和歌山

高野山・龍神温泉・九度山

MT. KOYA / RYUJIN ONSEN / KUDOYAMA

1200年超の歴史を有する天空の宗教都市・高野山を中心に、神秘と自然のパワーに触れる

弘法大師(空海)が真言密教の根本道場を開いて以来1200年以上の歴史を有する高野山は、日本仏教の一大聖地として、開創から現代まで祈りの息づく地。標高約800mの山上に広がる寺院群、静かな街並みは、歩いているだけで心身のリフレッシュになりそう。また古くから参拝客を受け入れてきた宿坊も多くあり、伝統的な精進料理、写経や坐禅などの体験もできる。高野山は長く女人禁制だったが、その時代に弘法大師へ祈りを捧げたい女性たちが向かったのは、高野山のふもと。弘法大師の母が暮らした慈尊院が今も残るほか、関ヶ原の戦いに敗れた真田父子が蟄居した善名称院もあり、高野山と合わせて歴史旅にどっぷり浸れる。高野山に参詣したら、ひと足延ばして、日本三大美人の湯で知られる龍神温泉へ。祈りと神秘、そして自然のパワーに満ちたエリアで、エネルギーをチャージしよう。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    高野山真言宗 総本山金剛峯寺
    全国からあつい信仰を集める高野山の総本山
    真言密教の根本道場として、弘法大師によって開かれた日本仏教の聖地・高野山。高野山は全体をひとつの寺院として見立てていた「一山境内地」とされ、その総本山である金剛峯寺には、大主殿(だいしゅでん)や石庭、障壁画など多くの見どころが存在する。
    石畳の階段の先にある山門から金剛峯寺へ
  • spot 02
    奥之院
    弘法大師が入定した神聖な霊域
    高野山信仰の中心地であり、今も弘法大師が入定している聖地。入り口である「一の橋」から、樹齢200年以上の県の天然記念物・大杉が約1300本もそびえ立つなかを、弘法大師御廟へと向かう「御廟橋(ごびょうばし)」まで約1.6kmもの参道が続く。道中には、大師のそばで供養されたいと願った、織田信長や豊臣秀吉、戦国武将や諸大名の供養塔などが20万基以上も立ち並ぶ。大杉と墓石に囲まれた参道は、神聖な雰囲気が漂い、歩くだけで身も心も洗われるようだ。参道の中間地点にあたる「中の橋」には、人々の苦しみを身代わりに受けてくれる「汗かき地蔵」が安置される。「御廟橋」に着いたら、右側にある、水をかけて先祖の冥福を祈る「水向け地蔵」にも手を合わせ、清らかな気持ちで弘法大師御廟へ向かおう。御廟での願いには必ず応えてくれるという弘法大師へ参拝するため、御廟橋前では服装を正し、礼拝をしてから足を踏み入れるのを忘れずに。
    御廟橋を渡り弘法大師のいる聖域へ
  • spot 03
    大門
    高野山への入り口とされる重層の大楼門
    高野山の玄関口とされる総門。五間三戸(ごけんさんこ)として、柱によって5つに仕切られた造りで、高さは約25mにも及ぶ。入母屋造り銅瓦葺きの屋根は風格が漂い、1965年(昭和40)には重要文化財に指定された。高野山開創時は現在より少し下にある九折谷(つづらおり)谷に鳥居を立て、そこを総門と称していたが、1688年(元禄元)に炎上し、1705年(宝永2)、現在の場所に再建された。両脇の金剛力士像は江戸時代の仏師・康意(こうい)と運長による作品で、国内有数の大きさでかなりの見ごたえ。いざ門をくぐると「日々の影向を闕(か)かさず」「処々の遺跡を検知せん」と書かれた2枚の柱聯(ちゅうれん)が目に入る。これは「お大師さんは、毎日奥之院御廟から姿を現され、さまざまなところを巡っては、私たちをお救いくださっている」という意味で、弘法大師入定信仰の精神を伝える言葉だ。また、周辺は標高900mからの景観が楽しめ「和歌山県朝日夕陽百選」にも選定されている。
    間近で見ると迫力ある「大門」
  • spot 04
    壇上伽藍
    高野山の中心、密教思想の聖地へ
    「伽藍」とは、僧侶が修行する神聖な寺院空間の総称で、「壇上伽藍」は、弘法大師が高野山開山時に真っ先に造営したとされる、高野山の中心地。お堂や寺院など、20の仏教建造物を紹介する。
    空の青に映える根本大塔
