秘湯を目指して松川温泉へ! 山の幸と乳白色のにごり湯でまったりできる「峡雲荘」宿泊レポート


2018.03.27

バスとりっぷ

ざっくり、こんなお宿昭和レトロなボンネットバスで行く岩手の秘境温泉まさに自然の神秘! 乳白色のにごり湯に感動“幻の魚”も登場! 山の食材盛りだくさんの夕食を堪能岩手県の八幡平市は日本百名山の八幡平と岩手山が広がる山岳リゾート地。その八幡平市の標高850mに位置する松川温泉は開湯250年以上の歴史ある温泉地で、冬には雪深い「秘境温泉」となります。松川温泉には3軒の温泉宿があり、そのうちの1軒が今回泊まる「峡雲荘」です。昭和レトロなボンネットバスに乗り、雪降りしきる冬の“秘湯温泉”へ公共交通で松川温泉に行く場合、JR盛岡駅が起点になります。東京からの長距離バスも盛岡駅の東西にあるバスターミナルに停車します。盛岡駅から松川温泉へは、東口バスターミナルの3番乗り場から岩手県北バスの路線バスが1日3便運行しています(6:54発、12:12発、13:42発)。旅の起点となるJR盛岡駅。当日は現地の人が「数年ぶり」という大雪に盛岡駅東口バスターミナルの3番乗り場で「松川温泉」行きのバスに乗るおよそ1時間半かけてバスは八幡平マウンテンホテルに到着。ここから松川温泉までは、1968年(昭和43)製造の昭和レトロなボンネットバスが冬季限定で運行しています。※運行期間は2018年3月31日まで(積雪の状況によっては4月上旬までになる場合あり) 冬季だけ八幡平で定期運行しているボンネットバス半世紀の歴史を感じる車内岩手県北バス「ボンネットバス」の詳しい乗車記はこちら冬の八幡平で岩手県北バスの「ボンネットバス」を体験! レトロな走る産業遺産に乗って昭和ノスタルジーに浸る標高約540メートルの八幡平マウンテンホテルから、標高約900メートルの松川温泉まではその差約350メートル。20分ほどかけて登り、終点の「峡雲荘」に到着。バスを降りると強烈な硫黄臭が感じられ、写真撮影に熱中していたバスマニアの心は一気に温泉へと誘われます。今夜はここに宿泊。視界に広がっているのは、宿の建物すらすっぽり埋まってしまいそうな真っ白な世界です。「峡雲荘」に到着降り積もった雪に埋まってしまいそうな「峡雲荘」 看板には「みちのくの名湯」の文字帰っていくボンネットバスを見送りつつ、ちょっと外にいただけで雪だるまのようになった私が宿に入ると、「今日は大変な雪になりましたねぇ」とご主人が明るく出迎えてくれました。モダンな囲炉裏を配したロビー乳白色のにごり湯が冷えた体に染み渡る♪峡雲荘はもともと湯治客を多く迎えていた宿。現在は改装されて洋室もあるホテル調の建物になりましたが、館内には熊の毛皮や木のスキー板などが随所に飾られていて、山間の温泉宿らしい風情を残しています。なお「日本秘湯を守る会」に加盟しているのは、いい湯と田舎らしさが愉しめる宿の証。ワイルドな熊の毛皮「 日本秘湯を守る会」に加盟する宿 木のスキー板部屋に案内されてスタッフの方の説明を聞きます。宿の決まりごとや食事の時間を聞きつつも、障子窓を開けて見えた景色に心を奪われ、正直なところ上の空…。 306号室の室内障子窓を開くと圧巻の雪景色がそんな時、「当館の暖房は地熱発電を利用しておりまして……」という言葉に、”未読スルー”になりかけていた私の心がビビッと反応。この宿の暖房はすべて近接する松川地熱発電所からの電力を使っているとのこと。温度調節できないという不便さはありますが、自然エネルギーの暖かさはじんわりと優しく体に伝わってきます。宿名が書かれた浴衣もついでにいろいろ聞いてみたところ、温泉の硫黄成分がこれだけ充満していると、身の回りの物への影響も大きいのだとか。「テレビは1年くらいで壊れますし、外に置いてある私たちの車はみんな錆びてますよ」とスタッフの女性は笑って話します。それに対して「へぇ〜、大変ですねぇ」と相槌を打ちつつも、反面で心の中では「それだけ凄い硫黄泉ならさぞかし体に効くことだろう」と、さらに期待が高まってしまう罪な私…。落ち着きのある館内景色を見ながらゆったり読書できる場所も 岩手の方言集を見つけて、ふと足が止まる時計を見ると針は午後5時過ぎ。外は徐々に薄暗くなりつつ、夕食まではあと1時間少々。「お風呂にする? 先にご飯にする? それとも少し休む?」と脳内で自分会議をした結果、やっぱり「お風呂にします!」で満場一致。早速、浴衣に着替えてお風呂に向かいます。峡雲荘の温泉は単純硫黄泉。70度の源泉をかけ流す湯量を変えることで常に適温に調整している峡雲荘には男女1つずつの大浴場に加えて、北東北の伝統的な宿では一般的な混浴の露天風呂があります。