箱根湯本駅から箱根登山鉄道に乗って強羅駅へ、そんな東京から2時間もかからない位置にあるのが「強羅花扇 円かの杜」。館内へ通じるエレベーターの扉を開ければ、非日常空間が広がります。今回は一休編集部yoshida.fが、実際に取材。木と畳、こだわりの設えに、癒されてきました。エレベーターから降りると広がる別世界車を降り、お宿のスタッフに案内されてまずはエレベーターへ。上昇するエレベーターの扉が開くと、目に飛び込むのは、風情のある木製の橋と水車、そして和モダンな外観の宿。エレベーターという箱にいたので、開放感と非日常感がより感じられます。これもお宿の演出のひとつ。素敵です。玄関を入ると、お宿のガイドページでよく見る、印象的な円の窓が。「円かの杜」に来たことを強く実感するポイントです。
靴を脱いで上がるところに敷かれているのは、重厚な“栗の木”の一枚板。他の木よりも固いことで知られる“栗の木”。靴を脱ぐ場所にはピッタリですが、乾燥するとすぐ割れてしまうため、こまめに水をかけないとならない手間のかかる木材なんです。それなのにあえて使っているこだわり。「上高地帝国ホテル」の床も“栗の木”。素晴らしい宿にはこういった共通のこだわりがあるものなんですね。館内には“栗の木”の他に、“檜”や“杉”、“欅”などの木材が贅沢に使われています。家具は全て飛騨家具。一つひとつ丁寧に作られた品々なので、定期的に職人さんがメンテナンスに訪れるそうです。奥のカウンターには金屏風、そしてインカ文明の土器などが飾られています。時と共に味が深まる一流の品々、これを見るだけでも訪れた価値はあるかと。ロビーのカウンターにある、5メートルほどの長さの一枚板。これは“神代欅”。写真奥に見えるのもそう。神代欅とは、千年以上に渡って地中に埋まっていた欅のこと。独特の深い色合いを、席でコーヒーを飲みながら味わってみていただきたい。館内の全てのフロアで、畳が敷かれています。歩きにくいスリッパを履かずに、足元もリラックスして過ごしてほしいという想いがあるとか。足の裏から和を感じる、とても懐かしい気分になりました。デザイン美と機能美が調和するお部屋たちお部屋は「スタンダード」「デラックス」「スイート」の3タイプ。写真のお部屋は、「Discover Japan」がプロデュースしたコンセプトルーム「305草牡丹」。手前がダイニングになっており、お食事はこちらでいただきます。真ん中の襖を閉めることができるので、プライベート空間はしっかり確保されるから安心。京都で180年以上の歴史を持つ寝具製造会社「IWATA」のカウチなど、こだわりの家具が備わっています。障子も景色が見やすくプライベート空間が保たれるようになっているがなど、スタイリッシュさのなかに和の風情が感じられます。ベッドは、このお部屋限らず全てシモンズ。しかも、通常よりも10センチ程高さを増している特注品。これまで以上の快適な眠りが待っていそう。全室が半露天風呂付きで、掛け流しの贅沢さ。お宿には源泉が2つあり、お部屋と大浴場で異なる泉質が愉しめます。お部屋の湯は、保湿効果の高い源泉。ゆっくり入って、温まったら椅子に腰かけてドリンクをいただく…なんて贅沢な湯浴みが叶います。半露天のお風呂から見えるのはこの景色。箱根の絶景が広がっています。アメニティーにもこだわりが。一般の宿によくある使い捨てでは、非日常感が薄れてしまう。そのような想いから、歯ブラシは“豚の毛”を使用したものになっています。普段なかなか使わないこういった品があると、たしかに日常に戻されないですよね。こちらのお部屋は「311海老根(えびね)」。飛騨家具がもちろん備わっています。雪見障子の向こうが半露天風呂。案内をしていただいたスタッフの方のお気に入りのお部屋だそう。おこもりにはピッタリな広さだとか。たしかに、距離感が気持ち良くプライベートな時間が際立つように感じました。寝室の天井からも木の温かさが感じられ、角のない丸い梁が、柔らかい気持ちにもさせてくれます。箱根の寄木細工に入っているのが、「illy」のコーヒーとばら茶、こくとう茶など。そばにあるカップには、コーヒーを飲み終えるとカップの底にあるかわいらしいマークが浮かび上がる仕掛けが。こういったもの全てお宿の女将が選んでいるとか。ゲストを愉しませる工夫とこだわりが細かくて素敵です。畳敷きの美しく幻想的な階段を降りると杉の木に囲まれ、畳敷きの階段の先にあるのは大浴場。
この場所に、陽が落ちて夜が訪れたらぜひ来てみてください。幻想的に感じてウットリするはずです。私はこの景色がとても好き。こちらが大浴場。男性用と女性用があり、午前と午後の入れ替え制です。写真手前の内風呂は、湯の温度が40度程度の低い湯船。背もたれが付いたスペースに腰かけ、ゆっくりと箱根の絶景を眺めながらの湯浴みが愉しめますよ。その隣の湯船は42度。気分に合わせて使い分けできるのがうれしいですね。こちらが露天風呂。湯船が3つほどあり、湯めぐり気分も味わえます。大浴場の泉質は、クレンジング効果があるとか。まずは大浴場に入り、次に保湿効果のある湯のお部屋の温泉に浸かるのがオススメです。
お部屋には露天風呂備わっているため、こちらの大浴場は誰も入っていない時間が多いそう。タイミングが良ければ貸切状態の湯浴みも愉しめますよ。大浴場には、お部屋と同じ今治タオルが用意されているので、手ぶらで入浴可能です。
写真は湯上り処。ソファとマッサージチェアと共に、興味惹かれる雑誌や本が。そしてラウンジにも書籍が。ほかにも、先ほどご紹介したコンセプトルーム「305草牡丹」やバーにも。これらはブックディレクターの幅允孝氏が、実際に宿に泊まりその場所ごとにぴったりな本をセレクトしたそうです。なぜこの本がここにあるのか、そういった想いを探るのも面白そうです。大人の癒しの場所が最高の設えと共に美しい木材が使われている囲炉裏とその周りに円座があり、お宿の象徴の丸窓からは美しい木々が見える。この素晴らしい空間は何のためにあると思います?実はここ、喫煙所なんです。愛煙家としてはとてもうれしい、小躍りしたいくらいの贅沢空間。喫煙する度に外に出て、現代社会の厳しさを思い出していましたが、この宿ではまったく頭の隅にもよぎりません。こんな素敵な喫煙所だからこそ、より綺麗に利用したいですね。もう一つ、大人にうれしい空間がこの「蔵BAR こだま」。20時~24時までオープンしているバーです。蔵のような設えで、この扉も専用のカギを使って開けるようになっています。このバーのご紹介は別記事<【大人を愉しむ】旅館のバータイム~「強羅花扇 円かの杜」編~>をご覧ください(要チェックです!)。いかがでしたでしょうか。「訪れてみたい」という私の気持ちが積もりに積もっていたお宿。実際、施設を拝見させていただいて想像以上の素敵さでした。木や畳、設えの温もりに、どこか懐かしくほっとするような気持ちに。「強羅花扇 円かの杜」、大切な人と大事な時間を過ごしに訪れてみてはいかがでしょう。 強羅花扇 円かの杜 神奈川県/箱根・強羅 詳細情報はこちら
【取材】全室露天風呂付、箱根の隠れ宿で木と畳の感覚を楽しむ
2019.09.25
一休コンシェルジュ