「写真」と「ファッション」が変化した1990年代以降を検証する企画展が開催


2020.02.26

Harumari TOKYO

ファッションが発展する過程で、衣服が持つ魅力を伝えるという重要な役割を担ってきた写真。その関係性は、1990年代から2000年代にかけ、目まぐるしく変わってきた。1990年代といえば、ファッションの魅力を伝えるという枠組みを超え、人々に訴えかけるイメージを作り出す写真家や、情報を発信するファッション誌が次々に登場した時代だ。日本でも、「CUTiE(89年創刊)」「egg(95年)」「Boon(86年)」などの雑誌が若者を虜にした。髙橋恭司 《Tokyo Girl》〈The Mad Broom of Life〉より 1992年 作家蔵 ©Kyoji Takahashi, courtesy of nap galleryそして2000年代以降、インターネットが普及したことにより、ファッションと写真の関係性はさらなる変化を遂げる。かつては新聞や雑誌の編集者・記者などを介して伝えられていた最新のファッションショーや展示会の様子が、インターネットを介して瞬時に人々の手元に届くようになったほか、受け手自身もツイッターやインスタグラムなどを使った情報発信が可能になった。PUGMENT〈Spring 2018〉より 2017年 (撮影:三野新) ©PUGMENT今回開催される「写真とファッション」展は、こうした変遷を第一線で見続けてきた編集者・林央子が監修を努めている。「90年代は、『雑誌』を土台にファッションや音楽の流行が生まれた、あるいは『雑誌』主導で流行現象がつくられていった時代だった。多くの『写真』が、編集者と写真家の『協働』によって、『雑誌』の紙に印刷されるためにつくられてきた。その『雑誌』というものの多くが消えていき、あるいは広告の受け皿となって形骸化し、またはウェブマガジンにとってかわられた今、『写真』というものの生まれかたが、変貌を遂げているのではないだろうか」
(林央子・図録『写真とファッション』より一部抜粋)会場では、90年代以降のファッションシーンを代表する写真家やアーティストの多彩な作品が、約80点展示される。アンダース・エドストローム 〈Martin Margiela spring/summer 94〉より 1993年 作家蔵 ©Anders Edström見どころは、マルタン・マルジェラの撮影を長年にわたり手がけてきたアンダース・エドストロームや、1992年にフランスで創刊された雑誌『Purple』などで作品を発表してきた髙橋恭司の写真、そして2014年に東京で創設されたファッション・レーベル PUGMENT (パグメント)とアートやファッションの写真を数多く発表しているホンマタカシの、美術館では初公開となるコラボレーション作品だ。PUGMENT×ホンマタカシ〈Images〉より 2019年 作家蔵 ©PUGMENT/©Takashi Hommaまた、ファッション・カルチャー誌『Purple』を手がけたエレン・フライスと現代美術家の前田征紀が、本展のために発表するという新作コラボレーションも見逃せない。創造の源泉に触れるような空間構成で、彼らのものづくりへの信念を知ることができるという。エレン・フライス 〈Landscapes〉より 2019年 作家蔵(参考図版) ©Elein Fleiss前田征紀 《Tenjiku truck stop》2020年 作家蔵 ©Yukinori Maeda, courtesy of Taka Ishii Gallery恵比寿の「People」と新宿の「BEAMS JAPAN」では、本展に関連したサテライト展示も開催されるので、こちらもあわせてチェックしたいところだ。90年代のファッションがリバイバルされている今だからこそ、楽しめそうな本展。1990年代から2000年代が青春だったという世代は、懐かしみながら見ることもできそうだ。 

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恵比寿ガーデンプレイス
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4.0

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東京都渋谷区恵比寿4-20
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