愛媛
内子
UCHIKO
明治の町並みと文化遺産を守る、歴史情緒あふれる町
愛媛県南西部に位置する内子町(うちこちょう)は県内有数の観光地であり、ひと味変わった興味深いエリアだ。平成の大合併で内子、五十崎(いかざき)、小田の3つがあわさり誕生したのが現在の内子町で、町内の約8割が山林だ。平地は限られているが、米、柿、栗、椎茸などの栽培が盛んで、古くから小田川の水運を利用した物資の集散地として栄えてきた。江戸時代中頃に木蝋生産が始まり、幕末に伊予式箱晒し法を開発したことから、石けんや化粧品の原料となる白蝋生産が評判になり、日本有数の生産地となった。当時の面影を残す趣ある八日市護国地区の町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。五十崎地区は江戸時代から手漉き和紙の産地として知られており、こどもの日に小田川の河原で行われる伝統行事、いかざき大凧合戦も有名だ。小田地区は小田川の最上流にある山林豊かなエリアで、地域の南に広がる小田深山は観光拠点ともなっている。
エリアの見どころ
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八日市・護国の町並み
- 漆喰装飾が華やかな商家や町家が並ぶ、歴史情緒あふれる町並み
- かつて木蠟(もくろう)生産で栄えた往時の面影と、今もここに住む人々の暮らしが息づく「八日市・護国地区の町並み」。約600mの通りには、昔の建物を利用した資料館や手仕事職人の店など見どころも多く、町歩きにぴったりだ。
- スポットの詳細
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八日市・護国の町並み
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町家資料館
- 江戸時代の町家の暮らしを体感できる資料館
- 八日市・護国の町並み保存地区にある町家資料館は、内子町に現存する最古級の町家を利用した資料館である。1793年(寛政5)に建てられた町家は、現在までに何度か改修され、外観内部ともに手を加えられていたが、1987年(昭和62)に建築当時の姿に復元。現在は、江戸時代の町家の生活様式を学ぶ場として内子町が無料で公開している。厨子(つし)二階という低い2階の造りに、虫籠窓(むしこまど)と呼ばれる虫籠のような格子を付けた明かりとりの窓、蔀戸(しとみど)と呼ばれる摺り上げ式の板戸や大戸(おおど)を通りに向かって開け放すことができる設計など、江戸時代の町家の典型をよく知ることができる。1階は広い土間とオモテノマ、奥の間、納戸から構成され、土間には生活用具や農工具を展示。箱階段を上がって、2階を見学することもできる。内子の町並みを散策する際の休憩スポットとして立ち寄れば、当時の町家の雰囲気を肌で感じることができるだろう。
- スポットの詳細
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町家資料館
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本芳我家住宅・大村家住宅
- 江戸後期から明治期の面影を色濃く残す町家と豪商の屋敷
- 八日市・護国の町並みは、ひと昔前の地場産業の名残を感じられるスポットだ。そのなかでも目をひく並びの建物が、「本芳我家住宅」と「大村家住宅」だ。本芳我家住宅は、木蠟生産で財をなした豪商の屋敷で芳我家の本家である。本芳我家は、1840年(元文元)から木蠟生産を始めたとされ、明治期には「旭鶴」の商標で海外にも製品を輸出するほど隆盛を極めた。1889年(明治22)に建てられた建物には、漆喰を使った鏝絵(こてえ)、懸魚(げぎょ)、海鼠壁(なまこかべ)、弁柄の出格子(でごうし)など、随所に凝った意匠が見られる。主屋の南に立つ土蔵には、当時の商標「旭鶴」の鏝絵が今も輝く。大村家住宅は、1789-1801年(寛政年間)に建てられた民家で、町家資料館とともに内子の町並みのなかでも最古級の建物である。内子で木蠟生産が盛んになる以前の古い町家の形式で、江戸時代後期から明治期の町家の状況がわかる貴重な建物だ。江戸時代から商いを生業としていた家で、明治期には藍染めも行っていた。土間には当時の染物をした痕跡が残る。隣接する本芳我家住宅と大村家住宅の建物を見比べるのもおもしろいかもしれない(本芳我家住宅、大村家住宅ともに邸宅内は非公開)。
- スポットの詳細
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本芳我家住宅・大村家住宅
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大森和蠟燭屋
- 江戸時代から200年続く愛媛・内子にたったひとつ残る和蠟燭屋
