奈良
橿原
KASHIHARA
神話や和歌に登場する山々に囲まれた、豊かな歴史の息づく町
奈良盆地の南の端に位置する橿原(かしはら)。香具山(かぐやま)、畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)からなる大和三山に囲まれた、田園風景が広がるのどかなエリアだ。近鉄大和八木駅と近鉄橿原神宮前駅を拠点に、大阪や京都、東海地方からのアクセスが良く、多方面から観光に訪れる人気の観光地でもある。さまざまな時代の歴史が息づくこのエリアは見どころ満載。第一代天皇と伝えられている神武天皇を祀る橿原神宮や、日本初の都として国の基盤をつくった藤原宮跡など、歴史好きにはたまらないスポットがいたるところにある。史跡のほかに江戸時代の建物が多く残る今井町もはずせない。趣のあるノスタルジックな風景を楽しみながらのカフェ巡りが、若い女性を中心に注目を集めている。橿原は文化や歴史を体感できる観光スポットが点在するので、レンタサイクルで巡るのもおすすめだ。
エリアの見どころ
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河合家住宅
- 豪商の片鱗がうかがえる立派な建物
- 中尊坊通りにある河合家住宅は、18世紀中期の建物とみられる大型町家。2階に丸窓を開けるなど優れた意匠が凝らされている。江戸時代に「上品寺屋(じょうぼんじや)」という屋号で創業した、老舗の造り酒屋だ。かつて、今井町では酒造業が盛んだったが、残っているのはここ河合酒造だけとなった。16代目当主は女性杜氏として、現在も伝統の味を守り続けている。代表銘柄の「出世男」は縁起の良い名前からお土産にも喜ばれる人気商品。貴重な建物は見学ができ、酒蔵の一角に設けられた展示室では、昔使っていた酒造道具を見ることができる。展示室では日本酒の原料となる米を蒸す道具や、大きな杉樽などが酒造りの流れを学べるように展示されている。造り手の歴史を知ることで、日本酒の味わいも深まりそうだ。展示室は酒造期(10~3月頃まで)以外、見学が可能だ。
- スポットの詳細
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河合家住宅
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今西家住宅
- 城郭を思わせる見事な八棟造り
- 今井町の西口にある今西家住宅。戦国時代には一向宗と敵対する織田勢と、大坂夏の陣では豊臣勢から今井町を守った、町の歴史に欠かせない存在だ。1650年(慶安3)に再建された建物で、独特の屋根の造りは「八棟造り」といわれ西側から見るとまるで城のよう。一方、本町筋に面する北側は町家風で、西と北でまったく違う表情を見せるのがおもしろい。主屋に入ると3階建て相当の天井の高さと、一般的な町家では見られない広い土間、格式高い座敷の空間に圧倒される。今井町の行政を取り仕切っていた今西家は、今でいう裁判所の役割を担っていた。広い土間は「お白洲(しらす)」と呼ばれるお裁きの場で、2階部分にはお仕置きをする燻し牢がある。さらに注目したいのが、土間から4段も高い位置にある「なんど」だ。「なんど」とは当主の部屋で、妻でさえ勝手に入ることが許されなかったとか。見学は完全予約制。
- スポットの詳細
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今西家住宅
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旧米谷家住宅
- ロケ地としても有名な風情ある農家風の町家
- 「米忠」という屋号で、代々金物商や肥料商を行っていた米谷家の建物。重要文化財に指定されていて、自由に見学できる。気軽に当時の暮らしを体感することのできる人気のスポットだ。入って左側にあるこぢんまりとしたスペースは「しもみせ(みせのま)」といい、商いが行われていたスペース。建物の中に入ると、土間が広く天井に煙返しがある農家風の風情が漂う。左手には居住空間が広がり、座敷に上がって町家の雰囲気を味わうこともできる。主屋の奥には裏庭があり、内蔵と数寄屋風の蔵前座敷がある。ご隠居が蔵の番を兼ねて暮らしていた部屋で、大事な商談もここで行われたとか。縁側に腰をかけてひと息つけば、目の前に江戸時代の人々の暮らしが見えてくるようだ。
- スポットの詳細
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旧米谷家住宅
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総本家さなぶりや
- 大和名物・おふさ観音門前の懐かしい味
- さなぶり餅は、全粒小麦を使用したきな粉餅で、つぶし小麦のぷつぷつとした舌触りが特徴の和菓子。米屋の3代目店主・杉本健さんが、「大和の名物に」という想いで商品化し、さなぶり餅と命名。1984年(昭和59)から販売を開始、現在にいたっている。大和盆地は雨が少なく、ため池が多い地域。米が育ちにくいため、畑で小麦を育てていたという歴史がある。その昔、半夏生(はんげしょう)の日までに田植えを終えた大和の農家では、小麦餅をついて食べる習慣があった。「いい小麦は売れて、手元には売れなかった小麦が残る。それをなんとかしておいしく食べようと作るようになったのが、始まりです」。奈良産小麦「きぬいろは」の皮を七分程度むいて、ローラーでつぶし、餅米と一緒に蒸してから、少し長めの時間をかけてつく。固くならないように、表面に寒天液をまとわせたら完成だ。どこか懐かしい味わいのさなぶり餅は、餅米だけで作ったものと違い、小麦の皮の部分が入っているので、のどごしがよくお茶請けにぴったり。大和に暮らす人の知恵から生まれたさなぶり餅には、大切に育てた作物を無駄にしない農家の人々の想いが息づいている。
