福島

磐梯高原・猪苗代

BANDAI HIGHLAND / INAWASHIRO

宝の山がもたらした、色鮮やかな湖沼群と天を映す巨大な鏡

福島県西部の会津地方にあり、市街地を除く大部分が磐梯朝日国立公園に含まれる。中心にそびえるのは標高1816mの磐梯山(ばんだいさん)。民謡『会津磐梯山』でおなじみの活火山で、福島のシンボルだ。その北に広がる磐梯高原は安達太良山(あだたらやま)、吾妻山(あずまやま)に囲まれた標高約800mの高原で、「裏磐梯」とも呼ばれる。1888年(明治21)の磐梯山の山体崩壊によって生まれた330もの湖沼群が点在する景勝地だ。夏はハイキングやカヌー、冬はスキー客で賑わう。周辺には眺望の良い山岳道路がいくつも整えられており、特に福島市と裏磐梯をつなぐ磐梯吾妻スカイラインは人気。一方、磐梯山の南側、猪苗代湖が広がる地域を「表磐梯」と呼ぶ。猪苗代湖もまた数万年前に磐梯山の山体崩壊で誕生した。面積は全国4位。天鏡湖とも呼ばれる湖水の透明度が自慢だ。冬にはハクチョウが飛来し、雪を被った別名・会津富士の美しさも格別。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    五色沼自然探勝路
    訪れるたびに色を変える神秘的な沼巡り
    るり色、エメラルドグリーンなどさまざまな色彩をもつ10あまりの沼をつなぐ遊歩道。福島県の会津地域を代表する人気スポットで、磐梯朝日国立公園内の特別保護地区に指定されている。今日はどんな色に出合うことができるだろう?
    ターコイズブルーの弁天沼。日差しの強さや角度、風の有無、水位などによって同じ沼でもさまざまな色に見える
  • spot 02
    もくもく自然塾
    シャワーウォークなど裏磐梯を全身で感じるアクティビティ満載
    裏磐梯の大自然を存分に満喫するならアクティビティに挑戦してみたい。曽原湖(そはらこ)の近くにある「はれがさやアクティビティーズ」では、年間を通じてさまざまなツアーを用意している。夏に人気なのはシャワーウォーク。沢登りや沢下りを含む究極の水遊びで、水着さえあればトライできる。スリル満点の半面、リスクもともなうので、安全性に気を配って慎重に催行されている。春と秋にはネイチャーウォーキング、冬には雪の上を歩くスノーシューツアーがおすすめ。裏磐梯を知り尽くしたガイドならではの視点で、自然観察やとっておきの場所などを教えてくれるので、自分では気づかない発見がうれしい。また「はれがさやアクティビティーズ」には有資格ネイチャーガイドが10名以上いて、日本山岳ガイド協会認定ガイドが案内する本格登山コースや、日本カヌー連盟公認指導員が付いてくれるカヌーツアーなども行われている。アウトドアツアーはやはり信頼性で選びたい。すべて予約制。
    急流に流されたり、岩や崖から川へ飛び込んだり、アドベンチャー度満点のシャワーウォーク
  • spot 03
    バックス
    磐梯山と湖を体感するアクティビティ、桧原湖カヌーツーリング
    五色沼の柳沼から国道を渡ったところにある桧原湖は、裏磐梯にある約300の湖沼群のなかで最大で、火山性せき止め湖としては日本最大。この湖で、磐梯山を眺めながらのカヌーやSUPが人気だ。バックスのカヌー体験コースは安定性の高い2人乗りカヤックを使用し、ガイドが付いてくれるので未経験者や子どもでもチャレンジできる。力んで漕ぐ、片側ばかりに進むなど、初心者にありがちなクセをガイドが見て、スムーズに漕ぐコツを教えてくれる。午前・午後ともに2時間コースで開催している。雄大なパノラマや小島群などの景観が次々に現れ、飽きることがない。犬を連れて乗ることもできるので、予約時に詳細を確認しよう。バックスではバス釣りのレンタルボートやB-style Campsite(キャンプ場)も隣接している。\冬にはワカサギ釣り体験やスノーモービル体験などのツアーも行っていて、一年中楽しめる。
