素材や製法にこだわったハード系パンもいいけれど、ソフトな懐かしのパンにほっとする人も多いのでは?今回は、レトロなパッケージも魅力の昭和ライクなパンが楽しめる老舗洋菓子店3軒をご紹介します。1.〈ケーキショップ テラサワ〉/浅草浅草の裏通りにあるテラサワ。先までしっかりとクリームが入った「チョココロネ」120円。ほかに「生クリームコロネ」も人気で、持ち帰り用の冷凍もある。尻尾までクリームの入ったチョココロネが有名な店だが、私のお気に入りはミルクパン。クッキーだが名前は「ミルクパン」。しっとりした生地と甘酸っぱいあんずジャムは、昭和25年の創業当時から変わらぬ味。各130円。写真を見てびっくりしないでほしい。パンでもないし、ミルククリームでもない。クッキーにあんずジャムがのっている。甘酸っぱさが、ミルク風味のクッキーのおいしさを引き出す。かわいい見た目も私を夢中にさせている。なぜこれをミルクパンと呼ぶのか、ご主人に訊いたことがある。
「私にもわからないんですよね。生まれたときからそうだったから」店主の寺澤長晴さん(写真右)いわく「安心して食べられるものにしたいから、ショートニングは一切使わずバターのみで作っています」。結婚前に、妻・実栄子さん(写真左)へコロネをプレゼントしたというチャーミングな一面も。可笑しかった。でも、すごくいい話だと思った。肩肘張らず、伝統を守っている。さりげなく手に取ったものが、昔むかしの人が食べていたものと同じだなんて、とても楽しいではないか。浅草が、かつては東京で一等の繁華街だったと聞いても、いまではぴんとこないけれど、フランスの焼菓子みたいなこのおしゃれなクッキーに、その時代の記憶はとどめられているのだろう。サンドイッチやコッペパンサンドのマヨネーズは自家製で、亜麻仁オイルと米油だけで作るというこだわり。ドッグパンのラスク。1枚1枚ていねいに焼き上げる。池田浩明/パンラボ主宰。パンを食べまくり、食べたパンについて書きまくる。最新刊に『おかしなパン』(山本ゆりことの共著、誠文堂新光社)。(Hanako1128号掲載/photo:Yoichi Nagano text:Hiroaki Ikeda(essay), Kaori Hareyama)2.〈近江屋洋菓子店〉/淡路町焼ピロシキ330円や目玉焼きがのるクロックマダム風のフレンチトースト210円など 西洋風惣菜パンが目を引く。昔懐かしいアルミトレイに行儀よく並んだパンに心和む。朝9時の開店と同時に焼きたてのパンが並び、売り切れ次第終了。食パン、バゲット、ドックパンとパンの種類も豊富なサンドイッチや、具沢山の焼ピロシキ、フルーツののったデニッシュなど。飲み放題のドリンクサービス600円には、フレッシュなフルーツジュースやお惣菜パンに合う温かいスープもそろう。〈近江屋洋菓子店〉
日祝はパンの販売なし。
東京都千代田区神田淡路町2-4
03-3251-1088
9:00~19:00(日祝10:00~17:30、喫茶は17:00まで)無休
25席/禁煙(Hanako特別編集『おいしいパンのこと、すべて。』掲載/photo:Kasane Nogawa text:Michiko Watanabe edit:Kayo Yabushita)3.〈タカセ〉/池袋上から時計回りに人気の定番スイートブレッド170円、ソフトで甘いはちみつパン 180円、ファンの多いレーズンブレッド170円、ファンタジークリーム240円(各税込)。池袋でケーキ屋といえば〈タカセ〉というほど、池袋の人々にずっと愛されてきた老舗洋菓子店。池袋の東口駅前という好立地で立ち寄る人も多い。板橋にある工場から1 日4,000個が直送されるというレトロなパッケージのパンや、一風変わったネーミングのパンなどどれもかわいく、大きなサイズながら安さも魅力。〈タカセ〉
違うフロアには喫茶室、レストラン、コーヒーラウンジも。
東京都豊島区東池袋1-1-4
03-3971-0211
パン・洋菓子コーナー 8:00~22:00 無休(Hanako特別編集『おいしいパンのこと、すべて。』掲載/photo:Kasane Nogawa text:Michiko Watanabe edit:Kayo Yabushita)
レトロかわいいパン巡り。【東京都内】ソフトな懐かしのパンは老舗洋菓子店にあり!
2019.07.19
Hanako.tokyo