長野
木曽路
KISOJI
山々が織りなす自然美、中山道の宿場町。ゆっくり流れる時間を楽しめるエリア
長野県南西部、木曽川に沿って南北に延びる谷あいのエリア。標高3067mの霊峰・御嶽山(おんたけさん)、中央アルプスの駒ヶ岳などの山々に囲まれた自然豊かな地域である。文豪・島崎藤村(しまざきとうそん)によって描かれた小説「夜明け前」の書き出し「木曽路はすべて山の中である」の言葉のとおり、面積の90%以上を森林が占めている山深い地域である。その山中をかき分けるように急峻な木曽谷を通る木曽路には、11宿場がおかれている。江戸時代の面影を残す妻籠宿や奈良井宿といった街並みは、国内外問わず高い人気を博している。岐阜県、愛知県、三重県を経て伊勢湾に注ぐ木曽川の源流部でもあり、阿寺渓谷や寝覚の床、小野の滝など水にまつわる名所が多いのも、このエリアの特徴である。
エリアの見どころ
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山賊
- 塩尻・松本地方のソウルフード、「山賊焼」の元祖
- ニンニクだれに漬け込んだ鶏の一枚肉に、片栗粉をまぶして揚げた「山賊焼」。今では長野県中信地方を中心に広く親しまれ、スーパーやコンビニでも売られている郷土料理だが、それを考案したのはこの店。創業者の安治郎氏の風貌がワイルドで山賊を思わせたことと、昔は塩尻峠によく山賊が出たことにちなんで「山賊焼」と命名された。サクサクとした衣でガッツリ食べられる看板メニューで、ニンニクの利いた味付けはご飯にもお酒によくあう。山賊焼単品は4種類のサイズから選べるほか、お腹いっぱい食べたいときにはお得な定食でも味わうことができる。また、山賊焼と双璧をなす、おふくろの味を意識して甘めにじっくり炊いてあるという「鶏モツ煮」も人気メニュー。鶏皮、レバー、せせりなどがとろけるやわらかさで、これまた酒のアテにぴったり。山賊焼や鶏モツ煮などはテイクアウトもOKだ。店は80年以上愛される人気店で、特に週末は地元の客や旅行客などで混み合う。
- スポットの詳細
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山賊
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福島宿と上の段の街並み
- 四大関所のひとつが置かれた木曽路の要衝・福島宿
- 天下の四大関所のひとつである福島関所がおかれた福島宿。かつて多くの旅人が行き交った宿場町は、現在でも、木曽地域の交通の要衝となっている。木曽路、開田高原、御嶽山などへ足を延ばす前に、街なかの散策をしてみてはいかがだろう。
- スポットの詳細
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福島宿と上の段の街並み
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寝覚の床
- 浦島太郎も気に入って晩年を過ごしたほどの美しさ
- 木曽川の急流が創り出した奇勝「寝覚の床」。木曽の中間地点辺りの上松町に位置し、木曽川に沿って走る国道19号沿いからも見ることができる観光スポットである。迫力ある床岩まで行くには、数々の大きな岩を登らなければならず少しハードだが、巨石の間を歩いたその先には、長い年月をかけて削り出された花崗岩の造形美が広がっている。寝覚めの床は激流が花崗岩の巨石を削って流れ、岩壁を侵蝕してできたもので、その形になぞらえた名称がつけられており訪れる人々に親しまれている。そのなかでも、ひときわ目立つ床岩の上には弁天の祠(ほこら)があり、浦島太郎伝説が残る。現世に戻った浦島太郎は、諸国遍歴の旅に出て、木曽の寝覚の床に来たときにこの地の美しさにすっかり惚れこみ、毎日好きな釣りを楽しんだそうだ。
- スポットの詳細
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寝覚の床
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馬籠峠
- 旅情たっぷり! 石畳の残る中山道馬籠宿から妻籠宿までを歩く
- 五街道のひとつである中山道のなかでも、江戸時代の面影が最も色濃く残る木曽11宿。木曽路と呼ばれる長野県塩尻市から岐阜県中津川市までの約80kmに11の宿場町が現存し、2016年(平成28)には日本遺産に認定された。木曽路の南側の玄関にあたる馬籠(まごめ)宿は文豪・島崎藤村の故郷で、「木曽路はすべて山の中である」で始まる小説『夜明け前』の舞台でもある。とても珍しい坂道の宿場町だ。ここから、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている妻籠(つまご)宿までの間は、所どころに旧中山道の石畳が残り、江戸の風情を感じられるハイキングコースになっていて外国人にも人気。距離は約8km、片道3時間ほど。コース中には標高790ⅿの馬籠峠があり、馬籠からスタートするほうが上りが短くて楽だ。途中、お茶などを振る舞ってくれる無料休憩所「一石栃立場茶屋(いちこくとちたてばちゃや)」や、吉川英治著『宮本武蔵』の舞台にもなった男滝・女滝(おだき・めだき)などの見どころもある。ルート上には街灯がなく、昼なお暗い箇所も多い。観光客の少ない時期に女性だけで歩くのは避け、遅くとも夏場は13時、冬場は午前中にスタートしたい。