    1888年(明治21)の山体崩壊の跡も荒々しい磐梯山を眺めつつ、裏磐梯の自然を違った角度から満喫できる
  • spot 04
    雄国沼湿原探勝路
    ニッコウキスゲの生息密度日本一。国の天然記念物の湿原
    裏磐梯と喜多方の中間、猫魔ヶ岳や雄国岳などに囲まれたカルデラにある沼と湿原。6月下旬から7月上旬に咲くニッコウキスゲの大群落で知られ、「雄国沼湿原植物群落」として国の天然記念物に指定されている。
    金沢峠から見た雄国沼。猫魔ヶ岳の奥に磐梯山が少しだけ頭をのぞかせている
  • spot 05
    磐梯吾妻スカイライン
    荒々しい火山と可憐な高山植物を楽しめる山岳観光道路
    平均標高1350m、最高地点1622mの山岳道路で、噴気を上げる活火山、火口や湿原のハイキング、福島盆地の眺望などが魅力。「日本の道100選」に選定され、磐梯朝日国立公園内の特別地域にも指定されている。
    谷底から84mの高所に架かる不動沢橋。開通当時は日本一の高さだった。紅葉の名所でもある
  • spot 06
    浄土平
    活火山が造り出した山上のパラダイス
    磐梯吾妻スカイラインの中間点にある。標高1575mで亜高山帯だが、風が強く積雪量も多いため高山帯の植生が見られ、磐梯朝日国立公園内の特別保護地区に指定されている。目の前で噴気を上げる一切経山の火山灰が堆積、風化してできた浄土平湿原に木道が整備されており、可憐な高山植物を見ながら一周15~30分で散策できる。県道の向かいにそびえる標高1707mの吾妻小富士もぜひおすすめ。火口壁まで10~15分、すり鉢状の噴火口を一周するお鉢巡りは40~60分。福島盆地のパノラマがすばらしい。吾妻小富士はふもとからもよく見えて、昔からこの山腹に「雪うさぎ」と呼ばれる雪形が現れると農家が種まきを始めたという。福島市のゆるキャラ「ももりん」はこの雪うさぎがモチーフになっている。なお、磐梯吾妻スカイラインは通行無料だが、浄土平の駐車場は有料。9月下旬の紅葉の頃は混雑し、駐車場待ちの渋滞も起きるので、早朝に訪れるのが賢明。
    鎌沼へのハイキングコースから見た吾妻小富士。右のミニカルデラに樋沼が見える
  • spot 07
    諸橋近代美術館
    東洋一のダリ・コレクションと年2回の企画展が出色
    シュルレアリスムの大家サルバドール・ダリの作品約350点を所蔵する美術館。印象派や英国現代画家の作品も収集し、ダリを含むコレクションテーマの企画展も好評だ。裏磐梯の自然とともにじっくり堪能したい。
    ヨーロッパの城郭を思わせる美術館。庭園の池に建物が映り込み、合わせ鏡のよう
  • spot 08
    猪苗代湖
    全国第4位の面積と「天鏡湖」と讃えられる透明度を誇る
    猪苗代町、会津若松市、郡山市にまたがっており、県民の重要な水がめ。湖岸に数多くの浜があり、湖水浴やウインドサーフィンなどを楽しめる。2000羽以上ともいわれるハクチョウは冬の風物詩になっている。
    会津富士の別名をもつ磐梯山を映す猪苗代湖。2002年(平成14)から4年連続で水質日本一だった
  • spot 09
    天鏡閣
    猪苗代湖畔の小高い丘に建つ、皇族方に愛された洋館
    国指定重要文化財の瀟洒な洋館。明治時代、猪苗代湖の美しさに感動した有栖川宮威仁親王(ありすがわのみやたけひとしんのう)が別邸として建てたもので、格調高い建物や調度品は当時の雰囲気をよく伝えている。
    ルネッサンス様式の洋館だが、畳も使われているなど和洋折衷。木造2階建の上に載る八角形の塔屋が印象的
  • spot 10
    福島県迎賓館
    猪苗代湖を見下ろす伝統的日本家屋の皇族別邸