もちろんどちらも正真正銘の源泉かけ流し!まずは内風呂からチェック。脱衣所から浴場の扉を開けると、もくもくと上がる湯気の先の湯船には乳白色の湯がたぷたぷと波打っています。湯船に浸かる前に、溢れ出す湯をすくって体を流します。体にまとわりつくような湯気の中に、青みがかった乳白色の湯がたゆたうこの白く濁った湯も、松川温泉が秘湯と呼ばれる所以のひとつ。源泉は無色透明ですが、湯の中の硫黄成分が空気に触れることにより、このようなにごり湯になるのだといいます。なお、にごり方はその時々によって変わるそうで、乳白色に見えたり、白が青みがかって見えたり、時にはエメラルドグリーンに見えることもあるのだとか。自然が生み出す感動を一言で表すとすれば、まさに「神秘」でしかありません。そして強烈な硫黄臭を放つ湯は、言うまでもなく体の隅々まで浸透してくる浸み具合。露天風呂にも行ってみました男女別の脱衣所が設けられた混浴到着した日はもう夕方だったので、露天風呂を訪れたのは翌日の早朝。雪で氷の板のように冷めたくなった地面に小さな悲鳴を上げつつ、滑らないよう忍び足で湯船に向かいました。混浴にドキドキしつつも早朝だからか私だけ。果たして嬉しいのか悲しいのか…。この日はあいにくの曇り空ですが天気が良ければ源太ヶ岳が見え、季節によっては高山植物や紅葉などで入浴者を楽しませてくれます。しかしながら雪降りしきる中での湯浴みは、雨の中で自分だけ傘をさしているような、マラソンの中を自分だけ自転車で走るような、つまりは極限状態の中で自分だけが守られているような優越感に浸れました。天然の大きな石を配した露天風呂。内風呂に比べて白に近くにごった湯田舎の滋味満載の夕食をお腹いっぱい堪能し、山の温泉の夜は更けていく…湯上がりの後は、もうひとつのお楽しみのグルメ♪夕食は部屋食で用意してくれます。地元で獲れる食材ばかりの夕食この日のメニューは、ホロホロ鶏の鍋、川魚の刺身、岩魚の塩焼きなど11品。特に刺身の中の「イトウ」は“幻の魚”とも言われる希少な食材です。 民芸調の籠に盛り付けられた、川魚の刺身(イトウ、イワナ、八幡平サーモン)、アミタケ、アシタバなど手前はゴマ豆腐、左上はホロホロ鶏の燻製と野菜の炊き合わせ、右上は豚肉の角煮岩魚の塩焼きホロホロ鶏の鍋決して派手さはないけれど、ひとつひとつがここでしか出合えないような価値を感じる手作りのものばかり。いろいろなものを程よい量ずつ食べられるバランスの良さにも満足です。▼朝食メニューはこちらきんぴらごぼう、温泉卵などが並ぶ朝食朝食には豆岩魚の開き干しも 食事を終えると、後はただただ夜が更けていくだけ。静寂に包まれた時間がゆったりと過ぎていく中、地熱のポカポカとした暖かさを感じながら眠りにつきました。八幡平でトレッキングを満喫! 松川温泉の周辺観光雪深い冬季はまったり温泉三昧が主な過ごし方となる松川温泉ですが、暖かい時季は周辺散策も楽しみのひとつ。見どころとなるのは4月下旬から11月中旬まで見学できる「松川地熱発電所」。事前に予約をしておけば、珍しい地熱発電の設備を見学することもできます。また、近隣の「松川渓谷」(「下倉スキー場口」バス停を下車)は森林と川のコントラストが美しく、秋は紅葉の名所として有名です。日本初の地熱発電所「松川地熱発電所」「松川渓谷」の紅葉 さらに4月下旬から10月下旬までは、日本百名山にも選ばれる八幡平の頂上まで行く「自然散策バス」が松川温泉にも停車。頂上から敷かれているトレッキングコースを歩いて、八幡沼周辺の湿地帯を散策してみるのもおすすめですよ。八幡平周辺を走る「自然散策バス」「八幡沼」の風景4月中旬から「雪の回廊」が見られる八幡平アスピーテライン山の絶景とにごり湯の感動に出合える松川温泉。次はぜひ、暖かい時季にトレッキングを兼ねて長期滞在してみたいと思います。松川温泉 峡雲荘岩手県八幡平市松尾寄木松川温泉 Google Map0195-78-2256 Webサイト 

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松川温泉 峡雲荘
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4.0

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岩手県八幡平市松尾寄木松川温泉
phone
0195782256
opening-hour
[日帰り入浴]8:30-19:00(最終…
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