京都

銀閣寺周辺

AROUND GINKAKU-JI TEMPLE

東山の山麓にたたずむ名刹巡りと自然の魅力を満喫できる散策道

足利義政の建てた山荘に始まる銀閣寺は、東山文化の象徴として世界文化遺産に指定される古刹。室町時代に花開いた美の源流地はぜひとも足を運んでおきたいところだ。哲学の道といえば、桜並木のトンネルで知られる京都屈指の散歩道だが、桜以外のシーズンでも四季の彩りを感じることができる。永観堂や法然院、大豊神社など東山の山麓にたたずむ社寺に寄り道をしながら散策をするのがこのエリアの楽しみとなる。一方、吉田山に鎮座する吉田神社は、平安京以来の信仰を集める古社。参拝後は街なかとは思えない自然豊かな吉田山に登ってカフェで一服をするのも良し、西麓に広がる京都大学のキャンパスでアカデミックな気分を感じるものいいだろう。毎月15日に百萬遍知恩寺で開催される手づくり市は、雑貨や小物、パンやクッキーなど店主のこだわりが詰まった手づくり品がずらりと並ぶ人気の市。開催日に合わせて旅の計画を立てるものおすすめだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    琵琶湖疏水記念館
    琵琶湖疏水の秘密に迫る! 成り立ちから構造までを学べる博物館
    琵琶湖疏水って一体誰が何のために作ったの? そんな疑問を解決してくれるスポットが琵琶湖疏水記念館だ。琵琶湖疏水事業に関わった人たちの思いから技術力まで、体験しながらたっぷりと学ぼう。
    展示室へと誘うエントランス。水の揺らめきをイメージした光の演出
  • spot 02
    南禅院
    亀山天皇の離宮跡に立つ「南禅寺発祥の地」とされる寺院
    鎌倉時代の第90代・亀山天皇は1289年(正応2)に当地におかれていた離宮で出家をして法皇となり、大明国師を招いて自らの離宮を禅寺に改めた。それが臨済宗南禅寺派大本山・南禅寺で、「南禅寺の発祥の地」とされる特別な場所だ。拝観順路に従って進んで行くと、目の前に周囲を深い樹林で包まれた池が現れる。池は2つに分かれていて、上池は「曹源池(そうげんち)」と呼ばれ、竜の形に造られた中央に不老不死の仙人が住むという「蓬莱島」があり、下池には「心字島」が設けられている。庭園奥には滝の石組が配置され、滝つぼに落ちる水音が心地いい。創建当初の庭園には、「吉野の桜」「難波の葦」「竜田の楓」などが移植され、「井手の蛙」も放たれたという。また、方丈は1703年(元禄16)、江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の母、桂昌院(けいしょういん)の寄進によって再建されたもので、内陣中央には亀山法皇の木像が安置されている。庭園の東南隅には法皇の遺言によって分骨を埋葬した御廟があり、法皇がこの地を愛したことが感じられる。離宮当時の面影を残す、鎌倉時代を代表する庭園を心静かに巡ってみよう。
    庭園は国の史跡および名勝に指定されている
  • spot 03
    天授庵
    2つの庭園を鑑賞できる、南禅寺の初代住職を祀る寺院
    南禅寺の三門の南側に位置する塔頭。南禅寺は1291年(正応4)に無関普門(むかんふもん)によって創建された寺院であるが、無関普門は創建に着手したときにはすでに高齢であり、完成を見ることなく生涯を終えた。そのため南禅寺の伽藍整備の中心となったのは第2世住職・規菴祖円(きあんそえん)であり、南禅寺における無関普門の功績は長く認められていなかった。これに心を痛めた第15世・虎関師錬(こかんしれん)が、1339年(暦応2)に無関普門を祀る開山堂として建立。室町時代の大火や応仁の乱の被害を受けて一時荒廃したが、慶長年間(1596~1615年)に戦国武将・細川幽斎(ほそかわゆうさい)によって再興され、以来、細川家の菩提寺にもなっている。見どころは枯山水と池泉回遊式の2つの庭園。拝観受付を済ませて境内に入ると、最初に本堂前庭(東庭)に枯山水庭園が現れる。白砂の上には幾何学的な石畳が配され、木々の彩りと相まって趣深い。さらに進むと書院南庭へと続き、池泉回遊式庭園が広がっている。この辺りの地割は鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての特色が残っているという。池の周囲を巡りながら、四季折々の自然と向き合う心静かな時間を過ごすことができる。
