宮崎・シーガイア「レタールームコンシェルジュ」に聞く、旅行の思い出を残す「旅手紙」の魅力とは


2023.05.04

一休コンシェルジュ

宮崎県にあるリゾート施設「フェニックス・シーガイア・リゾート」。敷地内のほぼ中央に位置する「シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート」には、手紙を書くための専用スペース「レタールーム」があります。今回は、レタールームコンシェルジュ・雜敷正博氏にインタビューを実施。デジタル全盛のこの時代、あえて手紙にフォーカスした珍しいスペースの魅力についてお話を伺いました。手紙を書くための専用スペース「レタールーム」とは-まずは「レタールーム」の概要についてお伺いいたします。どのようなことができるスペースなのでしょうか。以前行ったホテルの大規模な改修工事に伴い、2016年の8月に「風待ちテラス」というスペースが誕生しました。宿泊者様専用のテラスラウンジでして、“帆船の帆が風を受けて出港を待っている状態”をイメージしてこのような名称に。カフェやベーカリー、旅をテーマにした本を読めるスペースなどがあり、皆様にゆっくり寛いでいただける、“旅はじめ”と“羽やすめ”のための空間です。「レタールーム」は「風待ちテラス」の奥にある、手紙を書くための専用スペースです。英国調の空間で、有名ブランド「PARKER(パーカー)」の万年筆や「ファーバーカステル」の色鉛筆、天然ゴムを使用した「gobe(ゴービー)」のスタンプなど、こだわりのツールで旅の思い出を手紙にしたためることができます。普段はなかなか機会がないという方にも、上質な空間とツールで手紙を書くひとときを楽しんでいただければと思います。-書いた手紙は、室内にあるポストに投函できるそうですね。ポストには3種類の投函口があるとのことですが、どのような違いがあるのでしょうか。ポスト自体は、イギリスのアンティーク家具をリメイクしたもの。「大切なひとへの手紙」「未来への手紙」「あてのない手紙」という3種類の投函口があり、それぞれ異なる役割を持っています。まず一つ目の「大切なひとへの手紙」は、投函していただくと切手代をホテル側が負担するかたちで手紙を送ることができます。一方「未来への手紙」は、「レタールーム」で手紙をお預かりするための投函口。5年後や10年後など、ご自身で設定した期間を経て、再度宿泊した際に手紙をお受け取りに来ていただくことができます。最大で20年間お預かりできる、タイムカプセルのような珍しいサービスです。お客様からお預かりした大切な手紙は、鍵付きの専用棚できちんと保管しています。最後の「あてのない手紙」は、書いていただいた手紙をどこかに送るのではなく、一部をレタールーム内の壁に展示するかたちになります。他の方がどんな手紙を書いたのかわかるので、眺めるだけでも楽しいですし、ご自分で手紙を書く際の参考にされている方もいらっしゃいますね。様々なゲストに手紙の魅力を伝える「レタールームコンシェルジュ」-「レタールームコンシェルジュ」について、普段の雜敷様のお仕事内容をお聞かせいただけますか。まずは「レタールーム」にいらした方へ、お部屋の説明やポストの違いのご説明をします。あとは、筆記具などツールのメンテナンス、手紙の発送準備や保管も行っていますね。手紙を書きたい気持ちがあっても、どのように書いたらいいかわからないという方も多くいらっしゃいますので、少しずつヒアリングしながら書き方のご提案をすることもあります。-大人になると手紙を書く機会って減ってしまいがちなので、アドバイスいただけるのはありがたいですね。やはりお子様のほうが発想豊かなものですから、時には私たちスタッフの方が勉強させられるところもあって。スタンプの使い方をはじめ、色鉛筆と組み合わせて色を付けるなど、様々な工夫をされていますね。「レタールーム」は手紙を書くためのツールの豊富さも魅力ですので、そういったものを自由に使って、ご自身ならではのデザインにできるとより楽しめるのではないかと思います。旅の思い出や、普段は伝えられない思いを綴る手紙の魅力-実際にゲストが利用する際、例えばどんなお手紙を書かれることが多いのでしょうか?