- スポットの詳細
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馬籠峠
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福島関所資料館
- 「日本四大関所」のひとつ、福島関所を復元し、興味深い資料を展示
- 長野県木曽郡木曽町にあるJR木曽福島駅から、宿場町の面影を残す町並みを楽しみながら歩くこと20分。街道を見下ろす小高い場所に、福島関所跡がある。江戸と京都を結ぶ中山道のほぼ中央にある福島関所は、東海道の箱根、東海道の新居(今切)、中山道の碓氷と並ぶ「日本四大関所」だった。江戸時代に整備された五街道のひとつである中山道は、東海道に次ぐ重要な街道で、福島関所は約270年間、中山道の要衝として「入り鉄砲に出女」などを取り締まった。1979年(昭和54)には国の史跡に指定され、当時の門や柵を復元。隣には関所の建物を模した資料館が併設されている。館内には手形や武具類、茶碗などの出土品、通行に関連する資料や古文書などを展示。下番所や上番所、内部の造りなども復元されており、往時の面影を漂わせている。下番所にある福島関所のジオラマも必見。木曽川の河岸段丘の上に関所が設けられていることがよくわかる。上番所には関所役人が身に着けた裃やかつらが置かれていて自由に着用できるので、ぜひ記念撮影しよう。
- スポットの詳細
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福島関所資料館
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ゑびや
- 中山道・木曽路の風情あふれる妻籠宿で、木曽名産の栗菓子を
- 江戸時代にタイムスリップしたかのような町並みが残り、「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている妻籠宿(つまごじゅく)。南北約900ⅿ続く宿場町の北寄りにある老舗の甘味処が「ゑびや」だ。第2駐車場から国道を渡り、路地を上がって妻籠宿に出たら右折するとすぐにある。座敷に上がり、座布団を敷いていただく純和風スタイルは外国人客にも人気。通りを行く旅人の姿を格子窓越しに眺めながら、日本家屋のよさを実感できるだろう。秋~冬に訪れたならぜひ試してほしいのが、峠の向こうにある岐阜県中津川市の名産品「栗きんとん」。木曽は良質な栗の産地で、特に中津川の栗きんとんは、ほのかに甘い茶巾絞りの栗が、口の中でほろりと崩れて溶けるはかなさが魅力。煎茶付き500円、抹茶付き600円で、コーヒーに替えることもできる。栗きんとんを干した市田柿に詰めた「名香栗(なかぐり)」も人気だ。もう1品、寒い季節におすすめしたいのが「栗あん汁粉」。あずきの代わりに栗で作った珍しいおしるこで、こちらもまた上品な味わい。暑い季節には種類豊富なかき氷やアイスクリームも人気。
- スポットの詳細
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ゑびや
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駒ヶ岳ロープウェイ
- 木曽駒ヶ岳登山の玄関口。高低差日本一のロープウェイ
- 中央アルプス最高峰の木曽駒ケ岳の登山口として、また、高山植物の宝庫である千畳敷カールへの玄関口として人気の駒ヶ岳ロープウェイ。その乗り場である標高1662mのしらび平駅では、「わさびコロッケ」や山賊焼きなどの軽食を食べられ、建物内にはお土産コーナーも併設されている。ロープウェイに乗車し、7分30秒の空中散歩を終えると標高2612mの千畳敷駅へ到着。しらび平駅からの高低差950mは日本一で、気温も4℃ほど下がり、夏でも肌寒く感じるほどだ。千畳敷駅には日本一高い場所に建つホテル千畳敷のほか、お土産コーナーやカフェレストランも併設されており、記念のTシャツなどを購入したり食事も楽しめる。カフェでは中央アルプスの雪どけ水を使ったこだわりのコーヒーを出してくれる。一角にはガラス張りの展望コーナーもあり、目の前に絶景を眺めながらゆっくりと過ごすことができる。
- スポットの詳細
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駒ヶ岳ロープウェイ
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明治亭 駒ヶ根本店
- 駒ヶ根のご当地グルメ、玉子でとじないソースかつ丼ならこの店!
