子を敷いた鉄板ナポリタンスタイル。甘みの強いケチャップが絡んでよく炒められた、くせになる味わいだ。
フードメニューは朝7時から11時にモーニングを提供。飲み物を注文すると「サービスモーニング」として3種から選べるメインのトーストまたはワッフルと、ゆでたまご、サラダがつく。プラス料金でホットサンドやマカロニグラタン付きのセットにすることもできる。11時30分からはランチ(14時からはフードメニューに切り替え)と軽食を提供している。また、ケーキやワッフルパイなどのデザートメニューもそろえる。
○調度品は1店舗ごとに店の形やデザインを生かしたものを用意
店舗内の空間は、1店舗ごとにデザインと調度品を変えており、町田多摩境店では1つ1つの座席スペースが飛行機のビジネスクラスを基準に広くとられている。ソファもフカフカで、体を背もたれに預け、足を伸ばしてくつろぐことができる。また、子連れ客が周りの客に気兼ねなく過ごしてもらえるよう、キッズルームを12席用意していることも特徴だという。
○喫茶チェーンが関東でうけている理由は今までにない「場所」の提供にある
前述の通り岐阜県は喫茶店文化が盛んで、全国平均に比べ喫茶店代が全国平均の2倍以上ある。そんな同店発祥の地では、家族の時間が喫茶店にあったと同氏はいう。
「金曜の夜に家族がそろったら『じゃあ明日の朝7時に起きてあそこのモーニングを食べようか』『あそこのモーニングが最近気になってるから行ってみるか』となることがよくあります。朝を一緒に過ごして朝食を食べて、その後おのおのの予定に散っていくんです。一家団らんが夜じゃなくて朝なんですね。僕はそういう環境で育ちました」。
また、最近愛知や岐阜発祥の喫茶チェーンが関東でうけている理由について「団らんする場所」不足に起因しているのではないかという。現在都心に多数あるチェーン系コーヒー店の多くは、「一人で休息・作業するのに充実した時間」を提供するものであり、回転率も重視している。一方、喫茶店は「場所」を提供するものであるため、立場が違うのだ。
「核家族・マンション住まいが増え、友人や親せきが3人4人と集まった時に家の中にはスペースがなく、外で話をする機会が増えたため喫茶店のニーズが増していると考えています。今まで『場所』の提供はファミリーレストランの役割でしたが、ファミレスは基本が『ご飯を食べにいくところ』で飲み物はサブです。一方喫茶店は『500円以上する珈琲を飲みながらくつろぎに行くところ』で、食事はサブです。つまり、根本のコンセプトが違うのだと思っています」
いわく、大事なのは回転率ではなくその場所で何が得られるかを理解したうえで選んでもらうリピート率であり、喫茶店ではそのためのメニュー・場所作りが今後より一層大事になっていくのではないか、とのこと。
核家族世帯は今や全世帯の60%を越え、単独世帯も26.5%となっている(厚生労働省・国民生活基礎調査による)。今後、都市に住む家族は、親戚や友人がふるさとから遊びに来た際に「セカンドハウス」とも言えるような形で喫茶店を利用していくのかもしれない。
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※核家族世帯、単独世帯のデータは厚生労働省「平成25年 国民生活基礎調査」による。岐阜県の喫茶代に関しては総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市 ランキング(平成24年~26年平均)」による。 

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