一緒に住んでいるご家族はもちろん、小さなお子様がおじい様やおばあ様へ向けて書いたり、一人暮らしをしている息子さんや娘さんに書かれる方もいらっしゃいますね。内容を私たちがじっくり見ることはあまりないですが、お客様とのコミュニケーションの中で何となくわかる感じです。-日々様々なゲストが訪れる「レタールーム」ですが、これまでで印象に残っているエピソードなどはございますか?たくさんあるのですごく迷ったのですが(笑)、以前3~4歳くらいのお子様を連れたご家族がいらっしゃいまして。お子様が「未来への手紙」を書かれたのですが、受け取り希望の日付が同じ年だったんです。少し不思議に思っていたのですが、数か月後にまたお越しいただきまして。どうやらお父様のお誕生日だったようで、お子様がお受け取りいただいた手紙をそのままお父様へ誕生日のプレゼントとして渡されていました。私にも前回優しくしてくれたお礼にと、折り紙とチョコレートをいただき、幸せのお裾分けをしていただいたようで、その場が幸せな空気に包まれた感じがしましたね。-とても心温まるエピソードですね!アイデア次第で、色々な手紙の渡し方ができそうです。別のケースですと、奥様とお子様が「未来への手紙」をお受け取りにいらしたことがあり、その場で読まれるとのことで手紙とハサミをお渡ししました。その手紙は、前回ご家族でいらした5年前にご主人様が書かれたものだったのですが、その後ご主人様は亡くなられてしまったとのことでした。手紙を読まれた奥様が涙されている様子は、やはり込み上げてくるものがありましたね。奥様とお子様にとってその手紙は、かけがえのない宝物になったことと思います。手紙って、過去と未来を繋いでくれるものなんだなと改めて感じました。-ゲストごとに、様々なストーリーがあるのですね。雜敷様が思われる手紙の魅力とは、どのようなものでしょうか?現在はメールやSNS全盛の時代。デジタルツールでコミュニケーションをとることが多い中、アナログでやりとりをする手紙は、やはり特別なものだと思います。ご自分の思いを伝えるために時間をかけて手紙を書く。例えば、お子様が小さな頃に書いた手紙を数年後に受け取って成長を感じたり、思いを込めて書いた手書きの文字だからこそ、伝わる魅力もあるのではないでしょうか。滞在のひとときにゆっくりと寛ぎながら、大切な方へ向けて手紙を書く時間ってある意味とても贅沢なものだと思うんです。「レタールーム」には、オリジナルの便箋や施設内の様々な風景を切り取ったポストカードもご用意していますので、ぜひお気軽にご利用いただければと思います。様々なゲストが安心して利用できる空間でありたい-2016年のオープン以来、今夏で7年が経ちます。雜敷様が思う今後の展望についてお聞かせくださいませ。「レタールーム」では、これまでに約7万4,000通もの手紙を投函いただいております。様々なお客様にご利用いただいておりますが、中にはお子様連れであることを理由にご遠慮されてしまう方もいらっしゃいます。そういった方にはこちらから積極的にお声掛けをするなど、皆様に安心してご利用いただけるような空間づくりをこれからも意識していきたいですね。*****【プロフィール】雜敷 正博(ぞうしき まさひろ)1981年10月13日宮崎県小林市生まれ。フェニックスリゾート(株)入社後、ホテルレストラン、宮崎市観光協会出向、営業部コーディネート課とお客さまへのおもてなし、サービスの向上につとめ多くの経験を積み、2021年7月にレタールームコンシェルジュに就任。 シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート 宮崎県/シーガイア 詳細情報はこちら  

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フェニックス・シーガイア・リゾート
place
宮崎県宮崎市山崎町浜山
phone
0985211111
opening-hour
施設により異なる
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