埼玉
北部
NORTHERN
埼玉県名の由来となった古墳群や渋沢栄一ゆかりの地を訪ねる
群馬県との境である利根川と、埼玉県の中央を流れる荒川に挟まれたエリア。水に恵まれ台地に位置する行田市は、古代文明が栄え、今も古墳が数多く残る。なかでも、国の特別史跡に指定されている「埼玉(さきたま)古墳群」は、埼玉県名発祥の地として知られる。古墳公園内には国宝の鉄剣などの出土品を展示する「県立さきたま史跡の博物館」、はにわ作りを体験できる「はにわの館」があり、古代のロマンを感じられる場所として人気だ。行田市の西側にある熊谷市と深谷市は、肥沃な土壌と豊富な水、高い晴天率を生かして、県内有数の農業地帯となっている。古くは養蚕と綿や藍の生産が盛んに行われ、現在は深谷ねぎをはじめとする農産物が有名だ。また、深谷市は「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一の生まれ故郷。「旧渋沢邸(中の家)」や「渋沢栄一記念館」などゆかりの見どころが多く、2024年(令和6)に発行される新一万円札の顔に選ばれたこともあって注目を集めている。
エリアの見どころ
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行田市はにわの館
- 自分だけのオリジナルはにわを作ろう
- 「さきたま古墳公園」の敷地内にある、はにわ作りを体験できる施設。公園の駐車場から古墳道路を渡ると、「さきたま史跡の博物館」へと続く並木道の左側に白い建物が見える。9:00から14:30までなら飛び込みでも申し込めるが、休日と夏休みなど学校が休みの期間は混み合うので、予約しておくことをおすすめする。料金は600円(粘土1㎏)、制作時間は2時間ほど。指導員が手助けしてくれるので、子どもでも簡単にはにわ作りを楽しめる。いちばんの人気は「踊るはにわ」だが、作る人によって形や表情が異なり、世界にひとつだけの“マイはにわ”ができあがる。またアニメのキャラクターや動物など、自分の好きなものを作ることも可能だ。完成は1か月半から2か月後。館内で乾燥させたあと、約800℃の窯で7時間ほどかけて焼き上げる。完成品の引き取りは直接来館するか、着払いでの配送もしてもらえる。
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行田市はにわの館
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埼玉県立さきたま史跡の博物館
- 古代史解明の手がかりとなる国宝の鉄剣を展示
- 国の特別史跡に指定されている埼玉古墳群。博物館では、これらの古墳から出土した副葬品やはにわなど、貴重な資料を展示する。なかでも国宝の「金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)」は必見だ。
- スポットの詳細
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埼玉県立さきたま史跡の博物館
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日本煉瓦製造株式会社 旧煉瓦製造施設
- 明治の近代化に貢献した、日本初の機械式レンガ工場跡
- 新時代の都市を建設するために、渋沢栄一らによって設立された日本煉瓦製造会社の施設跡。敷地内にはレンガ製造のためのホフマン輪窯・旧事務所・旧変電室が残り、日本の近代化の礎をなした施設を見学できる。
- スポットの詳細
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日本煉瓦製造株式会社 旧煉瓦製造施設
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観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ
- 伝統の足袋をはじめ、行田の「いいもの」が勢ぞろい
- 埼玉県の北部に位置する行田市は、江戸時代に忍藩(おしはん)十万石の城下町として栄えた町。石田三成による水攻めに耐え映画『のぼうの城』で注目された忍城、埼玉県名発祥の地である「さきたま古墳」、42種類12万株のハスの花が咲く「古代蓮の里」など見どころが多く、古代のロマンと歴史に触れることができる。また行田は江戸時代から足袋の生産地として知られ、市街地には足袋蔵や足袋問屋として使われていた建物が数多く残る。そんな風情ある街並みを散策する際に立ち寄りたいのが、秩父鉄道行田市駅から徒歩7分ほどのところにある「観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ」。現在も全国トップシェアを誇る足袋をはじめ、地元の特産品や名物グルメなど、約68社400種類の商品を取りそろえている。なかでも目を引くのが、伝統技術と新しいデザインとの融合で生まれた「南河原スリッパ」。アフリカやブラジルなど世界各国の布を使ったカラフルなスリッパは、履き心地もよいと評判だ。このほか「日本遺産」に認定されている奈良漬け、地粉を使った「行田の餃子」、行田銘菓として知られる「十万石まんじゅう」、名産の青大豆を使ったお菓子など、お土産にぴったりのご当地グルメも充実している。
- スポットの詳細
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観光物産館ぶらっと♪ぎょうだ