- スポットの詳細
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総本家さなぶりや
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称念寺
- 江戸時代の街並みを残す今井町の発展を支えたお寺
- 江戸時代の街並みを残し、重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けている今井町(いまいちょう)。その発展の礎となったのが、ここ、称念寺だ。寺の前身となる念仏道場が建てられたのは、室町時代末期のこと。今井町は寺を中心とした寺内町(じないちょう)として、自分たちの手で商いを行い、街を治め、発展を遂げていった。称念寺は代々、今井家が世襲しており、近年の今井町の街並み保全にも多大な貢献をしている。背の高い堅牢な表門をくぐると、右手に本堂が位置している。入母屋造(いりもやづくり)の大きな屋根が特徴的な本堂は、江戸時代の創建。部材に書かれていた年号から、1641年(寛永18)頃の建築と推測されている。浄土真宗のお寺で建立が江戸時代初期に遡る建築物は貴重で、本山の本願寺を除いて初めて、国の重要文化財の指定を受けた。老朽化により大々的な解体修理が行われていたが、2022年(令和4)に、12年にわたる修理が完了。往時の姿を再現した、美しい姿に生まれ変わった。自由に見学できるのは庭まで。建物内を見学するには予約が必要なため、電話で問い合わせてから訪ねたい。
- スポットの詳細
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称念寺
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神武天皇陵
- 日本の始まりの場所に初代天皇が眠る
- 現存する国内最古の歴史書のひとつ『日本書紀』によると、橿原の地は、日本という国が誕生した場所であると伝えられている。天照大神(あまてらすおおかみ)の子孫である神武天皇は、九州から奈良に渡り、現在の橿原神宮が立つ場所に橿原宮(かしはらのみや)を営んだ。これが、日本の始まりである。紀元前660年、今から2600年以上前の出来事だ。日本の初代天皇となった神武天皇が眠るのが、橿原神宮に隣接して立つ神武天皇陵。正式名称を畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)という。橿原神宮の第一鳥居から神武天皇陵の入り口までは、国道沿いの道を歩いて10分ほど。入り口に架かる小さな橋を渡り、白い玉砂利の敷き詰められた参道を進む。敷地内はしんと静かで、森林の澄んだ空気に包まれる。まるで神社のような神聖な雰囲気だ。5分ほど歩くと、広く開けた空間に、苔むした檜皮(ひわだ)付きの黒木の鳥居が現れる。先にはさらに2基の白木の鳥居が連なり、神武天皇の眠る陵墓へと続く。この国が生まれた、日本の原点ともいえる場所。橿原神宮とともに訪れ、手をあわせてみてはいかがだろうか。
- スポットの詳細
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神武天皇陵
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奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
- 知的好奇心をくすぐる「歴史を目で見る」博物館
- 奈良には、歴史を物語る数多くの遺跡が存在する。せっかくなら、その一端に触れてみては?本博物館のテーマは「目で見る日本の歴史」。ユニークな出土品が多く、歴史に詳しくなくても十分に楽しめるスポットだ。
- スポットの詳細
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奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
人気スポット
旅のヒント
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その1
電車なら近鉄大阪上本町駅から乗り継ぎなしで約40分、大阪から車での移動でも阪神高速、阪和自動車道、南阪奈道路を利用して1時間ほどのエリア。
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その2
橿原神宮は近鉄橿原神宮前駅から、今井町は近鉄八木西口駅からそれぞれ徒歩で行ける。少し離れるが、今井町へは特急が停まる近鉄大和八木駅を利用するのも便利だ。
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その3
藤原宮跡へは近鉄大和八木駅からコミュニティバスで行ける。土・日曜、祝日は近鉄橿原神宮前駅からも運行しているが、本数が少ないので事前に確認しておきたい。
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その4
おふさ観音へは近鉄大和八木駅もしくは近鉄橿原神宮前駅から路線バスで行ける。どちらも本数が少ないので事前に確認しておこう。
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その5
このエリアは見どころが点在する。バスの運行本数が少ないので、サイクリングで巡るのも便利。近鉄大和八木駅の橿原市観光交流センター「かしはらナビプラザ」にレンタサイクルがある。橿原の観光情報がそろうので、ここを拠点にするとスムーズ。
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