本を売る場から、本で集まる場へ。ブックマンションが描く未来の本屋


2020.02.15

Harumari TOKYO

「街の本屋を増やしたい」から始まったブックマンションを運営するのは、中西功さん。このユニークな本屋が誕生したきっかけは、「街の本屋を増やしたい」という思いだった。 もともと、IT企業で会社員として働いていた中西さん。担当する企業の商品をどう販売しようかと考える日々の中、頼っていたのは意外にも本屋だったという。ブックマンションの店主・中西功さん情報の最先端にあるI T企業の社員が、なぜ本屋なのだろうか。「ネットでの検索は自分の頭にあるものを検索しますが、本屋に行くと検索というか探索する感じがあって、偶然の出会いがあったりする。アイディアが欲しい時に、いつも自分が見ている世界ではなくて、違う世界と会う機会としてはリアルな本屋ってすごいいいなと思っている。」出版不況の今、本屋が減り続けていることに危機感を抱いていた中西さんは、6年前、自ら「無人古本屋」を開業。当時は忙しい会社員だったので、仕事との両立のために無人のスタイルを選んだという。防犯などを考えるとなかなか勇気がいる挑戦だが、無人古本屋で本を盗まれたことはなかったという。逆に、店の掃除をしてくれる人や、備品の修理をしてくれる人が現れたというから驚きだ。 本を並べてただ販売するだけの従来の店では、「街の本屋」は増やせない…そう感じていた中西さんは、この経験から、みんなで運営するスタイルに辿り着いた。「本屋を増やすためには、今までのやり方だけではなく、他のやり方を提示しないといけない。いきなり大きな本屋をやるのは難しいが、皆で一緒に運営していくことなら、気軽にできる。それに、本のある空間っていろんな人が集まるので、そういった場所が増えたらいいなと思って。」 そして、現在の物件が空いたのを機に会社を辞めた中西さんは、クラウドファンディングで集めた資金を元に、2019年7月、ブックマンションをスタートした。 初対面でも本好き同士、自然に打ち解けるオープン後は、その存在が口コミで広がり徐々に人が訪れるように。しかもここでは、初対面の人同士が打ち解けてしまうのだという。「本好き」という共通項から自然と会話が生まれ、1時間以上滞在していくケースも多いのだとか。中西さん自身も、そんな会話を楽しんでいる。「(棚を)借りている人も、来る人も面白いので、話を聞かないと絶対にもったいない。人生をいろいろ覗けるというか。」こうした、誰とでも会話のできる居心地の良さを求めて、リピーターになる人も多いのだという。S N Sやネットでいくらでも人と繋がれる今の時代。ブックマンションは、敢えて足を運んで直接仲間と話をしたくなる場所なのだ。 「誰かの居場所」になってほしい中西さんも、ブックマンションが「誰かの居場所」になればいいと語る。 「人と繋がって(良い意味で)依存できる場所が増えるとその人自身が自立していく。例えば家庭しかなかったら、そこでトラブルがあったらストレスになって精神的にきつい。家庭と仕事の他に、もう一つこういったところがあって、居場所みたいな感じになっていければ、強くなって行くと思う。そういう意味でも、人との繋がりが得られる場所として、この場所があればいいのではないかなと。」「もちろんお金も必要だけれど、人との繋がりの中でも、日々の充実というのは感じられるのかなと。非日常の充実ではなくて、日常で感じられる充実がこの場で提供できたらっていうのはすごい思いますね。」 未来の本屋のフォーマット「街の本屋さん増大計画」を掲げる中西さんの次なる目標は、ブックマンションを全国に広めることだ。「ブックマンションのフォーマットが全国に広がって、街の本屋が増えていったら良いなと。少しずつ知ってもらって、3年で100店舗、5年で1000店舗に増やしたい。」すでに、この店を訪れたお客さんが、地元で同じ形態の本屋を始めるケースも出てきているという。訪れた人が書き込めるノートには「ブックアパート始めます」の文字が。さらに、いくつもの有名書店の担当者がブックマンションのノウハウを聞きに来ているというから驚きだ。 本好き同士が繋がり、心も満たしてくれる本屋・ブックマンションは、未来の本屋のフォーマットとも言えるのかもしれない。 撮影:山本恭平 

吉祥寺
place
東京都武蔵野市吉祥寺南町2丁目

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