松江城周辺

AROUND MATSUE CASTLE

茶名人・不昧公ゆかりの城下町は、風雅な文化が残る水の都

江戸時代に城下町として栄えた松江。威風堂々とそびえ立つ国宝「松江城」を中心に、お堀と川が網の目のように張り巡らされた風情ある街だ。歴史ある建物や寺院などの見どころが豊富で、なかでも松江にお茶文化を広めた松江藩松平家7代藩主・不昧公(ふまいこう)こと松平治郷(はるさと)ゆかりの茶室や、茶道具が残る美術館にはぜひとも足を運んでみたい。また、小説家・随筆家で日本民俗学者であった小泉八雲(ラフガディオ・ハーン)の旧宅や記念館を訪ねれば、外国人の目に明治時代の日本がいかに魅力的に映ったかがわかる。郷土料理では、日本海と汽水湖である宍道湖から水揚げされた魚介が楽しみ。「日本三大そば」のひとつに数えられる「出雲そば」の店ほか、茶文化が根付く街らしく老舗の和菓子店も多くある。街のいたるところから眺められる宍道湖は、夕日の絶景スポット。温泉も豊富で、中心地に近い「松江しんじ湖温泉」や、美肌の湯として知られる「玉造温泉」で旅の疲れを癒やしたい。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    松江城
    宍道湖を一望できる国宝天守を擁する平山城
    国内に現存する12天守のひとつであり、さらに国宝に指定された5城のひとつ。松江藩主の居城として堀尾良晴によって築城された。松江市街地北部の小さな山の上にあり、天守の最上階からは市内と宍道湖を含む景色を360度見渡すことができるため、絶景スポットとしても人気がある。
    全国に現存する12天守のなかで平面規模では2番目、高さでは3番目を誇る
  • spot 02
    松江神社
    松江の発展に貢献した人々と徳川家康公を祀る
    松江城山二の丸に立つ洋館「興雲閣」の横にあり、松江藩松平家の初代・直政ほか、大名茶人として知られる不昧公(ふまいこう)こと7代藩主・治郷公(はるさと)、松江開府の祖・堀尾吉晴、さらに徳川家康を祀る。1897年(明治10)、西川津町に直政公を祀る「楽山神社」として創建され、のちの1899年(明治32)年に家康を祀る「松江東照宮」とともにこの場所に移された。このときより社名を「松江神社」に改めた。本殿、東照宮の特徴でもある権現造りの拝殿、手水舎など江戸時代のまま残る。特に1639年(寛永16)建造の手水舎は、歴史的にも貴重なものとなっている。松江城が国宝となる決め手となった、祈祷札が発見された場所でもある。境内には、開運、商売繁盛などのご利益があるとされる「福徳稲荷神社」も祀られている。
    江戸時代の貴重な建造物が残る境内
  • spot 03
    興雲閣
    淡いグリーンが美しい松江城内の洋館
    1903年(明治36)、松江市が工芸品陳列所として建築したもので、1969年(昭和40)に島根県有形文化財(建造物)に指定されている。淡い緑色と華麗な装飾が美しい建物は当初、明治天皇の行在所(あんざいしょ)として使われる予定だった。行幸は実現しなかったが1907年(明治40)、皇太子(のちの大正天皇)の山陰道行啓時の御旅籠としての役割を果たした。その後、1909年(明治40)に「興雲閣」へと名称が変わり、松江市の公的な歓迎所として、各種の展覧会や会合にも利用された。1973年(昭和48)からは、「松江郷土館」としても活用されたが、いったん閉館。歴史的な価値を生かした活用を目指し、2013年(平成25)-2015年(平成27)にかけて整備を行った。和の天守と擬洋風建築の対比も興味深く、松江城を訪れたらぜひ立ち寄りたいスポット。1階のカフェ「亀田山喫茶室」では、松江城山のある「亀田山」にちなんだコーヒーや自家製スイーツを味わえる。明治の貴重な建造物を活用した趣ある空間で、散策の合間のカフェタイムを過ごしてみてはどうだろう。
    明治時代に建てられた擬洋風建築
  • spot 04
    塩見縄手
    松江随一の城下町の面影が残る武家屋敷通り
    松江城の築城とともに造成された北側の堀に沿う500mほどの通り。小泉八雲旧居をはじめとした武家屋敷が残っており、松江で最も城下町らしさが漂っている場所。見どころが多く点在し、周辺に土産物店や甘味処などもあって、松江市内観光のハイライトのひとつ。
    松江城の北側、堀川沿いにある閑静なエリア
  • spot 05
    武家屋敷
    塩見縄手の名前の由来となる武士が暮らした屋敷
