志賀直哉の名作「城の崎にて」が生まれた老舗宿


2019.05.13

一休コンシェルジュ

城崎温泉の中心部に佇む「城崎温泉 登録有形文化財の宿 三木屋」。創業300年の老舗旅館は、日本の近代文学を牽引した文豪・志賀直哉が実際に逗留した場所としても知られています。今回は、志賀の名作「城の崎にて」が生まれた「三木屋」をご紹介します。落ち着いたロビーと文化の薫り漂うライブラリーラウンジそのルーツを安土桃山時代まで遡ることができる老舗旅館「三木屋」。1913年には志賀直哉が逗留し、「城の崎にて」を執筆しました。「城の崎にて」は、短編ながら生と死という大きなテーマに挑んだ日本文学を代表する作品。その執筆場所である「三木屋」は、現在も文化の薫り漂う上質な雰囲気を醸し出しています。例えばロビー。1927年に建てられた登録有形文化財でもある木造建築は、2013年のリニューアルを経てモダンさと歴史を兼ね備えた、落ち着きある大人の空間に。ロビー横には、「ライブラリーラウンジ」を設置。ブックディレクターの幅允孝氏がセレクトした約250冊の本から選んだお気に入りの一冊を、じっくり愉しむことができます。「城の崎にて」の冒頭には、「一人きりで誰も話し相手はない。読むか書くか、ぼんやりと部屋の前の椅子に腰かけて山だの往来だのをみている」という一節が。本を片手にソファやチェアに腰かければ、小説のように静かな思索に耽る時間を過ごせるかもしれません。日本庭園で自分と向き合う時間を約300坪と広大な「三木屋」の日本庭園。志賀はよく、2階の「26号」のお部屋に好んで泊まったとされています。「城の崎にて」の中でも、「自分の部屋は二階で、隣のない、割に静かな座敷だった。読み書きに疲れるとよく縁の椅子に出た」という一節があります。「26号室」は、宿泊者がいなければ見学が可能(三木屋の宿泊客が対象)。小説の描写とともに景色を愉しめます。静寂で緑豊かな日本庭園には、「三木屋」の傍を流れる大谿川から水を引き込んだ池があります。桜や百日紅など、季節ごとに異なる表情を見せる庭園では、鳥が羽を休めることも。
夜にはライトアップされた景観を愉しめます。「城の崎にて」では最後、大怪我を負った「自分」が城崎温泉での散策を通じ、生と死について「両極ではなかった。それほどに差はないような気がした」と考えるに至ります。
宿での静かな生活が、「自分」にとって本当に大切なことを想う余裕をもたらしてくれたのかもしれません。
自然に囲まれた、静謐な空間を持つ「三木屋」でなら、自分と向き合う時間が生まれそうです。2つの「特別室」と名湯で寛ぐ日本庭園をより間近に感じたいのなら、オススメは「特別室22号」と「特別室50号」のお部屋。1階に位置するため、縁側から庭園が見せる四季折々の表情を臨めます。「特別室22号」は、お宿の中でもっとも広いお部屋。書院造でゆったりと寛げる和室に、フローリングの寝室が備わります。純和風の造りが特徴の「特別室50号」。庭園が目の前に広がる縁側は、物思いに耽るのにちょうど良いスペースです。開湯1400年を誇る温泉は、2つの大浴場で愉しめます。
「つつじの湯」では、4月から7月に見ごろを迎える3種のツツジを愛でることができます。「ひいらぎの湯」は、天井が吹き抜けの開放感ある造り。坪庭には、3月から4月ごろに黄色い花を咲かせるヒイラギナンテンがあり、湯船に浸かりながら愉しめます。名作「城の崎にて」が生まれた「三木屋」。ライブラリーラウンジや日本庭園を擁する老舗宿では、カルチャーを身近に感じつつ、お部屋や温泉で寛ぐこともできます。ぜひ、訪れてみてはいかがですか。 城崎温泉 登録有形文化財の宿 三木屋 兵庫県/城崎温泉 詳細情報はこちら  

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城崎温泉 喜楽
place
兵庫県豊岡市城崎町湯島495
phone
0796322503
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