- かつて木蠟生産で栄えた町、愛媛県内子町。八日市・護国地区には、木蠟で財をなした商家や古民家が今なお軒を連ねる。そんな伝統的な町並みを本町通りに向かって下る坂道の途中にあるのが、大森和蠟燭屋(おおもりわろうそくや)だ。木蠟作りが盛んだった江戸時代の創業。6代目と7代目の親子職人が昔ながらの製法で和蠟燭を作り続ける。暖簾をくぐれば、職人が土間から続く板間に腰掛け、黙々と作業する風景を見られる。和蠟燭作りは、原料にハゼの実を蒸したものを圧搾し絞った状態の生蠟(きろう)を使う。ミツロウやパラフィン蠟と比べ、融点の低さが特徴で、温度管理が肝になるという。40~45℃に溶かした蠟を素手ですくい上げ、灯芯にすりつけては乾かす「生掛け」を何度も繰り返し、50℃の蠟で「ツヤ出し」をし、「芯出し」「切りそろえ」をしたら完成だ。色も絵もつけず素材の質感を残した和蠟燭はまるで樹木のよう。上から見ると、蠟を丹念に重ねた跡が年輪のようにも見える。大きくてやさしい炎に、すすが少なく蠟が垂れないのが特徴。店頭には多彩なサイズの和蠟燭がそろう(1匁1本297円-)。内子のお土産を買いに、蠟の微妙な温度変化があやなす手仕事を見に、立ち寄ってみては。
- スポットの詳細
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大森和蠟燭屋
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道の駅 内子フレッシュパークからり
- 食べて買ってくつろいで、自然あふれる道の駅
- 内子町で欠かせない観光スポットのひとつといえば道の駅 内子フレッシュパークからり。内子町の中心地にあり気軽に立ち寄ることができる、豊かな自然とおいしいものがあふれた名所だ。
- スポットの詳細
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道の駅 内子フレッシュパークからり
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武工房
- 用の美をまとった竹ざる製品に出合える場所
- 内子の中心地、昔ながらの町並みが広がる八日市護国地区にある武工房。ここは京都で竹細工を学んだ武智さんと秋山さんが営むアトリエ兼ショップだ。店内にはあらゆる竹製品が並んでおり、小さな茶托や箸、平らなざる、深さのある米とぎざる、弁当箱のような蓋のある箱型まで、ひと口に竹製品といっても幅広い。価格もさまざまで指輪は1つ100円、平ざるは4500円から、オーダーメイドのハンドバッグは4-10万円程度だ。地元内子と高知県で採れる苦竹(にがたけ)や真竹(まだけ)がおもな材料で、職人自ら伐採を行うことも多いそう。収穫した竹はいくつもの工程を経て4か月ほどで加工できる状態に仕上がる。竹の皮をはいで幅をそろえ、面取りして、完成図を想像しながら一つひとつしっかりと狂いなく編み上げていく。そのすべてはもちろん手作業で、熟練の職人だからこそなせる技だ。通りに面している縁側から2人が竹を編む姿を見られるので、散策途中に足を止めて眺めていく人も少なくない。手作りならではの温かみが宿る内子限定の土産を探しに、ぜひ訪ねてみてほしい。
- スポットの詳細
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武工房
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下芳我邸
- 築140年の建物で地元の旬野菜と蕎麦を堪能
- 内子駅から歩いて約10分。内子観光のランチ処として立ち寄りたいのが、築140年の商家を改装した下芳我邸(しもはがてい)だ。明治の風情が残る建物は国の登録有形文化財に指定されており、黒く光る大黒柱や床材をはじめ、当時の趣を生かした造りとなっている。入り口をくぐると広い土間空間が広がり、小上がりの先には武の間、雅の間、和の間と、ゆったりとした座敷スペースが。座敷から眺められる中庭の景色が美しく、座椅子が用意されているのでリラックスして過ごせるのもうれしいポイントだ。ランチの定番人気メニューは「野遊び弁当」(1850円)。国産蕎麦に内子の朝採れ野菜を使った天ぷら、小鉢、季節のミニデザートも付いたボリュームたっぷりのセットだ。食事を堪能したあとは時間があれば2階のギャラリースペースものぞいてみよう。大洲和紙の製品や内子の縫製会社が手がける洋服、和小物など、地元産のプロダクトが多く並んでいる。案内スタッフからは建物についての説明を詳しく聞くこともできるので、食事+αの楽しみがきっと見つかるだろう。
- スポットの詳細
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下芳我邸
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うちこの和 手しごと職人の家
- 職人の意匠が光る日用品と手作り体験を楽しめる