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割烹 楓
- 郷土の偉人・渋沢栄一も愛した「煮ぼうとう」
- 埼玉県深谷市(ふかやし)に昔から伝わる「煮ぼうとう」は、小麦粉をこねて延ばした幅広の麺を、たっぷりの野菜と一緒に醤油味のだし汁で煮込んだもの。幕末にこの地に生まれ「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一も好んで食べたといわれる、深谷のソウルフードだ。深谷では野菜が豊富に採れ、また稲作の裏作として小麦を多く生産していたことから、家庭料理として「煮ぼうとう」を食べる文化があり、かつては「ほうとうを打てない女は嫁にいけない」といわれていたとか。1975年(昭和50)の創業より手作りの味にこだわる「割烹 楓(かえで)」は、ボリューム満点のランチから宴会まで、地元で幅広く親しまれている店。深谷ネギをはじめ地場野菜をたっぷりと使った「煮ぼうとう」は、薄味のだし汁に野菜のうまみが溶け出して、ほっとするやさしい味わいだ。またこの店のもう1つの名物が、深谷の「新・ご当地グルメコンテスト」で最優秀賞を受賞した「カレー焼きそば」。キャベツとジャガイモ、大きめの豚肉の入った焼きそばは、スパイシーだが甘みがあり、子どもにも大人にも大好評だ。
- スポットの詳細
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割烹 楓
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聖天寿し
- 「聖天さま」で知られる妻沼の名物は大きないなり寿司
- 埼玉県熊谷市の北部、妻沼地区にある妻沼聖天山(めぬましょうでんざん)。「日本三大聖天」のひとつとされ、古くから民衆の崇拝を集めてきた名刹だ。「妻沼の聖天さまといえば門前で売られる聖天寿司」といわれるように、江戸時代から続く名物が、聖天寿司と呼ばれるいなり寿司。この地域は江戸時代に利根川の水運で栄え、豊かな大地に米や在来大豆が栽培されてきた。貴重な米と高価だった油揚げを使ったいなり寿司は、祭事や祝事などハレの日に食べられるご馳走だった。現在も門前町にはいなり寿司店が数軒あり、そのうち聖天山に最も近いのが「聖天寿し」だ。店の看板に「名物でっけぇ~いなり寿司」と書かれているように、妻沼のいなり寿司の特徴はその大きさ。1人前のパックに、通常の倍ほどもあるいなり寿司が3つ、かんぴょう巻きが4切れ入っている。昔ながらのしっかりとした油揚げを甘辛く味付けしたいなり寿司は、食べごたえ満点だ。朝から客がひっきりなしに訪れ、昼頃には売り切れてしまうこともあるため、なるべく早い時間に訪れたい。
- スポットの詳細
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聖天寿し
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紅葉屋本店
- 江戸時代から愛され続ける熊谷銘菓「五家宝」の老舗
- 川越の芋菓子、草加の煎餅とともに、「埼玉三大銘菓」のひとつに挙げられる「五家宝(ごかぼう)」。古くから北関東の各地で作られており、その起源は諸説あるが、文政年間(1818~1829年)に熊谷で「五嘉棒」の名で売り出されていたという。中山道の宿場町として栄えていた熊谷では、良質な米や大豆、水飴の原料となる大麦が豊富に作られており、五家宝の生産に適していたとされる。五穀のうち米・豆・麦を使うことから、のちに「五穀は家の宝である」という祈りを込めて「五家宝」と名付けられた。現在、五家宝を製造販売する店のなかで、最も古いのが1765年(明和2)創業の「紅葉屋本店(もみじやほんてん)」だ。江戸時代から伝わる製法を頑なに守り、原材料から一貫して自社製造にこだわっている。作り方は、もち米を粉にひいたものを水で練って蒸し、砂糖を加え薄く延ばす。これを細かく砕いて煎り、あられ状にしたものをタネにする。タネに砂糖と水飴から作った蜜をあわせてこね、きな粉生地で包んで、円筒状に長く延ばしてから切る。素朴なお菓子だが、手間暇がかかり、素材のよしあしと職人の技が味の決め手となる。添加物をいっさい使わず、栄養豊富な五家宝は、近年は自然食品としても注目を集めている。
- スポットの詳細
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紅葉屋本店
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アグリパーク上里
- ドライブがてら立ち寄りたい、地元グルメも楽しめる農産物直売所
- 埼玉県北西部の上里町(かみさとまち)にある、「JA埼玉ひびきの」が運営する農産物直売所。関越自動車道の上里スマートICを降りてすぐのところに位置し、上里SA(上り)から歩いても行ける。農業が盛んなこの地域では年間を通してさまざまな野菜や果物が栽培されており、「アグリパーク上里」には毎朝農家から届けられる新鮮な野菜がずらりと並ぶ。埼玉県のオリジナル品種「彩玉梨」や人気のイチゴ「あまりん」をはじめ、JAS認定を受けた有機農産物、地元の食材を使った加工品なども手に入る。また併設のフードコートで、買い物とあわせてランチを楽しむのもおすすめ。武蔵野うどん「きやんち」は、地粉を使った手打ちうどんが自慢の店。東京千石に本店を構える「グリルK farm's」では、手ごねハンバーグとともに直売所の野菜を使用したサラダとスープを提供している。なおこの場所は「このはなパーク上里」と呼ばれ、農産物直売所のほか、老舗の煎餅店「中央軒煎餅」、スイーツショップの「上里カンターレ」、イチゴの収穫体験ができる「上里いちご&トマト園」があり、地元の人にも観光客にも人気のスポットとなっている。
