経堂〈モゴ〉の店主・山口泰子さんへ会いに。


2022.07.16

Hanako.tokyo

料理家・なかしましほさんが、気になるお店とその方に会いに行く本誌連載「散歩のレシピ」。今回はのんびりした昔ながらの商店街の空気が残る、東京・経堂のすずらん商店街の一角にオープンした韓国ごはん屋に訪れました。料理から配膳まで一人で行う。清潔感ある白を基調とした店内は、元ギャラリーだった壁をそのまま残した。飾り棚は韓国の民画を参考にしている 。長くいろいろな飲食店で経験を重ねてきた店主の山口泰子さんは、実は私のお店 〈foodmood〉の元製造スタッフでもあります。
出会いはその昔、彼女が私の料理教室に参加してくれたこと。 何度か話すうちに彼女の食べものに対する考え方、センスのよさに魅力を感じてスタッフにスカウトしました。当時からいつか自分のお店を持ちたいと話していて、ある時私と行った韓国旅行で韓国がずっと好きだったことに気付き、自分のお店のコンセプトを決めたそうです。
店内で使う食器は白に決め、韓国のものはもちろん、スタイリストの友人に依頼して多治見の廃業した窯で見つけてもらったり、京都の〈Kit〉さんで瀬戸のデッドストックのものを買ったり。新品の大量生産品を買うよりは、小さな荒物屋で買いたいと思っているそうで、お店のピンク色のカウンターに並ぶ白い器たちが、なんともかわいいのです。ゆで豚のポッサム定食はた っぷりの野菜とおかずが付いて1,300円。テイクアウトのビビンバ880円。そんな彼女の作る韓国料理は、チーズやお肉たっぷりのいわゆる 「映える」 韓国料理ではなく、地元の人が食堂や家で食べるような、素朴な「韓国ごはん」。現地のおいしかった記憶を再現したり、自分好みにアレンジしたメニューが並びます。
ポッサム定食やビビンバ、パンチャン(付け合わせの小さなおかず)など、強い味付けではないけれど、食べ終わった時にお腹と心が満たされるのです。材料は自分が納得したものを選ぶようにしたいという思いから、同じ経堂にある〈生活クラブ〉で肉や調味料などを仕入れ、ビビンバに使う塩麹やコチュジャンは自家製です。
「健康や安全を前面に打ち出したいわけではなく、お客さんには入った店が普通においしかったと思ってもらえたらうれしい」と話す山口さん。そんなところもスタッフ時代と全く変わりなくて、なんだか頼もしく思えるのです。山口さんが選んだ韓国を感じる品々。1.ポッサムを包むレタスなどの野菜を盛り付けるカゴは、本場の食堂でも使われているようなプラスティック製を使って演出。韓国の友人に買って送ってもらった。2.定食の器。韓国ではステンレスのお茶碗にご飯を入れることが多いが、「洗いづらい」ので白のどんぶりを使用。トレーは立ち上がりの高い正方形ではなく、日本の食堂で使われるタイプ。3.京都のショップ〈Kit〉で購入した器はマッコリ用に。真っ白ではないニュアンスのある色合いをセレクト。韓国ではアルマイトで飲む ことが多い。http://kit-s.info/4.韓国に触れる本。『丸ごと韓国骨董ばなし』(尾久彰三・著/バジリコ)の、持つことよりいいものをみんなで分かち合うという著者の考えに共感している。真ん中はなかしまさんのレシピ本の韓国版。5. 韓国アーティストのTシャツ。平壌冷麺のプリントの T シャツを販売。韓国のアーティストmionjeonさん作。Tシャツは3,000円、バッジもあり。山口さんが直輸入している。6.韓国の焼酎。焼酎といえばグリーンのボトルが主流だったが、韓国で2019年に発売されたのが透明ボトルで昔ながらのデザインの「眞露」。発売され るやいなや大流行に。今回訪れたのは、経堂〈モゴ〉。お店の名前は韓国語で「食べる」の意味の言葉から来ている。入店は1組2名まで。
東京都世田谷区経堂2-31-20
03-6680-7043
11:30~14:30、18:00〜21:00(日曜11:30〜14:30のみ)水木休
7席Text なかしましほ出版社勤務の後、ベトナム料 理店などを経て料理家に。2006年に〈foodmood〉をオープン。体によい素材のお菓子が評判に。著書に『たのしいあんこの本』(主婦と生活社)が。Photo 長野陽一ながの・よういち/日本の島を撮り続ける写真家。書籍、広告、CMでも活躍。独特の世界観の料理写真にはファンが多い。食べ物をまとめた本として『長野陽一の美味しいポートレイト』がある。 

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道の駅 しもごう
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3.5

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福島県南会津郡下郷町大字南倉沢字木賊844-188
phone
0241673802
opening-hour
[売店]8:00-18:00(12月-3月は1…
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