村上・新発田
MURAKAMI / SHIBATA
眼前に日本海が広がる雄大な自然と、城下町で栄えた伝統工芸や今でも息づく文化、町屋の街並みを体感できる人気の観光エリア
新潟県北部に位置し、山形県と隣接している村上・新発田(しばた)エリアでは自然と歴史の両方を楽しめる。村上市は「鮭のまち」として知られ、鮭の生態を学べる施設や鮭料理を味わえるレストランで、鮭文化を体験することができる。市内海沿いにある美しい夕日で名高い瀬波温泉では夕暮れどきに朱色のグラデーションの世界が広がる。また、温泉から北側の海岸線は約11kmにも及び、奇石の続く「笹川流れ」として有名。遊覧船に乗って海から、日本海沿いのドライブで陸からの笹川流れの景色を眺められる。村上市の岩船港から定期船が出ている粟島は、透き通るような青い海とおいしい魚介を味わえる島で、住民の温かさに触れることができる。村上市より南に位置する新発田市には、新発田城や藩主の下屋敷である清水園など、長い歴史を感じさせる趣ある建物が多数残っている。市内の月岡温泉は硫化水素の含有量が国内トップクラス。温泉街の街歩きを楽しめるようにと県内各地の名産品を集めたお店が並び、賑わいを見せている。
エリアの見どころ
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大観荘せなみの湯
- どこからでも海を望める、瀬波温泉を代表する旅館
- 瀬波温泉のなかでも大規模な80室の部屋数を誇る「大観荘せなみの湯」。海を間近に感じることのできる温泉宿だ。エントランスを入ってすぐ、右手に広がるロビーラウンジの壁一面の窓からは日本海の大パノラマを望める。天候が良ければ、水平線に沈む夕日をさえぎるものなく堪能できる。男性用は、大浴場と露天風呂がそれぞれ2つずつと広々とした造り。女性用の大浴場と露天風呂は1つずつあり、天井が高く円形に洗面台が並ぶパウダールームが特徴的。天窓と海に面した窓から差し込む光で明るく開放的な空間になっている。男女どちらの浴場も海に面しており、波の音をBGMにして大きな露天風呂に浸かりながら眺める夕日は格別だ。年間を通して多くの観光客が訪れるが、夏には瀬波海岸での海水浴を楽しむ親子連れなどで特に賑わっている。
- スポットの詳細
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大観荘せなみの湯
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岩船港鮮魚センター
- 日本海で水揚げされた海の幸や村上市の名産品をお土産に!
- 瀬波温泉から車で3分ほど南に進むと、日本海の新鮮な海の幸が集まる「岩船港鮮魚センター」が現れる。岩船港で水揚げされたイキのいい地魚をはじめ、干物・珍味、近隣の名産品を販売。特に手づくりの「いよぼや(鮭)の味噌漬」や、自社で加工したできたてホヤホヤの一夜干し干物、魚屋の作る寿司が人気商品だ。さらに岩牡蠣のシーズンには、購入した岩牡蠣をその場で割ってもらって食べられるサービスも。岩船の岩牡蠣は身が大きいのが特徴で、ひとかみするとじゅわ-っと濃厚な牡蠣の味が口の中に広がってくる。鮮魚以外の品ぞろえもバラエティに富んでおり、地域の名産の村上茶や乾物や地酒など、村上土産を選ぶのに最適。1階には麺類や海鮮の揚げ物の並ぶフードコートがあり、気軽に海の幸を楽しめる。2階には海鮮丼や定食を味わえる「海鮮処 番屋」もあり、多くの団体客が訪れている。
- スポットの詳細
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岩船港鮮魚センター
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道の駅 関川「桂の関」
- 「猫ちぐら」や「岩船産コシヒカリ」など関川村の名産品が一堂に集う
- 関川村の地域住民も観光客も利用する人気スポット。日帰り温泉施設「桂の関温泉ゆ-む」や、地元野菜や名産品を販売する「関川村地域文化交流施設 ちぐら」、観光情報を提供する「せきかわ観光情報センター にゃ-む」などがある。桂の関温泉はすぐ近くに湧き出ている源泉を引いた温泉で、動脈硬化症や切り傷、慢性皮膚病などに効能があるといわれる。その隣には、土産物を購入できる「関川村地域文化交流施設 ちぐら」があり、粘り気と甘みが強いと評判の「岩船産コシヒカリ」をはじめとした名産品が並ぶ。清流・荒川で釣った「あゆの塩焼き」はその場で食べることもできる。また、「せきかわ観光情報センター にゃ-む」では、わらを編んで作る猫の寝床「猫ちぐら」の製作を見学することもできる。
- スポットの詳細