- スポットの詳細
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アグリパーク上里
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かねつき堂
- 揚げてないのにフライ? 行田市民のソウルフード
- 埼玉県行田市(ぎょうだし)のB級ご当地グルメとして知られる「フライ」は、小麦粉を水で溶き鉄板で薄く焼きながらネギや豚肉などの具を入れた、お好み焼きのようなもの。表面にソースか醤油を塗って、好みで青海苔や唐辛子を振って食べる。名前の由来は、行田では足袋産業が盛んだったことから足袋に必要な布がたくさん来るようにと「布来(ふらい)」になったという説や、フライパンで焼くからなど、諸説あるそうだ。この地域は古くから小麦の産地で、手軽に作れることから農家でおやつとして食べられていた。また、行田のもう1つの名物が「ゼリーフライ」。おからにじゃがいもやニンジン、ネギを混ぜたものを素揚げにし、ソースにくぐらせたコロッケのような食べ物だ。いずれも、行田で足袋作りが隆盛を極めた昭和初期に女工さんたちのおやつとして広まった。行田には「フライ屋さん」と呼ばれる店が数十軒あり、それぞれ微妙に異なる味を楽しむことができる。町のシンボル、忍城(おしじょう)から徒歩5分ほどのところにある「かねつき堂」は、テレビや雑誌などでたびたび紹介される有名店。地元の有機野菜や純正植物油を使うなど素材にもこだわっている。
- スポットの詳細
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かねつき堂
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元祖 熊谷うどん 福福
- 国産麦の聖地、熊谷の素材にこだわった「本物のうどん」
- 利根川と荒川の2つの川が流れる熊谷市は、きれいな水と肥沃な土地に恵まれ、江戸時代から良質な小麦が栽培されてきた。また地元出身の権田愛三(ごんだあいぞう)が小麦の生産技術を確立し全国に広めたという歴史をもち、熊谷市の小麦収穫量は全国でも上位を誇る。昔は祝い事などハレの日にうどんを食べる風習があり、「うどんが打てないとお嫁に行けない」といわれたそうだ。現在は市内の小学校でうどん打ちの授業があるなど、人々に親しまれている。そんなうどん激戦区で高い人気を誇るのが「元祖 熊谷うどん 福福(ふくふく)」。国産素材・無添加にとことんこだわった手打ちうどんを提供している。小麦粉は熊谷産あやひかり、肉汁に使う豚肉は深谷産彩の国黒豚、野菜や醤油も地元のものを使用。毎日閉店後に手打ちし、ひと晩寝かせたうどんはコシが強く、独特のもちもち感がある。また利尻昆布、香川伊吹島のいりこ、鹿児島枕崎の本枯節などからていねいに出汁を取ったつゆは香り高く、豚肉のうまみと甘みが奥深い風味を醸し出す。昔ながらのやり方で手間ひまを惜しまず作られた「本物のうどん」は、遠くからでもわざわざ食べに行く価値がある。
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元祖 熊谷うどん 福福
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旅のヒント
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その1
東京方面から電車なら、JR東京駅発「上野東京ライン」を利用すると速い。行田へ約65分、熊谷へ約70分、深谷へ約85分。また、JR新宿駅からは「湘南新宿ライン」に乗って赤羽で「上野東京ライン」に乗り換えるほか、直通電車も運行されている。
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その2
熊谷へは新幹線も利用できる。JR東京駅から上越新幹線または北陸新幹線で所要約40分。熊谷は行田と深谷の中間に位置し、熊谷からJR高崎線で行田へ4分、深谷へ15-20分。
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その3
車で行く場合は、東北自動車道羽生ICから行田まで約35分、関越自動車道本庄児玉ICから深谷まで約30分。
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その4
行田市内の交通は、JR行田駅前から発車し、古代蓮の里、さきたま古墳公園、忍城などを循環する「観光拠点循環コース」が便利。ほぼ1時間ごとに1日9便運行。
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その5
深谷市内は公共交通があまり整備されていないため、車での移動がおすすめ。JR深谷駅から「渋沢栄一記念館」までタクシーで約16分。「渋沢栄一記念館」から「旧渋沢邸(中の家)」へは徒歩約10分。寄居町へは、JR八高線・秩父鉄道・東武東上線の寄居駅で下車。車なら関越自動車道花園ICから約15分。深谷から秩父・長瀞方面へ抜ける際に立ち寄るのもおすすめ。