    近くにある天鏡閣の離れとして1922年(大正11)に建てられた高松宮家の別邸。有栖川宮から天鏡閣を継承した高松宮宣仁(のぶひと)親王が、有栖川宮威仁親王妃慰子(やすこ)殿下の静養のために造らせたものだ。天鏡閣は洋館だが、こちらは皇族の別邸としては珍しい純和風。檜を主体に超一流の技で建てられ、欄間、釘隠し、襖の引手など細部にいたるまでデザイン性が高く洗練された造りとなっている。建築史の面からも貴重なもので、「旧高松宮翁島(おきなしま)別邸」として国の重要文化財に指定されている。慰子妃は加賀藩主の4女として金沢城で生まれた。日本画や書道にも秀で、英語、フランス語も堪能で聡明な女性だったと伝えられる。慰子妃がここに滞在していたのは3か月ほどで、翌年59歳で薨去。これにより有栖川宮家は絶えた。現在は福島県が所有し5ー10月のみ庭園が公開されている。また、期間限定で邸内が公開されることもある(要予約)。
    自然石などをそのまま生かしたという庭園。四季折々の表情を見せるが、紅葉の時期は格別だ
  • spot 11
    野口英世記念館
    猪苗代が生んだ世界的細菌学者・野口英世の偉業を知る
    1000円札の肖像画にも描かれ、感染症の研究に生涯を捧げた野口英世は、福島県猪苗代町の出身。ふるさとにある英世の一生と功績を紹介する資料館だ。生い立ちや母との絆など、人間味あふれる英世に出会える。
    野口英世の人柄をうかがい知ることができ、親しみを覚えるような展示内容となっている
  • spot 12
    本格手打ちそば処 おおほり
    香りとコシが違う、挽きたて、打ちたての十割そば
    猪苗代湖の北岸はそばの里として知られる。夏は涼しく乾燥し、冬は豪雪地帯といった気候がそばの栽培に適しており、秋になると田んぼの稲穂とともにそば畑の白い絨毯があちこちに広がる。猪苗代町内に数あるそば屋のなかでも特に評判なのがここ。磐梯山東麓の、のどかな木地小屋集落にある古民家で、こだわりの十割そばを出す店だ。近所にある畑でそばを栽培するところからすべて自家製。しかも無農薬。全量放射線検査後に自家製粉して、その日の温度や湿度を見極めながら水の量を微妙に調整して手打ちする。つなぎは入れない。こうしてできあがるのは白く香り高いそばで、驚くほど弾力がある。季節ごとに変わる天ぷらもおすすめ。冷めてもサクサクの食感がたまらない。そのほかにも大根おろしをたっぷり入れたぶっかけそばや山菜そば、にしんそばなどのほか、つきたての餅も人気。週末は行列を覚悟したほうが良さそうだ。
    天盛りそば(1500円)。細いのにコシがすごい十割そばと、季節の野菜を菜種油で揚げた天ぷらがウマイ
  • spot 13
    野地温泉ホテル
    標高1200m。秘湯の趣たっぷりの日帰り温泉で湯あみ三昧
    磐梯吾妻スカイラインのドライブを楽しみ浄土平でハイキングに汗を流したら、日帰り温泉に寄り道して疲れを吹き飛ばそう。スカイラインの南端、土湯峠から車で東へ2分。カーブを曲がった途端に硫黄のにおいと白煙が立ち込める。ここは磐梯朝日国立公園内に位置し、背後にそびえる安達太良連峰の鬼面山への登山口でもある。遥か足元には福島盆地が広がっている。ホテルは近代的だが、温泉は湯治場の雰囲気を残していて、源泉100%かけ流し。なにしろホテルの目の前にゴーゴーと音を立てて源泉が噴出しているのだ。「千寿の湯」「鬼面の湯」「天狗の湯」は3時間ごとに男女切り替え。ほかに大浴場もあり、男性は4か所、女性は5か所の湯舟を楽しめる。いずれも白濁した硫化水素泉で、肌にやさしいのが特徴。日帰り入浴に昼食が付いたコース(要予約)もあるので、ぜひじっくりと楽しみたい(2021年12月現在コロナ渦につき日帰り入浴は平日のみ。最新情報は公式サイトで確認のこと)。
    旅情満点の檜風呂「千寿の湯」。奥の湯舟から順に温度が低くなる
  • spot 14
    桧原湖