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道の駅 関川「桂の関」
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カフェそそど
- 島民も観光客もうれしいメニューがそろう、粟島唯一のカフェ
- 海の目の前に店を構えるカフェそそど。東京のオーガニックカフェで働いていたオーナー夫妻が粟島に移住し、2014年(平成26)にオープンした。名物は年によって変わるというカレー。スパイスの調合も店主みずから行っているという。取材時は、イナダや旬の魚、島の野菜の入った魚のキーマカレー(トマトベース)が提供されていた。粟島名産のじゃがいもを使ったコロッケバーガーも手軽に食べられる人気の一品だ。料理に使われている野菜は、ほぼすべてが島の人の手によって作られたもの。ベースはオーガニックのカフェメニューだが、味付けは島民の好みに合わせ、老若男女が食べやすい味に年々変化させてきたという。オーナー夫妻には小さな子どもがいるため、店内には絵本やおもちゃ、子ども用の椅子を準備するなど随所に気づかいが。テーブル席だけでなく、子連れ客向けに改装した座敷席も好評だ。粟島汽船の乗り場に近く、昼どきにはフェリー乗船前に昼食を取る多くの人で賑わっている。
- スポットの詳細
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カフェそそど
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仏崎展望台
- 美しい日本海と岩礁、山の緑も一望できる絶景スポット
- 粟島の西海岸に北寄りに位置する仏崎展望台。日本海の荒波がつくり出した奇石や岩礁を一望でき、その眺めは「新潟百景」にも選出されている。広がる空に水平線、海水浴場や漁場が近くになく、自然のままの美しさを保った海と荒々しい岩、豊かな山の緑を見渡せる展望台からの景色はまさに絶景だ。「仏崎」という地名は、観音像が見つかったことに由来する。平安時代後期、漁師が海底に光るものが沈んでいるのを見つけ、ヤスで突いたところ、観音像が引き上げられたという。この観音像を「ヤス突観音」と呼び、岬はこの逸話から仏崎と呼ばれるようになった。観音像は現在、島の東側にある内浦集落の観音寺に祀られている。また、仏崎は粟島随一の夕日スポットとしても知られている。島の東側では、空が夕焼けに染まる様子は見えるものの、島中央部に山があるため、日没の様子は見られない。島の西側の岬にある仏崎展望台からは、水平線に沈む夕日をさえぎるものなく堪能できる。
- スポットの詳細
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仏崎展望台
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乙まんじゅうや
- 品のある酸味が特徴。200年以上愛され続ける酒まんじゅう
- 1804年(文化元)創業の乙(きのと)まんじゅうや。名物は江戸時代から続く酒まんじゅうの「乙まんじゅう」だ。糀ともち米を発酵させた「元種」を加えた生地でこし餡を包み、炭火で温めながらゆっくりと発酵させる。最後に釜で湯を沸かし蒸し上げて作り上げる、職人の叡智が詰まった一品だ。あんこの滑らかな食感と鼻からふわりと抜ける爽やかな酸味が癖になる味わい。添加物や保存料、膨張剤などはいっさい使われていないため、小さな子どもにも安心して食べさせられる。この酒まんじゅうを「胎内市名産の米粉とコラボレーションできないか」と試行錯誤し生まれた新商品が「米粉揚げまんじゅう」だ。米粉のパン粉は油を吸いにくいためカラッとしていて、中の皮はもちもち。あっさりとした餡の甘さも手伝い、いくらでも食べられそうなおいしさだ。
- スポットの詳細
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乙まんじゅうや
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清水園
- 新潟の名庭師が手がけた「清水園」でくつろぎのひとときを
- 新発田城と合わせて訪れたいのが、国指定名勝の「清水園」。庭の中心には草書体の「水」を描くように大池泉があり、その周囲に茶室や鐘楼を配している。江戸時代初期に新発田藩主溝口家の下屋敷として造られたが、次第に荒廃した。そこで、昭和20年代に新潟県を代表する名庭師、田中泰阿弥(たなかたいあみ)が修復に着手し、どこから見ても異なる景色を楽しめる庭園に再構築した。海岸をイメージした州浜(すはま)や木々とのコラボレーションが見事な鐘楼、両端で太さの異なる石橋など所どころで美しい景色を眺められる。また、書院からの景色も忘れてはならない。障子や襖が額縁の効果をもち、まるで絵を見ているかのよう。さまざまな景色を眺めながら自分のお気に入りを探してみてはいかが。
