徳島

祖谷・大歩危小歩危

IYA / OBOKE KOBOKE

険しくも美しいダイナミックな自然が魅力

西日本で2番目の高さを誇る剣山(つるぎさん)をはじめ、四国有数の険しい山々に囲まれた祖谷(いや)は「日本三大秘境」のひとつ。切り立った崖と幾重にも連なる谷が織りなす厳しい自然に足を踏み入れると「祖谷のかずら橋」や「奥祖谷二重かずら橋」などで語られる平家の落人(おちうど)の隠れ里があったという伝説にもうなずける。平家一族と祖谷へ入山した安徳天皇(あんとくてんのう)の御典医(ごてんい)、堀川内記(ほりかわだいき)の屋敷は、平家屋敷民俗資料館として見学が可能だ。大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)は「日本三大暴れ川」のひとつである吉野川がつくりだした約8kmにわたる渓谷である。厳密には大歩危峡と小歩危峡に分けられるが、付近一帯の総称として「大歩危小歩危」と呼ばれている。約2億年の年月をかけて生まれた自然の芸術は必見。上から眺めるだけではなく、ここでしか見ることのできない渓谷美を間近で堪能できる観光遊覧船もおすすめだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    祖谷渓
    「日本三大秘境」の名に納得。断崖絶壁が生んだ渓谷美
    吉野川水系の一級河川である祖谷川流域のうち、特に高低差の激しい祖谷地方の渓谷を「祖谷渓」と呼ぶ。V字型に深く切れ込んだ谷が続く絶景は、まさに秘境ともいうべき大自然の美しさに満ちており、多くの観光ポイントがある。
    白と緑のくっきりとしたコントラストが印象的な祖谷渓
  • spot 02
    祖谷のかずら橋
    スリル満点!秘境に架かる「祖谷のかずら橋」
    祖谷渓を訪れたなら、必ず足を運んでおきたい観光スポット、それが「祖谷のかずら橋」だ。約6tのシラクチカズラで編まれた昔ながらの吊り橋は、1955年(昭和30)に国の重要有形民俗文化財に指定されている。
    入り口近くにある祖谷渓大橋から眺めた「祖谷のかずら橋」
  • spot 03
    清流のそば処 祖谷美人
    絶景を見ながらいただく祖谷名物
    「祖谷のかずら橋」から車で約5分。祖谷渓を望む崖の上に建つ「清流のそば処 祖谷美人」は「渓谷の隠れ宿 祖谷美人」併設の食事処である。その味は前身のそば専門店から受け継いだ確かなものだ。製粉から製麺まで自家製にこだわり、この地域で古くから食べられていた太くて短い祖谷そばを食べやすい平麺にアップデート。人気メニューのひとつは、かけそばにアマゴ(アメゴ)の塩焼き、山菜の炊き合わせと小鉢が付く「あめご膳」だ。挽きたて、打ちたて、切りたて、茹でたてのそばは「祖谷のかずら橋」の近くにある「琵琶の滝」の湧水を使用。香り高く、甘みと粘りの生きた素朴な味わいが楽しめる。炭火で焼き上げた鮎やアマゴのほか、じゃがいもや岩豆腐、こんにゃくを串に刺して味噌を塗り、人形浄瑠璃の木偶(でこ)人形に見立てた郷土料理「でこまわし」なども提供。胃袋に余裕があれば、ぜひ注文してほしい。また、テラスからは祖谷渓の絶景も堪能できる。
    風情ある入り口には店名の書かれた提灯が下がっている
  • spot 04
    奥祖谷
    祖谷地方の最奥でひっそりと待つ絶景を探しに
    祖谷地方のなかでも特に剣山に近い東のエリアを「奥祖谷」と呼ぶ。「大歩危小歩危」や「祖谷渓」よりも、さらに険しい山道を走るため、それなりの準備と覚悟は必要だが、ここでしか見ることができない絶景と大きな感動が待っている。
    「奥祖谷」の名にふさわしく、幾重にも険しい山が連なる景色
  • spot 05
    奥祖谷二重かずら橋
    スリル満点! 秘境に架かる夫婦橋
    駐車場に車を停め、背の高い樹木に囲まれた階段を下っていくにしたがって、少しずつ川の流れる音が大きくなってくる。濃い緑に包まれた祖谷川(いやがわ)は、まさに深山幽谷と呼ぶにふさわしいたたずまい。そこに架かる奥祖谷二重かずら橋は、水面から約12mの「男橋(おばし)」と約4mの「女橋(めばし)」という夫婦橋だ。ワイヤーで補強が入っているとはいえ、昔ながらのシラクチカズラで編まれた吊り橋はスリル満点。床面も「さな木」と呼ばれる丸太や割木であり、すき間だらけの足元を気にしながら対岸へ渡る必要がある。一説には、志度合戦(しどかっせん)で敗れて奥祖谷へ逃れた平家の一族が、剣山の「平家の馬場」へ向かうために架けたとも。また「女橋」の横には、吊り下げられた屋形に乗り、引き綱を手繰り寄せて対岸へ向かう人力ロープウェイ「野猿(やえん)」がある(2021年9月現在故障につき休止中)。河原はキャンプ場になっており、アウトドア好きにも人気。秘境の雰囲気をたっぷり味わうことができる。
    「四国八十八景」「四国のみずべ八十八カ所」のひとつに選定
  • spot 06
    大歩危小歩危
    約2億年の年月をかけて生まれた大自然の芸術