    磐梯山の噴火でできたせき止め湖
    桧原湖(ひばらこ)は磐梯山の噴火でできた数多くの湖沼のひとつで、いちばん大きく、美しい島々がいくつも浮かぶ。裏磐梯の観光のメッカとして、一年を通してそれぞれ違った表情を見せてくれる。
    桧原湖は火山性のせき止め湖として日本一の大きさを誇る
  • spot 15
    磐梯山噴火記念館
    磐梯山噴火の災害を語り継ぐ
    1888年(明治21)の水蒸気爆発で山体崩壊という噴火を起こした磐梯山。その噴火から100年を記念して開設されたのが磐梯山噴火記念館だ。現在、四季折々の磐梯山の美しい姿は訪れる人々を魅了するが、噴火当時は凄惨な状況だったという。噴火から100年たった今はその状況を語り継ぐ人もおらず、地元の人たちにとっても過去の出来事になっていた。その危機感から記念館の開設にいたったそうだ。記念館の入り口を左に入ると、大きなスクリーンが見える。スクリーン前にあるボタンを押すと、噴火前の磐梯山に見立てた山のシルエットが映し出され、地鳴りの効果音とともに床が揺れ動き、噴火のビデオを見ながら、その威力のすさまじさを実体験できる。1階展示室には磐梯山の成り立ちから地形のジオラマ、噴火当時の新聞記事などの諸資料、犠牲となった村々の記録写真などを展示、2階では火山や地震について知ることができ、世界初の地震計の模型も見られる。また、磐梯山周辺はジオパークにも認定されているので、火山についてだけではなく、磐梯朝日国立公園の自然や生き物なども紹介している。
    磐梯山噴火当時の写真や新聞記事などが展示されている1階展示室
  • spot 16
    レストラン桧原亭(道の駅 裏磐梯)
    桧原湖周辺の休憩ポイントとして人気
    「レストラン桧原亭」は「道の駅 裏磐梯」にある食事処。地元食材を使った食事が味わえると、観光客が多く訪れる。特に北塩原村の特産、会津山塩を使ったラーメンはいちばん人気のメニューだ。
    桧原湖から喜多方方面へ向かう国道459号線沿いにある
  • spot 17
    一切経山
    一切経山に登って、神秘の火口湖「魔女の瞳」を見る
    浄土平から標高差約370m、1時間30分ほどの登山で頂に立てるのが一切経山(いっさいきょうざん)、標高1949mだ。山名の由来は平安時代、仏教の経典・一切経を、陸奥の豪族・安倍貞任(あべのさだとう)がここに埋めたからとも、空海が埋めたからとも伝わる。今も山腹から噴気の上がる活火山なので、最新の火山情報を確認してから登りたい。歩き始めると、湿原のなかの木道あり、火山礫の急・緩斜面ありと、変化に富んだ登山道が続き、途中の眺望もよい。酸ヶ平(すがだいら)避難小屋に着いたら、ちょっと休憩しよう。ここまでで行程の半分ほどだ。さて、登り再開。振り返ると酸ヶ平湿原と鎌沼の眺めがすばらしい。登山道が火山特有のガレた斜面に変わり、右手に吾妻小富士の火口が大迫力で見えてくれば、やがて広い山頂に到着!さえぎる物のない360度の展望に疲れも吹き飛ぶ。北側に行き、直下の緑の中にコバルトブルーの水をたたえた火口湖と対面しよう。これが五色沼、通称「魔女の瞳」だ。日光の当たり具合によって色合いが変わるため、この名がある。絶景を十分に楽しんだら、来た道をスリップに注意しながら引き返そう。浄土平駐車場までは約1時間の道のりだ。
    「魔女の瞳」には「吾妻の瞳」の呼び名もある。湖水に火山の鉱物質が溶け込んでいるため、怪しいまでに深い碧色が見る者を魅了する
  • spot 18
    磐梯吾妻レークライン
    裏磐梯三湖を眺められるドライブコース
    磐梯山(ばんだいさん)の噴火によってできた桧原湖(ひばらこ)、小野川湖、秋元湖を望むことができるドライブコース。道路の途中にある絶好のビューポイント、中津川渓谷と遊歩道は新緑、紅葉の季節には絶景を見せてくれる。