- スポットの詳細
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清水園
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千年鮭 きっかわ 井筒屋
- 鮭の町ならではの料理が並ぶ、村上市唯一の鮭料理専門店
- 村上の鮭料理の特徴は、頭や皮、内臓など、一般には食べずに処分されることの多い部位も調理して食べること。これらの伝統的な鮭料理を食べられるのが「千年鮭 きっかわ」の運営する食事処「千年鮭 井筒屋」だ。井筒屋はもともとは旅籠で、松尾芭蕉が2泊したとの記録が残っている。由緒ある旅籠の建物と屋号を受け継ぎ、2017年(平成29)に村上初の鮭料理専門店としてオープンした。\多くの人が注文するのは、鮭の頭を骨までやわらかく煮た「鮭のかぶと煮」や「はらこ(いくら)の味噌漬」などの小皿に盛られた鮭料理と、塩引き鮭、土鍋炊きのコシヒカリのセット。出汁茶の入った土瓶と薬味も付いてくるので、塩引き鮭と薬味をご飯に載せて出汁茶をかけ、鮭茶漬としても味わえる。塩引き鮭は卓上に置かれた七輪でみずから炙って食べるスタイル。焼き加減やそれぞれの鮭料理について、スタッフが詳しく説明してくれる。土鍋で炊くご飯は、近隣の関川村で契約栽培された岩船産コシヒカリ。予約をするとその時間に合わせた炊き立てのご飯を味わえる。
- スポットの詳細
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千年鮭 きっかわ 井筒屋
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あわしまや
- 魚がたっぷりの粟島名物「わっぱ煮」を食べられる食堂
- わっぱ煮とは、杉を曲げて作った器「わっぱ」に焼いた魚とネギ、味噌を入れて湯を注ぎ、焼いた石を加えて煮立たせることで仕上げる粟島の郷土料理だ。漁師がその日獲れた魚と石を一緒に焼いて、持ってきたわっぱに入れ昼食として食べたのが始まりだという。メバル、カワハギ、コブダイなど、その時期に獲れる魚を数種類組み合わせるのも特徴のひとつ。魚のうまみに少し焦げた皮の香ばしさと味噌のコクが合わさった素朴な味わいだ。民宿の朝食で提供されることの多いわっぱ煮だが、昼食で食べられるのが「あわしまや」だ。先代は売店と食堂を営んでいたそうだが現在は食堂のみの営業に。1974年(昭和49)に建てられたという現在の建物は、緑色の壁紙やタイル貼りの入り口にレトロな雰囲気を感じる。わっぱ煮のほかにもラーメンやカレーなど、気軽に食べられるメニューも取りそろえている。リピーターも多く、お昼からビールを片手にのんびりと食事をする観光客も多い。
- スポットの詳細
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あわしまや
人気スポット
旅のヒント
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その1
村上・新発田エリアへはJR羽越本線を使って向かおう。普通列車のほか、新潟駅から出ている特急いなほ号に乗れば村上駅、新発田駅にも停車する。
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その2
車の場合は、新潟市中心部にある新潟中央JCTから日本海東北自動車道で35分ほどで村上エリアの入り口となる荒川胎内ICにたどり着く。新発田エリアに行く場合は聖籠新発田ICへ。
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その3
街歩きに人気の村上の町屋通りは村上駅から徒歩10分程度。観光スポットが集まるエリアで、思いおもいに街歩きを楽しめる。瀬波温泉は村上駅からタクシーで約10分。予約をすれば送迎してくれるホテルや旅館も多い。
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その4
新発田城へは新発田市中心街を巡る「あやめバス」で新発田駅から約15分。
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その5
粟島へは、村上市にある岩船港から高速船、またはフェリーを利用する。高速船なら、約55分、フェリーは約1時間25分の船旅で到着する。