- ソースかつ丼発祥の地・駒ヶ根で、平日でも開店前から並ぶ人もいるほどの人気店。ソースかつと聞いてイメージする味とは異なる。その理由はソースにある。12種類の材料を煮込んだ明治亭のソースは、うまみの凝縮された濃厚なコクと食後のあっさり感が特徴。甘辛ソースの衣をまとったやわらかくジューシーなロースかつ(ヒレかつもあり)と、たっぷり敷かれたキャベツとの相性も絶妙だ。ソースかつ丼のルーツは、1928年(昭和3)頃、駒ヶ根の料理人が東京・浅草の洋食店に立ち寄り、とんかつの語源とされるカツレットを食べてヒントを得たことにさかのぼる。それを丼ものにアレンジし、ご飯の上にキャベツを敷いて、揚げたてのかつを載せる。そこからが各店の腕の見せどころ。それぞれの店が秘伝のソースをたっぷりかけ、アツアツを提供する。明治亭でも創業以来、創意工夫を重ねて生まれた味を大切に守り続けている。昔も今も職人が心を込めて作る明治亭のソースかつ丼は、地元で愛され続けている駒ヶ根のソウルフードだ。
- スポットの詳細
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明治亭 駒ヶ根本店
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早太郎温泉 こまくさの湯
- 両方のアルプスを眺めながら登山帰りのひと風呂と聖地巡礼も
- 開湯は1994年(平成4)と比較的新しい。源泉の早太郎温泉の名は今からおよそ700年前、信州では善光寺に次ぐ大寺・光前寺の飼い犬だった早太郎が、遠州見付神社で怪物を退治。人々を救ったという伝説に由来する。その早太郎温泉を楽しめる日帰り温泉施設が、こまくさの湯だ。木曽駒ヶ岳や千畳敷カールへ向かう「菅の台バスセンター」から徒歩3分のところにあり、昼頃になると登山帰りの人が汗を流しにやってくる。アニメ『ゆるキャン△』の第9話で、主人公の一人、リンちゃんがソロキャンプに向かう途中でこまくさの湯に立ち寄ったことから、近年は聖地巡礼スポットとしても人気だ。露天風呂は「西駒の湯」と「東駒の湯」があり、1か月ごとに男女交代。空の澄んでいる日は、露天風呂から左に千畳敷カールと中央アルプス、右には南アルプスの名峰群が見える。露天風呂の加水はなし。泉質はアルカリ性単純温泉で、肌がすべすべになると評判だ。ほかに内湯の大浴場、薬湯(ハーブ)、ジェット風呂、水風呂、サウナもある。ゆったりと汗を流したあとは、車で5分ほどのところにある光前寺で、早太郎の墓に参ってみるのもいい。
- スポットの詳細
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早太郎温泉 こまくさの湯
人気スポット
旅のヒント
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その1
名古屋から長野を結ぶJR中央本線が、木曽エリアを南北に通る。特急しなのは、木曽エリアでは木曽福島駅にのみ必ず停車する。ほかの駅には、一部列車のみが停車する、もしくは普通列車への乗り換えが必要なので、事前に確認をしておきたい。
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その2
車で行く場合は、中央自動車道を利用する。木曽の北側であれば塩尻IC、中央付近であれば伊那IC、南側であれば中津川ICで降りるのが良い。
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その3
阿寺渓谷は、夏季シーズンはマイカー規制が実施される。渓谷入り口付近の専用駐車場に車を停め、シャトルバスに乗って移動できる。