    三湖パラダイス展望所から磐梯山を眺める。天気がよいと磐梯山の左側に櫛ヶ峰(標高1636m)も見える
  • spot 19
    猪苗代観光船
    猪苗代湖の象徴の「はくちょう丸」に乗って湖を巡る
    福島県のほぼ中央に位置する猪苗代湖は日本で4番目に大きな湖。猪苗代観光に欠かせないのが湖を巡る観光船で、「かめ丸」「はくちょう丸」の遊覧船が多くの観光客を受け入れてきた。1984年(昭和59)には、昭和天皇が結婚60年を記念して新婚旅行の思い出の地として猪苗代湖を訪れ、かめ丸に乗船されたこともあるという。2020年(令和2)にコロナ禍によって一時は廃船危機に追い込まれたが、翌年に復活し、現在にいたっている。コースは広大な猪苗代湖の風光明媚な景色を楽しめる約35分のコース。国道49号線沿いにある長浜遊覧船発着所を出航すると、磐梯山をうしろに観光船は進んでいく。やがて右手にこんもりした森のような島が見えてくる。猪苗代湖で唯一の翁島は無人島で、多くの野鳥が生息している場所だ。翁島を過ぎてしばらくすると、左手方向に磐梯山がゆっくり視界に入ってくる。湖越しに見る磐梯山は緑の山肌となだらかに広がる裾野が美しい。クルーズ後半はすがすがしい風を楽しもう。船内に磐梯山にちなんだ民話などが流れてくるので、耳を傾けながら眼前の磐梯山を眺めるのもいい。
    運航する2艇の観光船「かめ丸」と「はくちょう丸」
  • spot 20
    会津民俗館
    郷土民芸品、赤べこの絵付け体験をしてみよう
    会津民俗館は民具や古民家を中心に、会津地方の暮らしを紹介する。入り口の左手にある展示室には、県指定重要有形民俗文化財のサシコ(農家の仕事着)や寝具、会津絵ろうそくの制作に使われた道具などを展示している。中庭には、会津地方の重要建築物を移築し、公開。1773年(安永2)に建てられた県重要文化財「旧佐々木家住宅」や国指定重要文化財「旧馬場家住宅」などを見学すると、当時のこの地方の暮らしぶりをうかがえる。会津文化に手軽に触れられるのが「赤べこの絵付け体験」(970円)。「赤べこ」は首を振る赤い牛の郷土玩具だ。約1300年前に名僧徳一大師(とくいつたいし)が会津柳津(現在の河沼郡柳津町)に福満虚空蔵堂(ふくまんこくぞうどう)を建てたとき、黙々と働いていた赤い牛が完成と同時に堂前で石化し守り神になり、その牛を供養する意味で作られるようになったといわれている。木型に和紙を張り付けた張り子の赤べこに、白と黒の顔料絵具で顔や模様を描いていく。手で支える部分を考えながら描いていくので意外と頭を使う。胴体部に花を描いたり、足に色を塗って靴下を履かせたり、耳にリボンを付けたりと、オリジナルの絵柄を描けるのが楽しい。
    黒斑点は天然痘(てんねんとう)の病跡を表す。赤べこを持った子がはやり病にかからなかったので、厄災除けとして贈るようになった
  • spot 21
    世界のガラス館 猪苗代店
    猪苗代湖畔の近くに世界のガラス作品が集結
    きらきらときらめき、まばゆいばかりのガラス製品が展示されている世界のガラス館。創始者がガラスを集めるのが好きで、そのコレクションから始まったという。現在、館内には世界各国の手作りガラス製品が一堂に集まり、直輸入品からオリジナル商品など、約2万5000点がそろう。1階は日常使いできるグラスやプレートなどの食器類、アクセサリーなどの販売が中心で、2階にはヴェネツィアングラスやスワロフスキーなどの、目を奪われるほど美しいガラスの作品が展示されている。ガラスにオリジナルの模様を彫刻する「エッチング」の体験も可能。世界にひとつしかないオリジナルのグラスを作ることができる。敷地内には、この地で醸造した地ビールが楽しめる「猪苗代地ビール館」や地元の銘菓やスイーツを集めた「猪苗代おかし館」を併設している。
    磐梯山を背景に、ヨーロッパ・アルプス地方の山小屋を思わせる建物