    大歩危峡・小歩危峡という2つの渓谷の総称が「大歩危小歩危」だ。この総称で国の名勝と天然記念物に指定されており、ともに剣山国定公園の一部である。日本一の激流との呼び声も高く、ダイナミックな渓谷美が堪能できる。
    大きく蛇行する大歩危峡はカヌーやラフティングでも人気
  • spot 07
    大歩危峡観光遊覧船
    迫力ある大渓谷の美しさを船上から体感しよう
    「大歩危小歩危」を満喫するならば、おすすめは大歩危峡観光遊覧船だ。国道32号沿いにある「レストラン大歩危峡まんなか」から年中無休で運航しており、増水・強風・暴風雨などの理由で出航できないとき以外は、1名でも乗船希望者がいれば随時出発する。乗船券売り場から船着き場までは階段を下ること約5分。定員25名の観光遊覧船は屋根が付いており、直射日光や雨などを防いでくれる。大歩危峡遊覧コースは約4km、所要時間は往復で約30分。運航中は操船する船頭によるガイドもあり、大歩危峡の成り立ちや両岸に露出する含礫片岩(がんれきへんがん)の特徴もよく理解できるはずだ。何よりも船上から眺める景色がすばらしい。四季折々、それぞれに魅力的な光景を楽しめるはずだ。
    エンジンを搭載した観光遊覧船で吉野川の激流を行き来する
  • spot 08
    藍よしのがわトロッコ
    吉野川を吹き抜ける風を感じるトロッコ列車
    2020年(令和2)にJR四国の「おでかけ。四国家(しこくけ)」キャンペーンの第2弾として始まった徳島線トロッコ列車「藍よしのがわトロッコ」。土・日曜、祝日に、徳島駅から阿波池田駅までの区間を往復しており、親子連れを中心に人気を集めている。最大の特徴は珍しいトロッコ車両に乗車できること。ギリギリまで柱をなくしたオープンな設計のため、吉野川の恵みによって育まれた里山の景観や暮らしを、吹き抜ける風とともに体感できるだろう。また「藍よしのがわトロッコ」の運転に合わせて、販売を終了していた駅弁が復活。下りの「さとめぐみの風」では「阿波尾鶏(あわおどり)トロッコ駅弁」が、上りの「かちどきの風」では「あわ愛ぎゅうぎゅうローストビーフ弁当」を、それぞれ味わうことができる(要予約)。沿線の見どころを解説するガイドをはじめ、徳島県の特産品やオリジナルグッズなどの車内販売もあり、片道約2時間30分の列車旅は、あっという間に感じるはずだ。
    少しずつ濃くなるグラデーションで藍の美しさを表現
  • spot 09
    道の駅大歩危(妖怪屋敷と石の博物館)
    秘境ならではの個性的な道の駅でひと休み
    長距離ドライブ中の休憩場所というイメージが強い道の駅。しかし、大歩危峡に面した国道32号沿いにある道の駅大歩危(妖怪屋敷と石の博物館)は、全国的に見ても珍しい、大人から子どもまで楽しめるアミューズメント性の高い施設だ。もともとは1996年(平成8)にオープンした「ラピス大歩危」という観光物産館と「石の博物館」の複合施設だったが、2008年(平成20)に道の駅として登録。大歩危峡を望む展望台や無料の足湯コーナー(2021年10月現在コロナ禍につき休止中)なども観光客から人気を集めている。2010年(平成22)には1階に地元の妖怪伝説にちなんだ「妖怪屋敷」をグランドオープン。大歩危峡の礫質片岩(れきしつへんがん)や世界各地で集められた貴石や原石などを展示した2階の「石の博物館」とともに、一度は訪れてみたい個性的な道の駅だといえるだろう。
    大きく「妖怪屋敷」と書かれた看板と独特の形状をした建物が目印
  • spot 10
    落合集落
    失われた日本の原風景を感じさせる山岳集落
    急斜面に民家や畑が点在する全国有数の山岳集落として知られる「落合集落」。東祖谷にある観光スポットのなかでも、特に過酷なルートを走らなければならないが、展望所から眺める光景は絶句するほどすばらしい。
    落合集落内の高低差は最大で約390mに達するという
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旅のヒント

  1. その1

    祖谷・大歩危小歩危ともに、JR四国の土讃線を利用する場合、降車する駅は「大歩危駅」となる。本数は上りも下りも1時間に1本程度。

  2. その2

    大歩危駅からは四国交通の路線バス(祖谷線)が出ている。「大歩危峡」「祖谷のかずら橋」へ向かうことができるが、路線が逆方向になるため、一度に両方へ行くことはできない。

  3. その3

    京阪神からの高速バスは四国交通の大阪線を利用。JR四国・阿波池田駅近くの「阿波池田バスターミナル」で下車し、路線バス(祖谷線)で祖谷・大歩危方面へ。

  4. その4

    自家用車やレンタカーで訪れる場合、目的地によっては非常に細く曲がりくねった山道に入る必要がある。ところによっては携帯電話の電波も届かなくなるほか、天候も変わりやすいため、下準備は入念にしておきたい。また、冬季は避けたほうが良いだろう。

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