【取材】鹿児島の渓流沿いに佇む野趣溢れる露天風呂を持つ温泉宿


2020.04.02

一休コンシェルジュ

渓流と溶け込むように備わる露天風呂、重厚感漂う佇まいの石蔵。それら非日常の空間で過ごすひとときを求めて、多くの人々が訪れる宿「妙見石原荘」。
鹿児島県霧島を流れる天降川に建つこの宿に今回私、yoshida.fが取材してきました。石蔵のモダンで温かみのある客室と温泉に対する宿のこだわりをご紹介します。渓流沿いの自然の中にポツンと佇む宿鹿児島空港から車で約15分。天降川(あもりがわ)沿いを進むと現れる「妙見石原荘」。玄関を入るとすぐにロビーと売店。チェックインは奥のラウンジで。本館には数寄屋風や民家風など、設えが異なるお部屋が15室あります。今回ご紹介するのは、新館の石蔵のお部屋。新館の石蔵のお部屋へは、玄関正面から左側の通路を進み階段を上ります。階段は、美術館に訪れたようなモダンで素敵な空間。内側から石蔵の積み重なった歴史ある石材に触れられるのは、うれしいポイントです。石蔵は1931(昭和6)年建築の米倉庫を移築した歴史ある建物。「コンラッド東京」のエグゼクティブラウンジなどにも関わった、インテリアデザイナーの杉本貴志氏が手掛けたのだそうです。
洋風な石造りに玄関の屋根には瓦が用いられるなど、和と洋のコントラストがより重厚さと異世界の空気を醸し出しています。左官のカリスマも手掛けたモダンで温かみのあるお部屋石蔵は地下1階地上2階建てで、お部屋は全部で4室。約60平米の洋室と約85平米の和洋室の2タイプ。
まずご紹介するのは、約60平米の洋室タイプのお部屋。玄関を開けると妙見の自然が目に飛び込んできます。開放感があり、眺めが素晴らしい大きな窓。天降川を挟んだ向こう側には「忘れの里 雅叙苑」の茅葺き屋根が望め、美しい借景となっています。リビングは、打ちっぱなしのコンクリートの壁がモダンな雰囲気を醸し出しつつ、土壁が温かみを感じさせてくれます。しかもこの土壁は東京国立博物館やハイアット リージェンシー瀬良垣アイランド 沖縄なども手掛けた、カリスマ左官職人・久住有生氏の作品だそう。つなぎの部分や角の部分も美しかったです。寝室は木を基調とした温かみのある雰囲気。天井を見上げると大きな木の梁が。このような古材が鹿児島にはあまりなく、この木はわざわざ会津若松から運んできたそう。それとともに会津若松の職人さんも呼び、作業をお願いしたというこだわり。
天窓からの光が木の梁にあたり、優しい空間を作ってくれています。椅子に座ってぼーっとその姿を眺めるだけでも癒されます。リビングと寝室は露天風呂に通じています。洗面のシンクが2つあるのはうれしいですね。妙見の自然が一望でき、眼下には天降川。1日中湯浴みを愉しみたくなります。
「妙見石原荘」のこだわりの一つに「生きている湯」というのがあり、石蔵のお部屋すべてに源泉かけ流しの露天風呂が付いたのも、お部屋の近くに源泉があるから。温泉が噴き出す力で全室に加水も加温もない、まじりっけのないフレッシュな湯を届けているんです。これができなければ、お部屋を造ろうとしなかったそう。2階の和洋室タイプのお部屋へは、玄関側の廊下を通ります。右の土壁と左のコンクリート壁とのコントラストがアートさを感じさせます。外観から見えていた窓。窓の外側と内側では時代も世界も異なるような、そんな不思議な感覚を感じました。とても絵になるおすすめの撮影ポイントです。約85平米の和洋室タイプのお部屋。家具や調度品も落ち着いた空間に合う素敵なものばかり。雪見障子の和室で、お茶をいただきながら静かに景色を眺めるのも良いですね。和洋室タイプは最大6名まで泊まれるそうなので、家族連れや女子旅にもおすすめです。渓流沿いの野趣溢れる湯浴みを堪能「妙見石原荘」と言えば、温泉。大浴場「天降殿」へは、大きな門を抜けて進んでいきます。お部屋からは遠く感じるかもしれませんが、その分フレッシュな生まれたての温泉を堪能することができるんです。源泉の近くに湯船を備える宿のこだわりを感じてください。紹介しているメディアは少ないですが、実は通路の途中にある「薬湯」では、飲泉ができます。胃腸などに良いと言われているそうなので、お酒好きな私はいただいてきました。泉質が「ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉」ということもあり、鉄分の味が強く、効果がありそうな感じがしました。こちらが大浴場の入り口の「天降殿」。男性女性それぞれの内風呂と貸切露天風呂「七実の湯」「睦実の湯」はこちらから。湯浴み後にゆったりできるラウンジが備わっています。昼間は日帰りで、湯浴みとランチを愉しむお客様でにぎわっています。自然をもっとも近くで感じる湯浴みを堪能したい方は、「椋の木野天風呂」がおすすめ。大きな椋の木が目隠しと屋根の役目をしてくれる、まさに野天。手を伸ばせば届くところに、天降川が流れています。温泉は湯船の中から湧いているので、空気に一切触れていない生まれたての湯が堪能できます。湯船に深く浸かれば、川と一体になったような感覚になるインフィニティ風呂を楽しめます。誰の目も気にせず、野趣溢れる湯浴みを満喫しましょう。「天降殿」の通路途中にあるベンチで湯冷ましの休憩はいかがでしょう。川の向こうに溢れ出す源泉も見ることができ、自然の力も感じられるおすすめの癒しポイントです。石蔵の近くには、足湯処も。チェックアウト間近の少しの時間に足湯で癒されるのも良いですね。◆おまけ◆ご厚意でお着き菓子をいただきました。「妙見石原荘」では、お着き菓子は毎月変わるそうで、私が取材に訪れたときは「両棒餅(ぢゃんぼもち)」と呼ばれる鹿児島市に古くから親しまれる郷土菓子。隠し味に味噌を使ったみたらしのお味です。このお着き菓子を楽しみに宿泊する常連の方も多いそうです。石蔵のお部屋の窓に貼ってあった、ガラスであることをお知らせするシール。よく見るとムササビの形をしているんです。まるで木から木へ滑空しているかのように見えて、かわいい。こういう小さなこだわりにセンスを感じます。「妙見石原荘」は、一度は入りたい温泉としても人気のお宿。日帰りでランチと湯浴みも楽しめますが、湯もお料理も設えも120%堪能したいのであれば、宿泊するのが一番。ぜひ新館の石蔵のお部屋で特別な時間を過ごしつつ、渓流沿いの露天風呂で宿泊者しか体験できない夕暮れの湯浴みを味わってみてはいかがでしょう。 妙見石原荘 鹿児島県/霧島・妙見温泉 詳細情報はこちら  

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妙見石原荘
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4.5

61件の口コミ
place
鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4376
phone
0995772111
opening-hour
[立ち寄り湯]11:30-13:30[足湯…
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