  • spot 05
    女人高野
    日本遺産に認定された、女性の願いを集める聖地
    開創当時から女人禁制であり、女性の立ち入りが厳しく制限されていた高野山。唯一女性たちが自由に参拝できた寺院を「女人高野」と称し、高野山へ行けない女性たちの信仰を多く集めていた。
    女人堂のなかで唯一現存する「不動坂口女人堂」
  • spot 06
    慈尊院
    弘法大師の母が暮らし、女性の信仰を集めた寺
    816年(弘仁7)に高野山の表玄関として創建され、弘法大師の母公・玉依御前(たまよりごぜん)が晩年を過ごした寺。女性の参拝が自由な「女人高野」として、安産、子授け、授乳、育児、乳がん平癒などのご利益があるとされ、全国の女性からあつい信仰を集めている。全国的にも珍しい乳房型絵馬を奉納し、母公の化身とされる本尊・弥勒菩薩に祈願しよう。ほかにも境内には、昭和60年代に寺に住み着き、高野山参拝者を道案内していた案内犬ゴンの石像が建てられている。かつて弘法大師の時代にも高野山の案内犬がいたという説が残っていて、ゴンはその生まれ変わりとして伝説的な存在になり、ゴンの死後も多くの参拝者が訪れている。また、大日如来を祀る「多宝塔」や「百体の地蔵像」など見どころが多数。「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に認定された寺で手を合わせてから、清らかな気持ちで高野山へと入ろう。
    九度山にある「慈尊院」。正門から多宝塔が見える
  • spot 07
    女人道
    女性信仰者が歩んだ高野山の峰々をたどる巡礼路
    明治時代後期まで、女性の入山を禁じていた高野山。かつて女性巡礼者は、奥之院を中心に周囲の山々をハスの花びらに例えた「八葉蓮華」の厳しい峰々をたどって信仰を深めたという。その八葉蓮華の道のりが「女人道」として今も残り、現在はハイキングコースとして親しまれている。「高野七口」と呼ばれる7つの高野山の入り口をたどる女人道は、約17kmに及ぶ。片道20-30分で女人道の一部分を歩くこともできるため、「女人堂」跡を目印に訪れよう。大門から弁天岳へ向かう道ぞいの「大門口女人堂跡」を経て弁天岳山頂の「嶽弁才天社」を目指すルートには、多くの鳥居が立ち並ぶので、風情ある景色を楽しみながら歩こう。大門より100mの標高差がある弁天岳では、木々の間から見える開放的な景色が美しい。不動坂口女人堂を目指すルートにもつながっていて、比較的険しい道のりとなるため、歩きやすい靴と服装で向かおう。
    大門の南にある「お助け地蔵」からの女人道のコース
  • spot 08
    精進料理・宿坊
    手の込んだ精進料理とさまざまな修行体験が魅力
    寺院内で宿泊できる「宿坊」。寺に泊まると聞くと、厳しい修行をするような空間を想像するかもしれないが、今や宿坊は気軽に泊まれる宿泊施設だ。精進料理や修行体験など、宿坊ならではの体験で心静かな時間を。
    「福智院」の精進料理
  • spot 09
    福智院
    高野山内唯一の天然温泉を満喫できる宿坊
    800年に及ぶ歴史ある高野山真言宗の別格本山の寺院で、山内で唯一、天然温泉が湧出する宿坊。客室数約60室、収容人数約250名と、山内の宿坊のなかでも最大級の規模を誇る。昭和の名作庭家・重森三玲(しげもりみれい)氏が晩年に手がけた枯山水庭園「愛染庭」をはじめ、中国の伝説の理想郷・蓬莱島を15個の石組で表現した「遊仙庭」、黄河の伝説の龍門の滝を現した「登仙庭」に囲まれ、美しい庭園を眺めながら過ごせるのも魅力。和歌山産のきぬひかりなど、できるだけ地場産の食材にこだわった精進料理を堪能したら、美肌効果の高い高野山温泉の露天風呂で1日の疲れを癒やそう。翌朝は6時から勤行へ。ふだんは入れない、御本尊・愛染明王が祀られる本堂へお参りすることができる。そのほか、写経教室や念珠作りなど、宿坊ならではの体験をして心静かな時間を過ごそう。
    金剛峯寺より徒歩約5分の「福智院」
  • spot 10
    高野山霊宝館
    高野山にまつわる約10万点の文化遺産を公開