    江戸期の城下町・松江の面影を今に伝える屋敷。建物の前に広がる「塩見縄手」は、松江城を築城した堀尾吉晴が内堀とともに並行する道路と、侍屋敷を造成してできた通り。この武家屋敷に一時期暮らした塩見小兵衛(しおみこへえ)がのちに異例の栄進をしたことから、これを讃えて名づけられたものだ。屋敷は主屋(しゅおく)、長屋門、塀などからなり、小兵衛のほかにも500-1000石程度の武士が入れ替わり暮らしていたという。現在の武家屋敷は解体調査や資料によって復元されたもの。式台玄関(来客用玄関)がある表側と、裏側の私生活の部分では造りや材料が明確に区別され、公私を厳しく分けた武家の暮らしぶりがうかがえる。飾りを省いた素朴な造りの築山式の庭園からは、質実剛健の気風が見てとれる。式台玄関や座敷で迎えてくれる人形もリアルで、ドキッとするほどだ。
    当主が来客を迎える座敷は、格式を重んじた造り
  • spot 06
    小泉八雲旧居 (ヘルン旧居)
    小泉八雲が暮らした当時のたたずまいがそのまま残る家
    『耳なし芳一』や『雪女』などの『怪談』の作者として有名な小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンが松江滞在中の5か月間を過ごした家。八雲の居間、書斎、セツ夫人の部屋などと、これらを取り囲む庭が一般公開されている。
    小泉八雲と妻のセツが5か月間をここで暮らした
  • spot 07
    小泉八雲記念館
    小泉八雲の生涯と作品、思考までグラフィックと映像で知る
    小泉八雲の生涯と作品や事績、遺愛品などを紹介する資料館。『怪談』の著者であり、西洋人の視点から見た明治時代の日本を紀行や随筆で紹介する作家として知られているが、それだけにとどまらない多彩な面を知ることができる。1階は3つの展示室に分かれ、展示室1では八雲の生涯を紹介。展示室2では、事績や思考の特色を「再話」「ジャーナリズム」「いのち」「八雲から広がる世界」など、8つの切り口から描き出している。松江出身の俳優・佐野史郎氏の朗読と、ギタリスト・山本恭司氏による、山陰地方の5つの怪談はぜひ聴いてみたい。八雲に関するさまざまな企画展示を行うのが、展示室3。著書や関連書をそろえた2階ライブラリーでは、作品やゆかりの地を調べる検索システムを利用できる。グラフィックと映像を駆使した展示はわかりやすく、これまで知らなかった八雲の人柄や魅力も再発見できそうだ。
    直筆原稿や愛用品以外に家族写真の多いことから人柄がしのばれる
  • spot 08
    八雲庵
    独特の香りと食感が持ち味の「出雲そば」を堪能する
    「日本三大そば」のひとつに数えられる出雲そばの特徴は、見た目が黒っぽいこと。これは、穀の付いたそばの実をそのまま挽く「挽きぐるみ」という製粉方法で作られるため。香りと栄養価が高く、独特の風味と食感を味わえる。「小泉八雲旧居」の隣にあるこの店では、毎日店内で手打ちする本格出雲そばを提供。初めてなら、赤い器を重ねた「割子(わりご)そば」を食べてみたい。つゆを直接そばにかける独特な食べ方は、江戸時代にそばを重箱に入れ、弁当として携えたことが起源といわれる。名物の「鴨なんばん」のほか、食後には出雲が発祥とされる「ぜんざい」や、季節の和菓子も楽しみだ。武家屋敷を改装した座敷と庭は風情たっぷり。池に泳ぐ錦鯉は、金色の鯉が縁起がいいと評判になっている。
    定番の「三段割子」(840円)。好みの薬味を載せ、上からつゆをかける
  • spot 09
    ぐるっと松江堀川めぐり
    屋根付きの小船で水の都・松江をのんびり巡る
    国宝・松江城を囲む約3.7kmのお堀を巡る遊覧船。松江城の天守閣をはじめ、武家屋敷の黒塀が並ぶ塩見縄手、現在の官庁街、水鳥が戯れる自然いっぱいのエリアを巡る約50分は癒やしのひととき。ユーモアたっぷりの船頭さんのガイドに耳を傾けながら楽しみたい。
    歴史、市街地、自然、3つの松江の景色を楽しめる
  • spot 10
    田部美術館
    不昧公(ふまいこう)ゆかりの茶道具や、出雲地方の美術工芸品を紹介
    松江県知事や衆議院議員も務めた田部長衛右門朋之が、田部家伝来の美術品を公開する美術館として創設。不昧公ゆかりの品々や、楽山焼、布志名(ふじな)焼をはじめとした出雲地方の美術工芸品を展示し、季節に合わせた茶道具も紹介する。
    松の板の傾斜天井が開放感を感じさせるエントランスロビー
  • spot 11
    月照寺
    四季折々の花も楽しみな松江藩主・松平家の菩提寺
    徳川家康の孫にあたる初代・直政から9代・斉斎(なりよし)までの墓がある、松平家の菩提寺。花の寺としても知られ、冬はサザンカとツバキ、春の桜のほか、初夏のアジサイ、晩秋の紅葉も美しい。
    境内で最も大きな霊廟は、初代藩主・直政のもの
  • spot 12
    明々庵
    松江城を望む静寂の地に立つ不昧公(ふまいこう)ゆかりの茶室
    不昧公の号で知られる松江藩第7代藩主・松平治郷(はるさと)は、江戸時代を代表する大名茶人。1779年(安永8)、その不昧公の指示によって藩家老の屋敷内に建てられた茶室。没後150年の記念事業により1996年(昭和41)、現在の場所に移築された。