    白砂と樹木が織りなすコントラストの美しい枯山水庭園
  • spot 04
    総本家ゆどうふ奥丹
    南禅寺参道にたたずむ日本最古の湯豆腐処
    京都でぜひ味わいたいもののひとつが豆腐。湯豆腐の名店が軒を連ねる南禅寺界隈で、最も長い歴史をもつのが奥丹だ。熱々の「ゆどうふ」を門外不出の秘伝の出汁を使ったタレで味わいたい。
    白い土塀に風情ある茅葺きの屋根。暖簾をくぐって石畳を進む
  • spot 05
    銀閣寺
    隠棲の地にたたずむ枯淡の情趣漂う山荘
    銀閣寺は足利義政が造営した山荘・東山殿に始まる。銀閣と称される観音殿はじめ、錦鏡池を中心とした庭園はどこから見ても絵になる美しさだ。境内には、侘び・寂びの精神が息づく光景が広がっている。
    足利義政の築いた理想郷が銀閣寺に受け継がれている
  • spot 06
    法然院
    山気ただよう静寂の地 趣深い茅葺き門が参拝者を迎える
    哲学の道から洗心橋を東に進むと、鳥のさえずりが賑やかな林が見えてくる。こちらが法然院だ。藪ツバキと竹の茂る参道の先には苔むした茅葺き門が自然に溶け込むように建ち、思わず写真に収めずにはいられない。さらに門をくぐると参道の両側には「白砂壇(びゃくさだん)」と呼ばれる白い盛り砂があり、季節ごとに描かれるさまざまな模様が参拝者を楽しませてくれる。寺院は1206年(建永元)に法然上人が弟子とともに、阿弥陀仏を昼夜に6回拝む「六時礼讃(ろくじらいさん)」を勤めたと伝える旧跡を1680年(延宝8 )、万無(ばんぶ)が上人をしのび念仏道場として再興。古くからツバキの名所として有名で深閑とした空気のなかでその美しさは際立っている。また落下した花が門に続く石段を彩る風景も見事だ。年間を通じて境内をコンサートや個展などの会場として提供し、環境学習活動なども主宰している。自然のなかで暮らすことの大切さと喜びを感じる寺院である。
    ツバキは3月中旬から4月上旬が見頃。ツバキ以外にも季節の花を楽しめる
  • spot 07
    大豊神社
    かわいい狛ネズミが待つ、知る人ぞ知る花名所
    哲学の道に沿って流れる琵琶湖疏水にはいくつもの橋が架かるが、そのなかのひとつ「大豊橋」を渡り、ゆるやかな坂道を進んでいくと大豊神社の参道に入る。両脇には秋の七草やサクラソウ、クロモジなどの山野草が植えられ、四季折々の可憐な花が参拝者の目を楽しませてくれる。神社の歴史は古く、社伝では887年(仁和3)に第59代・宇多天皇の病気平癒のために創建されたという。主祭神を医薬の神様・少彦名命(すくなひこなのみこと)とし、応神天皇と菅原道真を合わせ祀る。創建当初は現在地の背後の山である椿ヶ峰(つばきがみね)の山中に鎮座し「椿ヶ峰天神」と称されていたが、寛仁年間(1017-21)に現在地へと移り、現在は産土神(うぶすながみ)として信仰されている。こちらで大人気となっているのは境内の末社・大国社に鎮座する「狛ネズミ」。愛らしい表情で参拝者を迎えてくれる。さらに本殿前に狛巳、日吉社には狛猿、愛宕社には狛鳶(とんび)が鎮座する。またツバキをはじめ、しだれ梅やしだれ桜、アジサイなども美しく、知る人ぞ知る花名所でもある。
    祭神・大国主命をネズミが助けたという神話にちなむ狛ネズミ
  • spot 08
    白沙村荘橋本関雪記念館
    緑豊かな庭園に見る日本画家の美意識の結晶
    日本画家・橋本関雪が、その半生にわたって造営した庭園が邸宅とともに公開されている。大文字山を借景とする池泉回遊式庭園には関雪の収集した石造美術品などが配され、池畔にたたずむ存古楼(ぞんころう)も美しい。
    日本画家の創り出した理想郷が一般公開されている
  • spot 09
    百萬遍知恩寺
    疫病退散の功績によりその名を賜った念珠繰りの寺院
    京都大学の北に位置し、法然上人を開山とする浄土宗京都四ヵ本山のひとつ。この辺りの地名「百万遍」の由来となった寺院であり、大きな念珠(数珠)を大勢で回しながら念仏を称える「念珠繰り」と毎月15日に開催される手づくり市で有名。
    今出川通に面して建つ総門。毎月15日には「百万遍さんの手づくり市」が行われる
  • spot 10
    百万遍さんの手づくり市
    一期一会を求めて、こだわりの品が並ぶ人気の手づくり市へ
