川端康成の名作の世界に触れる「雪国の宿」


2019.04.03

一休コンシェルジュ

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。ノーベル文学賞作家である川端康成の長編小説「雪国」、冒頭の一節はあまりにも有名です。今回は、川端がその「雪国」という作品を執筆したとされ、作品の舞台ともなった「越後湯沢温泉 雪国の宿 高半」をご紹介します。「雪国」が創作された「かすみの間」にて「雪国」は、川端康成が1935年から47年にかけて執筆した作品。「文藝春秋」や「改造」といった、時代を代表する文芸誌で連載されました。東京に妻子をもち、物書きである「島村」という男性が、舞台となる温泉地を訪れ、芸者である駒子と出逢い、切ないアバンチュールを繰り広げていきます。時代背景が戦前ということで、現代の感覚では分かりにくい部分もありますが、今風に言えば、男女の想いが絡み合う「大人のラブストーリー」といったところでしょうか。こちらが、実際に「雪国」が執筆された「越後湯沢温泉 雪国の宿 高半」の客室「かすみの間」。現在は見学のみ可能です。当時は、木造3階建ての建物の2階に位置していましたが、現在は新しい建物に移築されています。実はこちらのお部屋、作品内にて、島村と駒子が逢瀬を重ねた場所のモデルにもなっています。二人にとって初めての出逢いの場でもあったこのお部屋。ストーリーが進むにつれ、二人はここで喧嘩をしたり、愛を確かめ合ったりと、物語が展開する中心となっていきます。作品の中で、登場人物らが想いを通わせたお部屋が、現実にあるというのは、言葉にしてみると少し不思議な気もしますね。ストーリーを頭に入れ、実際に「かすみの間」を訪れれば、「雪国」という作品の持つ魅力をもっと深く感じることができるかもしれません。こちらは、駒子のモデルとなった、芸者の松栄さん。凛とした雰囲気が漂います。作品中には、「かすみの間」に独りでいる島村のもとに、駒子がしたためた「今とっても朗らかに騒いでいます酒のんで」というメモ書きが届く件があります。
愛する男に、やきもちを焼かせようとする女性の健気さを感じるシーンですが、モデルとなった松栄さんと「かすみの間」を前にすると、駒子の切ない想いをより鮮明にとらえることができます。文学作品を読むだけでは味わえない楽しみ方ができそうですね。三国山脈の景観と湯を堪能する滞在をこちらが現在の「高半」。南館と東館があり、南館からは布場スキー場や湯沢の街が、東館の5~6階からは三国山脈を一望できます。こちらは、南館・4階の客室。12畳のお部屋以外にも、次の間が付く広々とした和室となっています。窓外に広がる長閑な景色が日々の喧騒を忘れさせてくれます。
「雪国」は、完成まで約10年もの歳月を要し、度重なる推敲が施されてきました。その中で磨かれた自然描写も、作品の大きな魅力となっています。例えば、夕日が沈んで次第に夜の気配を表現した一節。「やがて山それぞれの遠近や高低につれて、さまざまの襞の影を深めて行き、峰にだけ淡い日向を残す頃になると、頂の雪の上は夕焼空であった」。
これは、マッサージ師が部屋を出た後、独りで佇む島村の虚しい胸の内に呼応する描写。川端が実際に見たであろう、創作のエッセンスとなった実在の景観を目の当たりにすれば、文豪が執筆のためにめぐらした思索を、なぞることができます。こちらは、宿自慢の大浴場。男女それぞれ専用の湯船があり、いずれも源泉掛け流しの湯を愉しめます。湯治の場としても有名なこちらのお宿。「単純硫黄温泉」は、疲労回復などに効果があるとされています。客室同様、川端が滞在したころとは造りが異なりますが、作中では、島村や駒子も入浴を愉しんでいます。食事も自慢のこちらのお宿。地元で獲れたお魚を、釜で炊いた魚沼産のこしひかりと共にいただけます。
別注の焼き物には、和牛ステーキをご用意。お腹いっぱい、満足できる量と質が支持を集めています。野菜へのこだわりも強く、地元の生産者から直接仕入れているとのこと。こちらは美雪マスのお造り。炊き立てのご飯と共に味わいたいですね。川端康成の世界に深く触れる「雪国」や川端康成の世界をもっと深く知りたいという方のために、宿内には「作品展示室」と「文学資料室」を設けています。
川端康成直筆の色紙や、「雪国」の初版本が展示されています。ノーベル文学賞作家ということで、お硬い印象を持つ方もいるかもしれませんが、初期の川端康成はダダイズムの影響も色濃く、「水晶幻想」や「浅草紅団」といった前衛的な作品を多数執筆しています。川端は若いころ、尖った作品を手掛け、横光利一と共に新感覚派と呼ばれていました。「雪国」は、作者のキャリアの中でも中期に位置するもの。洗練された文体によって織りなされる心理描写と自然描写は、時には難解に思える部分もありますが、大人の恋を綴った内容と合わせて、読み応えは十分です。駒子の元フィアンセ「行男」の死や、その妹「葉子」と駒子、島村の三角関係など、読み進めるうちに、複雑と化していく物語も見逃せません。名作「雪国」が執筆され、作品の舞台ともなった「越後湯沢温泉 雪国の宿 高半」。ぜひ、文庫本片手に訪れてみてはいかがですか? 温泉やお料理を堪能する合間にページを繰って、物語に想いを馳せるひとときをお過ごしください。引用文献『雪国』川端康成 新潮文庫 越後湯沢温泉 雪国の宿 高半 新潟県/越後湯沢温泉 詳細情報はこちら  

越後湯沢温泉 雪国の宿 高半
place
新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢湯元
phone
0257843333

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