一度は泊まりたい老舗旅館4選　有馬編

創業から数十年や百年以上の歴史を持つ老舗旅館。長い歴史と共に、多くの客人をもてなし魅了しているからこそ、“名宿”として今なおあり続けているのでしょう。
その中から今回ご紹介するのは、関西の奥座敷として親しまれている兵庫県の有馬温泉。豊臣秀吉にも愛された「日本三古泉」のひとつで、選り抜きの老舗宿が揃います。1．創業700年。有馬温泉と共に歩んできた宿兵衛向陽閣（兵庫県／有馬温泉）豊臣秀吉からいただいた「兵衛」の名を宿名に入れた「兵衛向陽閣」。創業からおよそ700年。日本最古泉のひとつと言われる有馬温泉の中でも長い歴史を誇り、大正時代には有馬温泉初となる内湯を造ったり、昭和時代には敷地内に専用ケーブルカーを設けたり。その先取のもてなしの心は多くの人々を癒し、楽しませてきました。温泉は有馬ならではの金泉。湧き立ては無色透明ですが、空気に触れると赤褐色に変わる不思議な湯で、鉄分や塩分を多く含む故の変化とか。この宿では、嬉しいことに3つの湯処の9つすべての湯船で金泉に浸かれます。
老舗宿ならではの丁寧な接客も好評。昔懐かしの卓球コーナーもあるので夕食後に楽しんでみてはいかが。兵衛向陽閣兵庫県／有馬温泉詳細情報はこちら 2．異国情緒漂う有馬温泉最古の宿陶泉　御所坊（兵庫県／有馬温泉）創業当時の様子が藤原定家の『名月記』にも記されている「陶泉　御所坊」。あえて木造建築にこだわっており、現在の3館はそれぞれ昭和初期、昭和20年代、昭和30年代に建てられたもの。シンボルの車輪マークがあちこちにデザインされているほか、建築当時の手彫り柱やフランス製のステンドグラスが残る部屋もあり、エキゾチックな趣です。大浴場「金郷泉」は半混浴式ですが、男女の浴槽の間に石壁が組まれているのでご安心を。御所泉源と妬（うわなり）泉源を引いた金泉を、源泉掛け流しで楽しめます。
神戸から車で約30分。しかも有馬温泉の中心部に位置しているとあってアクセスも申し分なし。思い立ったらすぐ出かけられます。陶泉　御所坊兵庫県／有馬温泉詳細情報はこちら 3．グレース・ケリーも訪れた大人の隠れ家中の坊瑞苑（兵庫県／有馬温泉）茶褐色の金泉と炭酸泉やラジウム泉からなる銀泉、ふたつの湯を楽しめる「中の坊瑞苑」。明治元年の創業で、何代にも渡って通い続けるファンも多いとか。13歳未満は利用できないので館内は静寂そのもの。飽くまで湯に浸かるもよし。モナコ王妃となった女優のグレース・ケリーが気に入ったという日本庭園を散策するもよし。静かな大人時間を満喫できるでしょう。多彩な食も大きな魅力。南に淡路、瀬戸内、北に丹波山里と日本海。そんな「兵庫五国」のとびっきりの幸を存分に使った会席料理が基本ですが、鉄板焼きや量を控えて素材にこだわった少量美味プランなどもあって、どれにしようか迷ってしまうかも。日本茶鑑定士最高位が淹れてくれる「猪名野茶房」の日本茶もぜひお試しください。中の坊瑞苑兵庫県／有馬温泉詳細情報はこちら 4．有馬温泉で唯一、金泉と銀泉の泉源を持つ湯宿銀水荘　兆楽（兵庫県／有馬温泉)有馬温泉の高台に佇む「銀水荘　兆楽」は昭和2年開業の「銀水荘」の別館として長く親しまれてきた宿。有馬温泉では唯一、金泉と銀泉、2つの自家源泉を持つのが自慢です。
大浴場のほか、櫟林の小道を歩いた先にある「櫟の湯」、六甲の山々の緑を眺めながら湯に浸かれる2つの貸切露天風呂があって、よりどりみどり。湯三昧が叶います。ひと口に金泉と言っても泉源ごとに泉質が微妙に異なるそうですが、この宿の金泉はリチウムを多く含んだ癒しの湯。一方、城山三郎の小説『鼠』で「ラジウム泉の銀水」と記されている銀泉は、口や鼻から吸い込むことで自然治癒力を高めてくれるとか。老舗の湯宿ならではのおもてなしも好評で、ぜひ出かけてみませんか。銀水荘　兆楽兵庫県／有馬温泉詳細情報はこちら今回は一度は泊まりたい有馬温泉の老舗旅館をご紹介しました。何年経っても変わらずにいてくれる老舗旅館ならではの姿やおもてなしは、いつでも帰ってこられる安心感を抱かせてくれます。日常を忘れてのんびりと、贅沢な時間を叶えてみませんか。　