    茅葺き、入母屋(いりもや)造りの茶室
  • spot 13
    普門院 (観月庵)
    不昧公(ふまいこう)が月を愛でたと伝わる茶室が残る寺院
    松江城を築城し、城下町を築いた堀尾吉晴が創建した寺院。境内にある茶室「観月庵」は、寺がこの地に移されてから1801年(享和元)に建てられたもの。東の空から昇る月を愛でるための「観月窓」があり、大名茶人の不昧公(ふまいこう)も好んだと伝わる。
    「観月窓」からは池に映る月も眺められる
  • spot 14
    宍道湖
    美しい夕暮れの風景で知られる松江の町の繁栄を支えた湖
    日本で7番目に大きい湖で、淡水と海水が混ざる汽水湖のため魚介類が豊富。東西に長い楕円形で、西は出雲平野に面し、東端に松江市街地が位置する。松江城も宍道湖の水を活かして造られ、「水の都」と呼ばれる趣の源となっている。日本有数の夕日の名所でもある。
    湖に浮かぶ嫁ケ島は松江を象徴する風景のひとつ
  • spot 15
    宍道湖観光遊覧船
    早朝とサンセット、どちらも楽しみな1時間の宍道湖クルーズ
    遊覧船「はくちょう」に乗り、約1時間かけて宍道湖を巡るクルーズ。大橋川の第1乗船場を出発したあと第2乗船場を経由し、くにびき大橋、宍道湖大橋をくぐり宍道湖へ。城下町松江の風情ある町並みや、島根県立美術館を眺めながら、湖に浮かぶ嫁ケ島近くで折り返す。宍道湖の風物詩でもある早朝の「しじみ採り」を間近で見ることができるのが、「爽朝クルージング」。朝もやのなかの神秘的な風景と、朝の爽やかな空気も楽しめる。周囲を真っ赤に染めるサンセットを見るなら、最終便の「サンセットクルージング」がおすすめ。日没時刻に合わせ、季節により出航時間が変わるので事前に確認を。船内で地元の老舗料理店の食事を味わうこともできる(前日までに要予約)。車の場合は第1乗船場が、JR松江駅からは第2乗船場の利用が便利だ。
    湖まで出たら、ルーフデッキに出て景色を楽しみたい
  • spot 16
    ふじな亭
    文人たちが愛した名物料理をリーズナブルに味わえる店
    店内から宍道湖を一望できる和食処は、明治より続く老舗料理旅館「皆美館(みなみかん)」の直営店。伝統の味を本家よりお手頃な価格で味わえるのが魅力だ。ぜひとも食べてみたいのが、大名茶人として知られる不昧公(ふまいこう)こと、松平治郷(はるさと)が好んだ汁かけ飯がルーツといわれる、「鯛めし」。1888年(明治21)の創業時から伝わる料理は、鯛のそぼろと細かく刻んだゆで卵、おろし大根、ワサビなどを載せた彩り豊かなご飯に、出汁をたっぷりかけて食べるもの。初代料理長が考案し、松江に滞在した明治の文豪たちも愛した味だ。「鰻まぶし」や季節の創作料理も楽しみ。弁当のテイクアウトができるほか、売店では「鯛めしセット」をはじめとした、お土産にぴったりのオリジナル商品を販売している。
    明治時代の創業より、代々受け継がれてきた「鯛めし」
  • spot 17
    季節の風 藏
    宍道湖の恵みをたっぷり載せた丼メニューが人気
    宍道湖は海水と淡水が混ざり合う汽水湖。ここで獲れる多彩な魚介からスズキ、しじみ、うなぎ、シラウオなどが、「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」に数えられる。なかでもしじみは漁獲高全国第1位を誇り、松江の代表的な味覚。そのしじみをふんだんに使った料理を味わえるのがこの店だ。大粒のヤマトシジミは、地元漁師から直接仕入れるもの。その出汁で炊いたご飯に、ご飯が隠れるほどむき身を載せた「しじみ丼」が人気だ。米は奥出雲産のコシヒカリ。米屋を営むご主人が、「もっとおいしいご飯を食べてもらいたい」と始めた店なので、ご飯そのもののおいしさも折り紙付き。白菜漬け、しじみの佃煮などの小鉢もすべて自家製だ。ほかにも、最上級の釜揚げちりめんをトッピングした「さざなみ丼」、自家製のスパイシーなタレをからめて焼いた島根和牛カルビを載せた「カルビ丼」など、地元食材を使ったメニューが豊富だ。
    1つの丼に100個以上のシジミのむき身を載せた「しじみ丼」(1540円)
  • spot 18
    松江フォーゲルパーク
    色とりどりの花と鳥たちに癒やされるテーマパーク
    国内最大級の広さを誇る温室ガーデン内には、一年中ベゴニアを中心とした花が咲く。3か所の鳥温室で世界中の鳥たちと触れ合えるほか、フクロウやタカ、ハヤブサの飛行ショー、ペンギンのかわいらしい散歩風景もぜひ見てみたい。
    ベゴニアだけでも約1000品種。花の苗も販売している
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旅のヒント

