家で銭湯気分を味わおう。高円寺の「小杉湯となり」が手がける銭湯グッズ


2020.05.31

Harumari TOKYO

そもそも「小杉湯となり」とはどんな場所なのか? まずはそこからご紹介しよう。
「小杉湯となり」はその名の通り、高円寺にある銭湯・小杉湯の隣にある施設。今年の3月に完成したばかりだ。「銭湯のあるくらし」をコンセプトに、湯上りの一杯や手作り料理を楽しめる1階のスペースと、仕事や読書などができる2階の小上がりなどで構成されている。2階にある畳の小上がり。仕事や休憩ができる窓からは、隣にある銭湯「小杉湯」が見える一体どうしてこのような施設を作ったのか、「小杉湯となり」を手掛けた「銭湯ぐらし」の代表・加藤優一さんが話してくれた。
「ここは3年前、風呂なしアパートが建っていました。しかも解体を1年後に控えていて、アパートの持ち主でもあった小杉湯の2代目オーナーが、この場所をどう活用しようか悩んでいたんです。ちょうど僕は空き家の活用や建築の設計の仕事をしていた縁もあって、面白いことやりましょうという話になりました」(加藤さん)
アパート解体までの1年間、無償で家を借りることになった加藤さんは、このプロジェクトに賛同して同じアパートに住むことになったメンバーとともに、銭湯をどう盛り上げていくかを考えることになった。加藤さんをはじめ、メンバー全員が「銭湯好き」であったこともあり、銭湯を中心にさまざまな人々が交流できる「第二の家」をつくる構想ができ上がったのだという。銭湯ぐらし代表・加藤優一さん「シェアハウスではないのがキモなんです。シェアハウスだと人とずっと接していなければいけない、コワーキングスペースだけだと仕事をするだけになってしまう。一人でいたい時、皆と過ごしたい時、どっちもあるじゃないですか。そういう、コミュニケーションの仕方を選べる場所を街の中に増やしたいなと思ったんです。しかもそれが高円寺の店と連携したり、街に開かれていたりするのが重要かなと」(加藤さん)
そして2018年にアパートが解体されたのち、今年3月、満を辞して「小杉湯となり」がオープン。しかし、新型コロナウイルスの影響により、すぐに休業状態に。そこで、どうにかして銭湯の体験を届けようと始めたのが、ECサイト「銭湯のあるくらし便」だった。担当の宮 早希枝さんに、詳しい話を聞いた。銭湯ぐらし・EC担当 宮 早希枝さん「こういう状況になってしまったけれど、私たちが伝えたかった湯上りの最高の一杯とか、誰かとつながっている手触り感のようなものを、どうにか感じてもらいたくて。だからECサイトは、ただ商品を届けるというよりは、『銭湯の体験』を届けられたらいいなという思いで立ち上げました」(宮さん)「銭湯のあるくらし体験セット」(4000円・税込)サイトには、家でも「銭湯で感じるような幸せな時間」を体験できるようなグッズを揃えている。現在販売しているのは4種類。一番のおすすめは「銭湯のあるくらし体験セット」だ。中身は、天然素材で作られた入浴グッズ、今治タオルを手がけるIKEUCHI ORGANICが作った銭湯用タオル、オリジナルの牛乳瓶、そしてコーヒー牛乳のもとなどが入っている。入浴から湯上りまで、銭湯にいるかのような気分に浸ることができる。心ほぐれる入浴グッズ(2000円・税込)おうちで小杉湯セット(10000円・税込)ほかにも、米ぬか風呂やオーガニックハーブティー風呂など天然素材のお風呂が楽しめる入浴グッズだけのセットや、小杉湯でも実際に使われているふわふわのタオルとオーガニック洗剤の詰め合わせなどがあり、小杉湯マニア、そして銭湯マニアにもたまらないラインナップとなっている。ECサイトは5月下旬にオープンしたばかりだが、かなりの反響があり、現在、一部の商品は予約受付中となっている。
「個人的には、コロナでステイホームになったときに閉ざされたのは人とのつながりだったと思っています。オンラインだったとしても、やっぱり人の存在を感じるもの、温かさを感じるものは必要とされるのではないかと。なので、箱にも手書きでメッセージを書くなど、私たちの思いが伝わるように届けたいと思っています」(宮さん)コロナ禍で人とのつながりの大切さに気付いたという宮さん。記事を読んでいる人の中にも、移動も制限された中で、歩ける範囲に知り合いがいたことが、心の支えになったという人も多いのではないだろうか。
加藤さんによれば、小杉湯となりはまさに、そういった「ご近所のつながり」を生み出す場所を目指しているのだという。
「今回のことで、家にこもる・家の中を充実させる、ということのほかに、近所をどう楽しむか? という文脈も重要になってきた気がしています。昔はあったご近所付き合いとか、持ち寄りなどができる安心の関係、そういうモデルがこの小杉湯となりで作れたらいいと思っているんです」(加藤さん)
なお「小杉湯となり」は来月、再オープン予定だ。ただし、しばらくは会員の利用のみに限定するという。会員は現在募集中。一ヶ月2万円の利用料で「小杉湯となり」の設備が使い放題となり、「小杉湯」の入浴券などと交換できるチケットもついてくる。加藤さんはこの場所を、第二の家のように利用してほしいと話す。
「家を拡張して、街の中で暮らす感覚です。自分の部屋には寝る場所さえあれば良くて、銭湯に行けば大きな風呂があって、『小杉湯となり』に台所や書斎がある。これからもう少し医療とか交通系の分野とも連携して、高円寺にいれば豊かな暮らしができるようなプランを広げていきたいですね」(加藤さん)
新しい生活様式が広がりつつある今、ひとつのモデルケースとなりそうな「小杉湯となり」。ただ、まだコロナが完全になくなったわけではない今、遠くに住む人は利用が難しいのも事実だ。まずは、オンラインで買える銭湯グッズで、人の温もり、温かさを感じてみてはいかがだろう。 

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高円寺
place
東京都杉並区高円寺南4丁目

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