恵比寿という街と一緒に映画を楽しむ。「YEBISU GARDEN CINEMA」のある1日


2020.02.13

Harumari TOKYO

「恵比寿」という街の魅力と連動した映画館恵比寿駅(JR)の東口に直結している動く通路スカイウォークを道なりに進むと、恵比寿ガーデンプレイスの時計広場が見えてくる。この広場はドラマ『花より男子』のロケ地としても有名で、取材で訪れた日も若い女性が広場の中央にある石のモニュメントで記念撮影をしていた。その広場を囲むように、ウェスティンホテル東京、シャトーレストランジョエルロブション、東京都写真美術館、恵比寿三越、ヱビスビール記念館などが建ち並び、石造りの景観はとても美しい。その広場を通り抜けた先に「YEBISU GARDEN CINEMA」はある。このミニシアターのコンセプトは「街と一緒に新しい映画館の楽しみ方を見つけよう」であるように、ショッピング+映画、アート+映画、食事+映画、恵比寿という街での過ごし方と映画が連動するような作品がラインナップ。「世界にはこんな映画があるのね!」というような、ヨーロッパを中心にした世界各国の映画、アート系の良質な映画が多いのもこの映画館の特徴だ。自分の知識を広げてくれる、ちょっと大人向けの映画館ともいえるだろう。スクリーン数は2つ(187席/93席)。すべてのシートが脚を伸ばせるゆったりシートで、隣の人を気にしなくていい専用の肘掛けもある(CINEMA1のみプライベートシートあり)。また、ミニシアターでは珍しい4K対応も嬉しい!これから上映となる待機作品には、『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』といった女性向けの作品が揃うほか、グザヴィエ・ドラン監督の新作『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』やYEBISU GARDEN CINEMA 5周年記念作品のフランス映画『最高の花婿 アンコール』など、シネコンではなかなかお目にかかれない作品と出会うことができる。また、演劇・ミュージカル・コンサートなどの舞台をスクリーンで体験できる『パリ・オペラ座』や、過去の名作を集めた企画上映なども人気。近日の企画上映には『ミシェル・グランとヌーヴェルヴァーグの監督たち』がある。これは、2019年1月にこの世を去ったフランス音楽界の巨星ミシェル・グランがヌーヴェルヴァーグ(※)の監督たちとコラボレーションした作品の特集上映で、『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』など7作を一挙上映する。こうしたミニシアターでの特集上映の良さは、珠玉の名作と言われる映画をスクリーンで観ることができること。加えて「YEBISU GARDEN CINEMA」の音響設備はコンサートホールに引けをとらない最高レベル、ミシェル・グランの遺した映画音楽を堪能するという意味でもこのミニシアターにぴったりの企画だ。※【ヌーヴェルヴァーグ】とは新しい波の意味で、1950年代後半、フランス映画界に現れた若い映画作家たちが起こした映画運動のこと。「映画を観る」だけが映画体験じゃない目的の映画を観て帰る──だけではなく、映画を観る前と後をどう過ごすかも含めて、いろいろな選択肢が周囲にあるのがこのミニシアターのウリだが、映画館内にあるカフェスペースも居心地がいい。しかもお洒落! もちろんこだわりがある。存在感ある大きな時計のオブジェは、まるでパリのオルセー美術館の時計台のようでもあり、恵比寿にいながらヨーロッパの雰囲気が漂っている。本棚には恵比寿にある書店「NADiff a/p/a/r/t(ナディッフ アパート)」がセレクトした映画関連の書籍が並び、カフェスペースで自由に読むことができる。取材日当日もこのスペースでくつろぐ人は多く「居心地いいね」「お洒落だね」という声が聞こえてきた。売店「&CAFE」のメニューも大人仕様だ。映画館といえばポップコーンやホットドッグなどが定番メニューだが、ここのメニューはワンハンドで食べられるソレント ピザ、ハーブやフルーツの有機ナチュルラルシロップを使ったソフトドリンク、カラフルなカップケーキ&マフィンなど、見た目にも味にもこだわったメニューばかり。
コーヒーやカフェラテも同様にこだわりがあり、使用している豆はイタリアで100年以上の伝統を誇るラバッツァの豆。常連客からも「コーヒーが美味しい」と好評だ。また、女性はぜひ立ち寄ってほしいのがパウダールーム! 壁一面に往年のハリウッドスターの写真が飾られていてテンションが上がること間違いなし!取材後、「YEBISU GARDEN CINEMA」を後にして思ったのは、このミニシアターはゆっくりゆったり過ごしたくなる映画館であるということ。映画を観る前にカフェスペースでコーヒーを飲んだり、観終わった後は恵比寿ガーデンプレイスにあるレストランやカフェで過ごしながら映画の余韻に浸ったり……。忙しく生きる大人が映画と一緒にほっとひと息できる、そして次はどの映画を観て、どんなふうに恵比寿で過ごそうか想いをめぐらせる──そんな素敵な場所だった。 取材・文/新谷里映
写真/玉井俊行 

YEBISU GARDEN CINEMA
place
東京都渋谷区恵比寿4-20-2恵比寿ガーデンプレイス内
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