  • spot 22
    いわはし館
    結婚式のときだけに食べられた特別なそばを味わう
    「祝言(しゅうげん)そば」とは、質素な生活を送っていた会津地方で昔、結婚式(祝言)のときに振る舞われた温かいそばのこと。山鳥の肉とゴボウでだしをとった手打ちそばで、猪苗代では今でもこの習慣があるという。昔は山鳥を獲って調理したため、非常に手のかかるもので特別なときにしか食べられなかったという代物だ。この「祝言そば」を手軽に味わえるのがいわはし館だ。猪苗代産のブランドそば粉「いなわしろ天の香」を使った自家製の二八そばで、口あたりもよい。汁は素朴な味わいながら肉の濃厚なうまみが口いっぱいに広がる。祝言そばと一緒に出される「こづゆ」は会津地方の冠婚葬祭には欠かせない食べ物。干し貝柱のうまみが利いたおつゆには、こんにゃく、サトイモ、細竹の子、ワラビなどの具が入り、そばと一緒に食べればお腹が満たされる。このほか、祝言そばと5つの薬味で味わう冷たいもりそば(五段そば)のセット「祝言そばセット」(1800円)や、オリジナルの焼き味噌と大根おろしをあわせただし汁で味わう冷たいそば「いわはしそば」(970円)もおすすめだ。
    こづゆが付いたシンプルな味の「祝言そば」(1450円)
  • spot 23
    アクアマリンいなわしろカワセミ水族館
    福島県内の淡水生物や生き物について学べる
    磐梯山(ばんだいさん)のふもとにある水族館で、福島県内で見られる淡水生物や在来種、在来種に脅威を及ぼす外来種の展示、水辺の環境について学べる。1号館、2号館とあり、1号館は磐梯山の雪どけ水に触れたり、木を使って遊んだり、希少動物のユーラシアカワウソの生態を見たりと、子どもたちが実際に自然に触れ、生き物の生態を見ることのできる場所になっている。2号館はタナゴ類やサンショウウオ、ゲンゴロウなど、福島県内で見られる淡水魚や両生類、昆虫類などを中心に淡水生物(在来種)を本来の環境に近づけた形で展示している。一方、在来種の生存を脅かす特定外来生物も展示。国外の外来種はもちろんだが、国内の他地域から福島県へやってきた種類の多いことにも驚かされる。水族館のなかでも珍しいのが鳥の展示だ。「川のいきもの」コーナーでは、水族館の名前にも付いているカワセミやカワガラスなどを飼育、展示しているのが特徴だ。どちらも警戒心が強いので、脅かさないように静かに観察しよう。最後の「生物の多様性」コーナーには、立方体の水槽にゲンゴロウやカエル、サンショウウオなどを展示。特にゲンゴロウは国内で確認されている約150種類の約3分の1を見ることができる。
    カワセミとカワガラスを観察できる「川のいきもの」コーナー
  • spot 24
    磐梯山
    「日本百名山」のひとつ、磐梯山に最短ルートで登ってみよう
    「会津磐梯山は宝の山よ」と歌う民謡でも知られる磐梯山(ばんだいさん)。地球科学的に貴重な地形、地質が見られることから、「日本ジオパーク」にも選定されている。最短の「八方台」コースがおすすめ(夏期のみ)。
    磐梯山頂の祠には磐梯明神が祀られている
  • spot 25
    磐梯山ゴールドライン
    表磐梯と裏磐梯を一度に見られるドライブ道路
    桧原湖を中心とした湖沼群が点在する「磐梯高原」と、猪苗代湖やさまざまな歴史の残る「会津」をつなぐ磐梯山ゴールドライン。磐梯山には美しく雄大な山体を見せる「表磐梯」と、自然の脅威を見せる「裏磐梯」があり、道路を走るとそのどちらの表情も見ることができる。猪苗代方面を起点にするなら、県道64号線を磐梯山方面へ向かおう。田んぼが広がる平坦な場所からゴルフ場の脇を通り抜け、徐々に標高が上がってくる。ゲレンデを横切るように延びる道路の目の前には、きれいな三角形が美しい磐梯山の神々しい姿が見える。