- 木工、和紙、染物、切り絵……職人技の光る伝統工芸品がそろう、うちこの和 手しごと職人の家。日用品や雑貨の買い物から手仕事体験のワークショップ、着物のレンタルまで堪能できる、充実のスポットだ。
- スポットの詳細
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うちこの和 手しごと職人の家
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そば処 石畳むら
- のどかな山里でいただく野趣あふれる手打ち蕎麦
- 内子の中心街から北にそれ、細い山道をくねくねと進むこと約20分。のどかな風景が広がる山あいにあるのが、人口約300人の石畳(いしだたみ)地区だ。この地区内にある石畳むらは2007年(平成19)にオープンした小さなそば屋。開業以来ずっと打ちたて、湯がきたてのそばを提供している。そば生地は注文を受けてから作られることが多く、タイミングによっては職人がそばを打つ様子を見ることもできる。そば粉に少しずつ水を混ぜながら成形した生地をていねいにこね、1mmの薄さになるまで引き伸ばしたら、麺切り包丁で細く均一にカット。湯がいたあとすぐに冷水で締めることでより食感よく仕上げている。できたてのそばは香り高く、豊かな風味を感じられるのも特徴。ちなみにここで使われているそば粉の原材料のそばの実は、店のすぐ目の前の畑で採れたもの。そばと一緒に注文する人も多いかきあげや栗ジェラートまで、使っている材料はすべて石畳産だ。素材のよさが直に味わえるシンプルなそばは、わざわざ足を延ばしてでも食べに行きたい一品である。
- スポットの詳細
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そば処 石畳むら
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弓削神社
- 静寂な空気に心洗われる、神秘的なパワースポット
- 内子・五十崎ICを下りて車で30分ほど。山道をのぼった標高約300mにある内子町の石畳地区は、日本の原風景のような美しい景色に出合えるところだ。ここに1396年(応永3)に創建された弓削(ゆげ)神社は知る人ぞ知るパワースポットで、内子町の指定有形民俗文化財。五穀豊穣や家内安全、商売繁栄など、たくさんのご利益があるといわれている。社殿を囲む弓削池に屋根付きの太鼓橋の架かった景観がなんとも趣深く、よく晴れた日に訪れれば、池に橋が合わせ鏡のように映る姿も眺められる。少し高低差のあるアーチ状の橋を渡ったところに鳥居があり、その先が本殿だ。本殿に手をあわせてお参りしたら、すぐ裏にある山の斜面にも注目してほしい。神様が祀られているうしろにひっそりと立つ、巨大な御神木。約9-10mもある太い幹と力強い枝ぶりからは、長い間人々の営みを見守ってきた歴史の深さが感じられる。地元の人の間でも願いが成就することが多いとひそかに評判を呼んでいるそう。自然のパワーと神秘が潜んだここで過ごす時間は、心豊かで貴重なひとときとなるはずだ。
- スポットの詳細
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弓削神社
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旅のヒント
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その1
内子地区の内子座へはJR予讃線の内子駅下車徒歩約7分。八日市護国地区町並みにつながっている。内子全体を十分に楽しむなら、車で移動するのが効率がよい。
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その2
高速道路利用の場合、松山ICから約25分。松山自動車道の内子・五十崎ICを降りてすぐ。国道56号線利用の場合、松山から所要時間約60分で到着する。
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その3
JR内子駅に観光案内所「旅里庵」があり、情報収集に便利。「町並みガイド」「内子ねき歩きガイド」(有料)なども充実している。
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その4
ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎が生まれ育った大瀬地区が小田への道沿いにある。深い森に囲まれ、大江作品の舞台となった場所であり、大江文学の原点である。
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その5
時間があれば足を延ばして「小田深山渓谷」の美しい景色を堪能するのもいい。
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