    高野山にまつわる仏像などを収蔵する「高野山霊宝館」。弘法大師直筆の書跡など、ここでしか見られない貴重な展示品は一見の価値がある。建物自体も歴史的価値があるので庭園を散策しながら建造物にも触れてみよう。
    国宝などが多数収蔵される「高野山霊宝館」
  • spot 11
    龍神温泉 元湯
    1300年の歴史を誇る「美人の湯」を源泉かけ流しで
    地元の人にも長く愛され続けている、歴史深い龍神村の温泉地。車でないと行きにくく、気軽に訪れられる場所ではないかもしれないが、日本三美人の湯としても有名な龍神温泉は、わざわざ訪れる価値がある。
    秘湯の雰囲気あふれる温泉地「龍神温泉」
  • spot 12
    善名称院 (真田庵)
    真田父子が大坂城入城までを過ごした庵跡
    県の北東部に位置する、九度山町(くどやまちょう)。「日本一の兵」と呼ばれた真田幸村が大坂城へ入城するまでの14年間、人生で最も長い歳月を過ごした地である。歴史に思いを馳せながら、幸村たちが過ごした場所を歩いてみよう。
    玄関口には絵馬などが所狭しと並ぶ
  • spot 13
    九度山・真田ミュージアム
    戦国武将・真田三代の軌跡を体感できる歴史ミュージアム
    関ヶ原の敗戦後、真田父子が蟄居(ちっきょ)を命じられた九度山。ここを訪れたなら、彼らの生涯に触れられるミュージアムへと足を延ばそう。野心をもち続け九度山の日々を過ごした、幸村らの思いを想像しながら館内を巡ろう。
    真田三代の人形がゲストをお出迎え
  • spot 14
    阿字観
    自分を見つける、小さな旅
    高野山真言宗の総本山金剛峯寺(こんごうぶじ)。歴史や文化、自然、そして信仰などさまざまなものを求めて訪れる参拝客に向けて、写経など体験講座を各種設けている。金剛峯寺には日本最大級の石庭「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」があり、そのなかに立つ道場で受けることのできるのが「阿字観(あじかん)」だ。「阿字観」とは、大宇宙である大日如来(だいにちにょらい)を古代インド語で表した「ア」の字を前に行う、真言宗の呼吸法・瞑想法。日常を離れた静寂のなか、僧侶から指導を受けながら宇宙を思い、万物の始まりから自分へと脈々とつながってきた命を思う。遠くに聞こえる拝観客のざわめきも心地よく感じてきた頃、鐘の音を合図に瞑想終了。阿字観は蟠龍庭を通り過ぎてすぐの売店で、定員10名の先着順で体験申し込みができる。予約不可。参加は小学生以上で、1回1000円。金・土・日・月曜の1日4回、所要時間は約1時間。金剛峯寺の拝観窓口で、別途内拝料が必要。
    万物の始まりを思い、心を研ぎ澄ませるひととき
  • spot 15
    奥之院ナイトツアー
    幽玄の世界を感じる夜の参道
    高野山に来たほとんどの人が訪れる、奥之院の参道。弘法大師空海が入定(にゅうじょう)し、今もなお息づくとされる高野山信仰の聖地・奥之院へと続く約2kmの道のりで、諸大名の墓石や慰霊塔、供養塔など20万基超の石塔が樹齢数百年の杉木立に守られて立ち並ぶ。高野山奥之院ナイトツアーは、昼間とはまた違った幻想的な夜の参道を満喫できる人気の体験。高野山在住のベテランガイドが、墓碑の説明や道中の名所の案内、高野山の歴史や僧侶の生活の紹介などバラエティに富んだ案内を行う。幽玄な雰囲気に少し緊張感を覚えるかもしれないが、随所でのガイドの解説が安心感を与えてくれる。19時に恵光院(えこういん)境内に集合し、一の橋から中の橋を通って空海が待つ御廟へ。お参り後、御供所(ごくしょ)へと道を戻り、20時30分頃解散となる。ツアー中、運がよければフクロウやムササビなどに会えることもあるという。参加は当日3500円、事前オンライン決済で3150円。料金は2023年(令和5)11月現在のもので、変更の可能性あり。復路はバスで送迎も可能、早い門限の宿泊先へも安心して帰ることができる。
    夜の奥之院参道の各名所をガイドが案内してくれる
  • spot 16
    角濱ごまとうふ総本舗
    素材の味が生きた昔ながらの健康食