  1. その1

    ほとんどの見どころは徒歩で歩いて回れる範囲に点在する。しかし、城下町を囲む堀川を巡る乗り降り自由の遊覧船や、観光スポットを結んで走り1日乗車券、共通2日乗車券もあるレトロな車体のバス「ぐるっと松江レイクライン」などを利用すれば、より効率的で、さまざまな視点から景色を楽しむことができる。

  2. その2

    JR松江駅は城下町の南側、宍道湖と中海を繋ぐ大橋川の橋を渡ったところにあり、周囲には主だった見どころはない。松江市内と出雲大社や出雲市駅を結ぶ私鉄、一畑電鉄(通称ばたでん)の松江しんじ湖温泉駅のほうが松江城に近いので、出雲方面から松江に入るときにはこちらを利用したほうが便利。

  3. その3

    松江城を囲むお堀を約50分かけて一周する遊覧船は、乗車場が3か所あり1日乗り放題。江戸時代にタイムスリップした気分を楽しめる。

  4. その4

    とりわけ宍道湖の夕日が美しいとされるのは、城下地区から宍道湖大橋を渡った先、島根県立博物館や白潟公園がある湖畔。

  5. その5

    「玉造温泉」までは松江から車で約15分、路線バスで約30分。日帰り温泉施設や無料で利用できる足湯があり、松江の中心部を拠点とした日帰りでも楽しめる。

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