ただ海を眺めて過ごしたい、南紀白浜に佇むデザイナーズ旅館


2019.07.15

一休コンシェルジュ

南紀白浜は、羽田空港から飛行機で約1時間と、都心からのアクセスも良い人気の温泉リゾート地。今回はそんな南紀白浜空港から車で20分の「海椿葉山」に、編集部のmisakiが伺ってきました。1日6組限定で、12歳以上の大人だけが宿泊できるデザイナーズ旅館の魅力をたっぷりとご紹介します。あえて海を見せないことで際立つ圧巻の建築美空港から国道42号線を車で南下すること約20分。海に向かって1本入った通り沿いに、「海椿葉山」は位置しています。
“ベンガラ”と呼ばれる深い紅色に、楕円形で三角屋根の外観が特徴的で、迷うことなくたどり着くことができました。一見入り口らしき場所は見当たりませんが、カーブに沿って進むと……「海椿葉山」の名が記された玄関が現れます。こぢんまりとした門構えからは、中の様子が想像もつきません。扉を開けると、木材とコンクリートが調和したスタイリッシュな空間がお出迎え。
床は小石が敷き詰められた洗い出し仕上げになっていて、足元にも細かい職人技が光ります。それもそのはず。設計を手掛けたのは、建築家の竹原義二氏。宿自体もグッドデザイン賞(2000年)をはじめとした数々の賞を受賞していて、細かな建築美を至るところで堪能できると、建築好きにとって憧れの宿なのです。まず案内されるのは、外から見えていた楕円形の部分。こちらは「サロン」と呼ばれる場所で、自由に出入りできるラウンジです。
熊野の山中で育った杉やヒノキを使っていて、優しい木の香りが漂います。光の差し込みや影の入り方も計算し尽くされ、まるでアートの一部に。刻々と、時間の移り変わりとともに光や影が館内を彩ります。窓はあえて大きく切らず、椅子に座ったときの目線に合わせて。ゆったり過ごしやすいよう、細部にまでさりげない心遣いを感じられます。ふと天井を見上げれば、杭を使わず縦横斜めに組まれた梁に思わず目を奪われます。特に先端のカーブは圧巻。寄木ではなく1本の木をくり抜いて作ったもので、宮大工さんの職人技が見事です。こちらからも光が取り入れられるよう、小窓が設置されています。藁を混ぜ込んだ壁や、木目模様をつけたコンクリート壁など、サロン棟には木の優しさと馴染む仕掛けがたくさんありますよ。海の碧と空の青を眺めて過ごす6つの客室客室棟は、サロン棟から繋がる回廊の先。専用に焼いてもらったという赤瓦の屋根と、青い空とのコントラストが綺麗です。屋根がありながらオープンエアになっていて、中庭からの爽やかな風が吹き抜けます。回廊に沿って並ぶ6つの客室の中から、まずは一番手前の「海椿」をご紹介します。こちらは角部屋特有の2面採光で、自然光だけでも明るいのが特徴です。6室の中で最も広く、3~4名での宿泊にもぴったり。窓が収納できる造りで、すべて開けるとお部屋がテラスの延長にある感覚で、開放感抜群です。海を眺めるために考え抜かれたデザインのお部屋は、シンプルで上品。華美な装飾はなく、そっと生けられたお花が季節感を演出しています。天井は、さざ波のようなウェーブが施されたスレート地。壁や天井、電球などのデザインは1部屋ずつ違うので、どのお部屋になるかも楽しみの一つです。崖の上に建っているので、テラスに出れば海を間近に感じられます。テラスに足を出して寝そべってもよし、椅子に腰かけてのんびりするのもよし。ここでは波音や鳥のさえずりなど、自然が奏でるBGMが最高の癒しです。一番奥の「海風」は、周りが土間に囲まれたお部屋。居間が一段高くなっていて、どこか懐かしさを覚える造りです。室内には、風の通り道となるような小窓やスリットがたくさん。差し込む光や影の移り変わり、頬を撫でる風の温もりが、ゆったりした時の流れを感じさせてくれるでしょう。一人旅におすすめなのが「海月」。土壁と波打つ木の壁が温かく、ほっと落ち着く設えです。
夕朝食ともに食事はお部屋での提供なので、1人でも安心してくつろぐことができますね。晴れの日は窓と玄関を開けっ放しにすることで、海からの風が中庭に流れて心地良く。
雨の日は瓦をつたった雨だれが滝のように落ちていき、しっとりと風情溢れる光景に出会えるでしょう。海を見ながら歴史ある温泉に身をゆだねる日本書紀や万葉集にも登場し、「日本三古湯」の一つでもある南紀白浜温泉。椿温泉も湯治場として愛されてきた歴史ある温泉で、乳液のようになめらかな美肌の湯としても有名です。大浴場は、客室を過ぎた回廊の奥に位置しています。
女風呂の「落日の湯」は視界が開け、海を一望できる絶景が自慢。男風呂「荒磯の湯」は、波によって浸食された崖や岩など、力強い景色が眼下に広がります。いずれも源泉掛け流しの冷泉と加温した浴槽の2つが並んでいるので、ぜひ交互に入浴を。窓を開ければ半露天風呂気分で湯浴みを楽しめます。美しい建築の数々やどこまでも続く海、歴史ある美肌の湯に癒される「海椿葉山」。
ここでは何もしないことが、何よりの贅沢となりそうです。
あなたも自分だけの静かな時間を過ごしてみませんか。 海椿葉山 和歌山県/椿温泉 詳細情報はこちら  

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海椿葉山
rating

3.5

11件の口コミ
place
和歌山県西牟婁郡白浜町椿1063-20
phone
0739460909
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