    高野山で人気のお土産が「ごま豆腐」。真言宗総本山の修行の場として長い歴史を有する高野山で、一般の人が訪れることができるようになった明治期以降、特産品として愛され続けている。植物性タンパク質に富み、ベジタリアンやヴィーガンからも近年求められることが多いそう。「角濱(かどはま)ごまとうふ総本舗」では金剛峯寺(こんごうぶじ)をはじめ山内多くの寺院にごま豆腐を納めており、奥之院で今なお禅定(ぜんじょう)しているとされる弘法大師空海に供える料理としても使用されている。厳選された無農薬栽培の白ごまと吉野葛(くず)を使用したこちらのごま豆腐は、癖がなくまろやかな味わいと風味が魅力。土産用のほか、カフェレストランのスペースでは単品や天ぷら、スイーツなどさまざまな料理として楽しむことができる。標高が高く、気温が低い日の多い高野山では、抹茶入りごま豆腐のぜんざいがおすすめ。体のなかからじんわりと温めてくれる。暖かい日は爽やかな風を感じられるテラス席も好評。
    ちょっとしたお土産に人気の「ごまとうふ」5個入り1300円
  • spot 17
    粉河寺
    秘仏が見守る美しい庭園
    近畿2府4県と岐阜県、約1000kmに及ぶ観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)を巡礼する旅として知られる「西国三十三所」。およそ1300年前に起源をもつ日本最古の観音巡礼は、今もなお多くの人の心をひきつけてやまない。一番から順に巡って和歌山県内最後となるのが、第三番札所・粉河寺だ。
    ダイナミックな石組みの庭園は国指定の名勝
  • spot 18
    根來寺
    中世の日本へタイムスリップしたみたいな歴史空間
    高野山に学び、弘法大師空海以来の才と称賛された平安後期の高僧・覚鑁上人(かくばんしょうにん)。わずか49歳で入滅するまで波乱万丈の人生の末に新義真言宗の礎を築き、没後に興教大師(こうぎょうだいし)の諡号(しごう)を授けられた真言宗中興の祖である覚鑁上人が、根來寺の開祖だ。
    シンボルの根本大塔は1547年(天文16)に建立された国宝
  • spot 19
    丹生都比売神社
    高野山参拝前のお参りはここ
    平安の昔、高野山に霊場を開いて今なお崇敬を集める弘法大師空海。空海を高野山へと導き土地を抜けたのが、和歌山県伊都郡(いとぐん)かつらぎ町に鎮座する丹生都比売神社の神とされている。明治期の神仏分離までは、神道と仏教が習合し共存する地として神職と僧侶がともにこの場を守ってきたという。現在は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産としても崇敬を集めている。
    朱色が緑に映える入母屋(いりもや)造りの楼門
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旅のヒント

  1. その1

    高野山へ電車で向かう場合は、難波から南海電鉄高野線の特急で極楽橋駅へ向かい、高野山ケーブルで。高野山駅からは南海りんかんバスで山内へ入る。南海電鉄の主要駅から高野山ケーブル高野山駅までの往復割引乗車券と南海りんかんバス高野山内2日フリー乗車券、拝観施設割引サービス券、お土産1割引サービス券がセットになった「高野山・世界遺産きっぷ」がお得。

  2. その2

    関西国際空港からリムジンバス、JR京都駅から高速バスがそれぞれ高野山まで運行されている。

  3. その3

    高野山方面へ車で向かう場合は、阪和自動者道岸和田和泉ICより府道230号、国道170号、県道125号を経由し、国道480号へ。大阪市内より約120分。九度山町へは国道480号で紀の川を越えて、県道13号を左折。高野山から龍神温泉へは、国道480号、371号で約80分。

  4. その4

    龍神温泉へ電車・バスで向かう場合は、JR紀伊田辺駅から龍神バスで約80分、高野山から南海林間バスで護摩壇山へ向かい、龍神バスに乗り換え。高野山内から約100分。

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