    京都には定期的に手づくり市やマルシェを開催する場が多数ある。そのなかでも特に人気があるのが「百万遍さんの手づくり市」。交差点「百万遍」の北東に位置する百萬遍知恩寺(ひゃくまんべんちおんじ)を会場に毎月15日に開催され、1987年(昭和62)のスタート以来、30年以上続く市だ。当初の出展者はほんの数十店だったそうだが、今では出展希望者が多数となり、当日は境内に所狭しとブースが並ぶ。出店の条件は「手づくりである」こと。そのためジャンルは問わず、アクセサリーや雑貨、洋服、パン、スイーツ、漬物、陶器など工夫を凝らしたアイテムがずらりと並ぶ。また、趣味でものづくりをしている人から実店舗を持つ人まで、その立場もさまざまだ。ここから人気が出て実店舗を開いたという店もあり、夢の実現に向けたチャレンジの場ともなっている。出店者は毎回抽選で選ばれるので、どのお店に出合えるかは行ってみないとわからない。人とモノとの一期一会を求めて足を運んでみよう。
    出展者は京都市内のみならず、関西一円から集まる
  • spot 11
    京都大学
    ノーベル賞受賞者を多数輩出してきた歴史あるキャンパス
    1897年(明治30)、東京大学に続く日本で2番目に創設された京都帝国大学が前身。自由の学風を重んじ、ノーベル賞を受賞する研究者を多数輩出してきた。吉田山の西麓に広がるキャンパスは学生の街・京都を代表する風景だ。2022年(令和4)、創立125周年を迎えた。
    大きく枝を広げるクスノキも大学の名物となっている
  • spot 12
    京都大学総合博物館
    日本を代表するトップクラスの大学が収集した知のフィールド
    「百万遍」交差点から東大路通を南に数分歩くと、大きな建物とともに堂々たるエントランスが現れる。日本を代表する大学で、ノーベル賞を受賞する研究者を数多く輩出してきた京都大学のキャンパス内にある「京都大学総合博物館」だ。自然科学から歴史・考古学まで幅広いコレクションを誇り、収蔵する学術標本資料はおよそ260万点。国宝・重要文化財をはじめ、京都大学が開学以来、研究のために収集してきた膨大な数の学術資料が展示される大学博物館として世界的にも注目を集めている。常設展示は「自然史」「技術史」「文化史」の3つに分かれ、広々とした展示スペースには、教科書で習ったナウマンゾウの化石や遺跡から出土した巨大な石棺などの大型展示物もあり、来場者の好奇心と探求心を満たしてくれる。また期間を決めて企画展や特別展も行われ、大人から子どもまで楽しめると好評だ。写真や映像からはなかなか伝わらない、本物だからこその迫力を体感しに出かけてみよう。
    見学にはウェブサイトからの予約が必要
  • spot 13
    吉田神社
    平安京の鬼門封じと守護を担った由緒ある社
    平安時代に藤原氏によって創建された吉田神社。古来、京の都を厄災から守る神社として、朝廷から崇敬を受けてきた。緑深き山中に鎮まる神々を訪ね、森林浴をしながら境内の散策を楽しみたい。
    厄除けや開運、良縁を授けてくれる神々が祀られる
  • spot 14
    吉田山
    悠久の歴史のなかで誕生した自然あふれる憩いの山
    京都大学の東側に広がる南北約400mの丘。吉田山緑地として整備され、吉田神社が鎮座する。町なかにありながら自然に触れることのできる貴重なスポットとして親しまれている。山頂付近からは京都の街や大文字山を眺望できる。
    山頂休憩広場に設置されたあずまや
  • spot 15
    茂庵
    町なかに居ながらにして山中の風情を楽しむ「市中の山居」
    神々がおわす山としていにしえより神聖な場と考えられてきた吉田山は、別名「神楽岡(かぐらおか)」とも呼ばれる小高い山。そのいただきに近い場所にあるカフェを目指して草木が彩る小径を歩いて行くと、木々に囲まれた建物が姿を現す。こちらが「茂庵」だ。大正時代、谷川茂次郎(たにがわしげじろう)は事業で財をなし、茶道を学び数奇者としても造詣を深めたあと、この地に茶室8席、月見台、楼閣など広大な森の茶苑を築きあげた。現在、山中にはかつての食堂棟と茶席2席が残り、その食堂棟を改装した店がカフェとなっている。標高100mほどの地に建つだけあって、店内からは木々の合間に京都の街を一望でき、山荘風のたたずまいはここが京都市内であることを忘れるくらい、居心地の良さは折り紙つき。アクセスは複数あるが、神楽岡通から、または吉田神社からのルートがおすすめだ。
    店名「茂庵」は谷川茂次郎の雅号に由来する