ビュースポットの山湖台からは、猪苗代の街並みや猪苗代湖が見渡せ、緑と青の美しい景色を眺められる。この道路の最高地点1194mは八方台といわれる休憩ポイントだ。磐梯山や、猫魔ヶ岳、雄国沼への登山道の入り口にもなっていて、ハイカーや登山者が車を止めてそれぞれの登山道に向かう姿が見られる。ここから一気に桧原湖へ抜けてもいいが、途中の黄金平でぜひ車を止めたい。ここは磐梯山の噴火口を間近に見られるスポット。緑の山の間に口を開けたように見える噴火口は、山肌がえぐられ、100年以上が経過しているとはいえ、現在も自然のすさまじさを感じさせる。
    ゲレンデを横切るように走る道路からは、正面に磐梯山の美しい姿を見られる
  • spot 26
    會津遊食たか膳
    郷土料理とスパイスカレーが自慢
    地域の食材を生かし、「わっぱめし」や「こづゆ」などの郷土料理を味わうことができる食事処。子どもから大人まで、親子3代で楽しめるメニューが並ぶ。シェフオリジナルの薬膳カレーも評判だ。
    会津地方ではご飯に山菜やきのこを入れるのが一般的な「わっぱめし」だが、店では独自生を生かし、さっぱりしたしらすを使っている
  • spot 27
    達沢不動滝
    福島県を代表する名瀑のひとつ
    達沢不動滝(たつさわふどうたき)は安達太良山系船明神山(ふなみょうじんやま)を源とした不動川に架かる滝で、滝元には不動尊が祀られ、猪苗代周辺のパワースポットともいわれている。不動滝へは磐越自動車道猪苗代磐梯高原ICから国道115号線で福島市方面に向かい、中ノ沢温泉へ。または磐越自動車道磐梯熱海ICから県道24号線を中ノ沢温泉方面に向かう。温泉街には滝への案内看板が出ているので、それを目印にしよう。道なりに進んでいくと駐車場があり、その先に滝への入り口となる2つの鳥居が見えてくる。そこから滝までは歩いて10分程度。川のせせらぎが聞こえ、手つかずの自然に囲まれた参道を森林浴がてらのんびり歩けば、気分もすがすがしくなってくる。3つ目の鳥居をくぐった先に見えてくるのが「男滝」。高さ10m、幅16mの滝で、水しぶきを上げて落ちる様子は力強さを感じる。その隣にひっそりと静かに流れる「女滝」を見ることができる。2つの滝の周りはミズナラを主体とした達沢原生林がうっそうと生い茂り、荘厳な雰囲気が漂っているが、春には新緑、秋には紅葉が美しく、多くの人々が訪れる。
    1枚岩の黒い岩肌を水がすだれのように流れ落ちる勇壮な「男滝」
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旅のヒント

  1. その1

    郡山からJR磐越西線で40分前後の猪苗代駅から、猪苗代湖畔までバスで5分。裏磐梯(磐梯高原)には鉄道はなく、JR猪苗代駅からバスで35分、JR喜多方駅から65分。

  2. その2

    会津バスが運行する新宿と会津若松を結ぶ高速バスが猪苗代駅に停車する。1日2便。所要4時間15分。季節によっては東京駅と裏磐梯を結ぶ路線もある。1日1便(運行日注意)、所要5時間。

  3. その3

    車なら、郡山から磐越自動車道で猪苗代磐梯高原ICまで45分。そこから猪苗代湖まで5分、裏磐梯まで25分。また、福島市街から磐梯吾妻スカイライン経由で裏磐梯を訪れる方法もおすすめ。途中の見学時間を除いて約2時間。

  4. その4

    猪苗代湖は非常に大きいので、車で一周するなら2-3時間を予定しておきたい。

  5. その5

    個々のスポットは鉄道とバスで訪れることができるが、あちこち見たい場合は車がないと難しい。ドライブそのものが楽しいエリアなので、できれば車でまわりたい。ただし日本海側気候で豪雪地帯なので秋-春は道路情報に注意。

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