  • spot 16
    竹中稲荷社
    吉田山の山腹に朱の鳥居が一直線に並ぶ 知る人ぞ知る桜の名所
    吉田神社の斎場所大元宮から東へ進むと赤い鳥居が一直線に並ぶ参道が現れる。こちらが吉田神社の末社「竹中稲荷社」だ。奥へと歩みを進めると宇賀御魂神(うがのみたまのかみ)・猿田彦神(さるたひこのかみ)・天鈿女神(あめのうずめのかみ)を祀る社殿が建つ。創建等の由緒はわからないが、古い記録によると平安時代の歌人・在原業平(ありわらのなりひら)の住居が「神楽岡稲荷神杜の傍にトす」とあり、天長年間(824~834)にはすでに社殿のあったことがうかがえる。江戸時代末期には多くの参詣者で賑わい、現在でも竹中稲荷講杜が組織され多数の崇敬者が講員に加入している。参道は春には桜、秋には紅葉で彩られ、朱の鳥居とのコントラストが見事。本殿辺りから東を見ると、東山三十六峰のひとつ大文字山の雄姿を望むことができる。山頂へ向かえば森のカフェ「茂庵」へ、山を下ると真如堂がすぐ近くだ。
    五穀豊穣・商売繫盛のご利益を授かろう
  • spot 17
    真如堂
    「正真正銘の極楽の地」の意味をもつ天台宗の名刹
    平安時代初期に比叡山から阿弥陀如来を本尊に迎えて創建された真如堂。特に女性を守護してくれる仏様として知られている。秋の紅葉で名を馳せるが、諸堂が立ち並ぶ境内は四季折々に美しい。
    境内の北西に位置する赤門
  • spot 18
    金戒光明寺
    京都の街を一望する古刹で幕末の志士に思いを馳せる
    浄土宗大本山である金戒光明寺は、人びとから「黒谷(くろだに)さん」の名で親しまれてきた古刹。京都の街並みを眼下に望むことができる立地から、幕末には京都守護職の本陣が置かれた。伝説の松や頭髪が特徴的な石仏も拝観しよう。
    1860年(万延元)に建立された山門
  • spot 19
    永観堂
    「みかえり阿弥陀」の思いやりと深き慈悲に包まれて
    古来「もみじの永観堂」と称えられてきた古刹。平安貴族も和歌に詠んだ風光の地は時の文化人も虜にしてきた。見返る姿をした仏像「みかえり阿弥陀」が安置されることでも知られている。
    東山の山並みに抱かれるように建つ伽藍
  • spot 20
    泉屋博古館
    住友が誇る青銅器が一堂に会したミュージアム
    選りすぐりの名品がそろう住友コレクションの古代中国青銅器。4つのテーマに沿って展示された青銅器の精緻な装飾がすばらしい。ミュージアムの落ち着いた建築空間も魅力のひとつとなっている。
    第一室にはミュージアムの顔ともいえる青銅器の名品がそろう
  • spot 21
    野村美術館
    茶道具や能面・能装束を春秋に公開
    明治から大正、昭和にかけて南禅寺界隈に政財界の要人が次々と別荘を構えた。2代目・野村徳七もそのひとり。別荘に隣接する美術館では、茶の湯と能楽に造詣が深かった得庵のコレクションを一般公開している。
    紅葉の名所として有名な永観堂や南禅寺にも近い
  • spot 22
    熊野若王子神社
    後白河法皇も参詣した紀州熊野の聖域へと続く京の起点
    桜や紅葉の名所として東山のふもとにたたずむ神社。平安時代に後白河法皇が紀州熊野権現を勧請し創建された。境内には皇室や熊野参詣をしのぶ伝説が残る。御神木の梛にはさまざまな悩みを「なぎ倒す力」があるといい信仰を集める。
    哲学の道の南端でもある若王子橋からすぐ
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旅のヒント

  1. その1

    今出川通、白川通、東大路通のバス停からのアクセスが便利。市バスの利用を避けたい場合は地下鉄・蹴上駅が最寄りとなる。

  2. その2

    哲学の道エリアは見どころが充実。銀閣寺の参拝だけでも1時間はみておきたい。時間に余裕をもって訪問しよう。

  3. その3

    秋には紅葉スポットとして賑わう永観堂や真如堂も、秋以外は比較的ゆっくりと参拝可能。紅葉の名所は新緑の名所と心得よう。

  4. その4

    京都大学はカフェやショップなど一般利用が可能な施設もある。周辺には学生に人気のランチスポットも点在する。

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